物語とは

ロコモコもこ

第1話

彼との出会いは、まるで運命に引き寄せられるようだった。ある日の卒業パーティーで、彼は笑顔で仲間たちの中心にいた。その姿に魅了され、一目で心を奪われた。あまりの衝撃に胸が痛む。彼の名前は直也。彼は明るくて、皆を笑顔にする力があった。まさに太陽のような人だった。


私たちの関係は徐々に深まっていった。初めは友達として始まり、共通の趣味で意気投合し、休日には映画を観たり、近くの公園を散歩したり。彼との時間は、私が今まで感じたことのない特別なもので、日々が色鮮やかに彩られていった。今までの世界を疑うほどに。だが、私の心の中には、他にはない感情が膨らんでいた。


ある日、友達と集まった帰り道、勇気を振り絞って言った。「直也、実は君のことが好きなんだ。」その瞬間、彼の表情が変わった。驚き、戸惑い、そして少し悲しみが混ざった顔。彼は私を見つめて言った。「ごめん、俺は…その気持ちには応えられない。」


その言葉が胸に刺さった。叶わないことなど分かっていた。私の心は折れそうになったが、彼との友情を失いたくない一心で、「大丈夫だよ。わかった、友達のままでいよう」と優しく返した。しかし、内心の痛みは消えなかった。


それからも私たちは一緒に過ごした。彼の笑い声を聞くたびに、嬉しさと悲しさが同時に押し寄せてきた。彼は別の女の子とデートを重ねていくのを見ていると、自分の気持ちがどんどんと苦しくなった。彼女が直也の手を取るたび、私は自分が無力であることを思い知らされる。


友達を装った私は、彼の幸せを見守ることしかできなかった。バカみたいだと思ったけれど、それが唯一できることだった。しかし、私の心は次第に疲弊し、彼の明るさを支えることができなくなっていった。


ある雨の日、私たちはいつも通りの公園にいた。直也は彼女と来ているのか、少し遠くにいるのが見えた。私は彼に近づくこともできず、逆に公園の片隅で一人、彼を見つめていた。彼は笑いながら彼女の肩を抱き寄せていた。その時、心の中で何かが切れた。


「もう無理だ」と思った。友達でいることが、私には苦痛になってきていた。どうしても彼を手に入れられない、そんな事実が心を痛めていた。


数日後、私は彼に連絡をした。「少し距離を置こうと思ってる。ごめん、君のことが大切なのに、一緒にいるのが辛い」と短くメッセージを送った。彼からの返信はなかった。ただ、心に思い描いた彼との幸福な未来が消えていくのを感じた。


季節が変わり、彼は次第に新しい恋人と深い関係になっていった。それを見ていることがどんなに辛いことか、私には耐えられなかった。彼の笑顔を見られる代わりに、私の心は日々沈んでいくばかりだった。


結局、私たちの関係は終わってしまった。直也の幸せを祈ることができたとしても、私の心は彼を失ったことで満たされることはなかった。たとえ彼が私の想いに気づいてくれたとしても、もう手遅れだったのだ。


彼の幸福が私を救うことはない。彼とは異なる世界にいることを受け入れ、もう二度とその思いに浸ることはできない。私の物語は、こんなにも美しく悲しいエンディングを迎えてしまったのだ。


愛してほしかったよ。直也。

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