③ ハクとデイ
ぱからん、ぱからん、ぱからん。
「いーやー、気持ちいいなあーっ! なあリドっ! あ、それとこっちで合ってるよなー? あーっはっはっは。」
ぶんぶんぶん、と腕の中で必死にかぶりを振るリドミコ。
なぎ倒された森は抜けたもののその後の足取りがからっきしだったため今はアヒオの勘で馬を走らせていた。
「なんだリド。髪でくすぐったいだろ。はっはっは、そうかリド。ふたりっきりだからって甘えてんだなーっはっはっは。おまえさんは本当にかわいいやつだなー。
ま、キペのアホも心配だがなに、大丈夫さ。あいつはアレでけっこう頑丈そうだからよ。リド、一緒に見つけてやろうな。一緒に。・・・ずっと一緒だ。リド。」
ぐうーんと仰け反ってさかさまのアヒオに顔を向けると、うん、と力強くリドミコは頷く。もう離れない、と告げてくれた声と体温に、だからリドミコは元気にもうひとつ頷く。
「そっか、やっぱこの道で合ってたんだな。はっはっはー、リド。おれについてきて正解だっただろー。あっはっは、大正解だあっ! あーっぱっぱっぱ。」
わずかな不安はあれども共にいられるのが嬉しいのだろう、リドミコはまたうんうん、と頷いて背中をアヒオに預ける。
「あーっぱっぱっぱっぱ! リドっ! あーっぱっぱっぱっぱっ!」
どこか歪んだ豪快な笑い声を撒き散らすアヒオの大冒険は、いましばらく続きそうだ。
「どういうことですかっ!」
下の者には聞こえぬよう作戦室から立ち退かせ、目の周りを黒く染めた護衛長が壁を叩く。
「身分をわきまえてもらいたいものだな、ハク護衛長。そなたはあくまで我らが勇者シクロロン様の護衛が任。参謀に関してはその権限を持たないのだぞ。」
それは確かなことだったが、解せなかった。自分に全く相談がないままシクロロンがメトマたちと勝手に指揮を執っていたということが。
「勇者殿は承知なんでしょうねぇ?・・・まったく、なんて無茶なマネを。
今『スケイデュ』や統府を相手にして体力が持つとお思いですかっ? 『フロラ』の下っ端を締め上げて得た確証のない情報に振り回されているかもしれないのですよ! 戦況を有利に運びたいのならもう少し焦点を絞らなければっ! これじゃ大きくなった組織力も台無しだっ!」
先ごろ世間を震わせた「セキソウの悲劇」に『ファウナ』の者たちは大いに奮起していた。幾つもの四つ季を巡る間には緊張と衝突が波のように繰り返されてはきたものの、大きな進展も展望もなく不完全燃焼のまま今に至っていることも背景にあるだろう。
そもそも入隊理由や存在意義を見失いかけていた時に黒ヌイというファウナ人に害なす「悪」足りえるものを見つけたのだ。正義を振り翳し力を解放する絶好の論拠を手にしてしまった以上、うずく体を理屈や理性で抑えるのは困難だった。
「何か誤解しておるようだなハク護衛長。わたしたちは『フロラ』と対決することが目的で集ったわけではない。
今となっては我が『ファウナ』に様々な理念や理想が渦巻いているのは確かだ。しかしホニウ人、なかんずくニナイダ族中心、あるいは絶対至上主義に舵を取り続けた現体制の打倒こそが主意なのだ。
今なお辺境に逃げ隠れて暴行や略奪の差別を免れようとするファウナ人種・部族を守り、また認めさせることも我々の責務であり急務であることを忘れぬよう。
そして停戦状態が続いているからといって和解したわけでもない上さらに、蔑まれ続けた者たちを逆なでするような此度の虐殺。
内部で暴発する前に不満解消を兼ねて再度、統府に宣戦布告するというのは妥当な決断だったのではないか?」
とはいえさすがに兵団本体との全面対決は避けたかった。
そこで提案したのが『スケイデュ』が『フロラ』から連れ去ったダジュボイ老の誘拐だ。
統府側にもだが、こちら『ファウナ』にも潤沢な資金・情報の提供をしている商業連合からダジュボイ老・モク老両ユクジモ人の監禁について、また『特任室』と呼ばれる教皇周辺の直轄組織と『スケイデュ遊団』の妙な連動などについては伝えられていた。
そこへきて『フロラ』兵から引き出した、「二人のユクジモ老が看過ならない情報を持っている」との報告は真贋を確かめる以上の収穫を意味していたため迅速に決行されることとなる。
それは聖都から遊団本部までのわずかな道のりで決行しなければならなかったが、だからこそ油断を衝けた。
作戦会議を開いて採決を待っていては間に合わなかったことだろう。
「負傷者も数名で済み成功したからよいものの、勇者殿をはじめメトマ総監、あなたも大手配としてさらに狙われる危険性が増したということなのですよ?
・・・人員の乏しい護衛班が事後報告では円滑な業務を全うしかねる上、士気にも影響します。今後は早急な『スケイデュ』及び『特任室』等々の関連情報の提供を求めますっ!
まったく、シクボ殿の入れ知恵には参りますねぇ。それでは、ボクは失礼します。」
それだけ残すとひとつ礼をしてハクはその部屋を後にした。
「・・・ふん、若僧が。すぐに化けの皮を剥いでやるぞ。」
そう言ってメトマは正面の壁に掲げてある[五つ目]の旗を見上げる。
「もうすぐ・・・」
老いたギヨ人の男は、思い出していた。
自分がこの組織に身を置こうと決めたその日を、その決意を。
「平和のための正義は・・・我らにあるのだ。」
そうして大きな目をキリリとさせ頭を垂れるとメトマも部屋を出ていった。
旗を立てヒトは集ったのだ。
だがそれをまとめて動かさなければ巨体もただの脂肪の塊に過ぎない。
動かすことができるのは自分だけなのだと、固く信じてメトマは拳を固めた。
がしゃん。
そんな組織幹部の仲たがいをよそに成果を挙げ意気揚々と戻ってきた『ファウナ』の隊員に連れられ、一人のユクジモ男が牢に入れられる。
「奇襲とはいえ巧くいったものだな。よしお前ら、景気づけに一杯やるかっ。」
ウィキの町から急遽呼び出され、今回の任務を成功させたハチウの男が部下をねぎらう。
手負いの者もいたが軽傷だったため兵たちは気風のいい上官の言葉に声を沸かせた。
「悪く思うなよーユクジモ人。お前にはまだ仕事があるみたいだからな、協力してもらうことになるだろ。」
特徴的な突き出た裂肉歯を光らせ捕らえた男に話しかけるも、反応はなかった。
牢の中のやたらに大きなユクジモの老翁はただじっとこちらを睨めつけるだけだ。
「はは、怖い顔すんなよな。上に言われたとおり大した手傷も負わせてないんだ。保護してやったんだぜ、オレたちがよぉ。なあ、お前ら。」
他の牢に誰がいるのかはわからないものの、そこはとても静かな地下室だった。
蝋の燈すわずかな灯りだけが時間を上手に進んでいけるようだ。
かちゃ。
「・・・ちっ。ほんとに連れ去ってきたんだねぇ。」
そこは重要人物だけを手許に置く地下牢、ということもあり組織の要人クラスが出入りすることはままあったが、その男が訪れるのは初めてだった。
「おやまあご立腹だなハク。・・・お前ら、先に出てろ。オレぁまだ用があるんでな。」
そんな凶暴で屈強なイマンカ族の上官の言葉とあって部下たちはそそくさとその場を後にして階段を上がっていく。
「・・・説明してもらおうか。・・・どういうことなんだデイ? キミはボクの指示に従ってればいいんじゃないのかっ? おいっ!」
どす、と鈍い音がしたものの、頬に音を立てられたハチウの男は微動だにせずダンパの男を見下ろしている。
「待てよハク。聞きたいのはオレの方だ。お前からの指示だとオレは聞いてたんだぞ?
じゃなきゃわざわざお前と鉢合わせになるこの区域までは来ない。「お上」からの達しでもあれば別だが・・・。
まさかハク、お前ヘマなんかしてないだろーな。」
牢にいる者に聞かれていい話ではないが声を落としたところで筒抜けは変わらない。
「バカな。・・・ちっ、もういい。キミも気をつけろよデイ。」
そう言ってハクはいそいそと走り出ていった。
誰かにデイと一緒にいる場面を目撃されると都合が悪いらしい。
「ククク。・・・・よォ、デカイの。気をつけろよー。」
そこでトチ狂ったのかと思いデイが牢へ戻って覗くと、中では壁に背を預けたダジュボイがニタニタと笑っていた。
「なんだ老いぼれ。黙ってねーとブン殴るぞ。」
保護を命じられたとはいえ一発二発なら殴っても問題はない。
「上に行ったニーちゃん、クク、案外バカだぜ? オマエの上官なんだろうが自尊心に溺れ過ぎだ。またヘマしないうちに身構えておけよ。仲良く痛い目みんぜ。キミも、な。ククク。」
ねっとりと薄気味悪さを湛えていながらも、その頬のこけた顔は確信に満ちていた。
よぼよぼと老いた、というより精練されて若さを支払った、といった面構えだ。
「余分な無駄口を叩くな。話はあとでたっぷり聞きに来るだろう。それまでの安息を楽しんでろ。死に損いがっ!」
捨てゼリフのつもりで放った言葉もその研ぎ澄まされた目つきの前では虚ろに見える。怖い、と思いたくない心はただ、不快感だけを残してデイの足を速めてしまうのかもしれない。
「クっクっク・・・・あーっはっはっはっはっ!」
いつまでも響くダジュボイの嘲笑はそれでも、陽の当たる世界の手前で途絶えていった。
急襲だったとはいえそれはあまりに目立ち、そして時を焦らせた。
「なにも猊下が直々に会わずとも・・・」
それが無駄な忠告だと分かっていても先を急ぐ教皇にはもうすこし慎重に行動してもらいたかった。
「ダジュボイ老を奪われた今なお〔こあ〕の掌握もままならないとなればもはや、経典に描かれている〔ヒヱヰキ〕にすがるより他あるまい。
あの者も元は三神徒の一人だ。そしてこの世界の秩序と正義のためなのだ。ウルア、わかってくれ。わたしが行かねばならないだろう。」
その理念には共感するものの軸となる教皇が勝手で動き回っては統府の信頼も揺らいでしまう。積極的な態度も采配を通してでなければ評価として得られないのだ。
さらにただでさえ教皇の権限は縮小傾向にあるというのに、ここでまた批判が上がっては統府議閣に発言力を奪われてしまうのは火を見るより明らかだった。
「今はこのように身を隠せているからよいのですが猊下、お飾りになるということも大事な職務なのですよ。」
この地位に上り詰めるためにその男が強硬的だった過去を捨てた経緯はよく知っている。
だからこそ、その地位にあってしか出来ないことに従事してほしかった。ウルアにはウルアの、教皇には教皇の、できることとすべきこと、したいことを分別して行動に移してもらいたかったのだ。
「無論承知している。だからそなたを傍においているのだウルア。」
もう説くな、もう訊くなと言わんばかりの褒め言葉に、ウルアもやむなく割り切ることにした。
「ふぅむ。・・・しかしそれはそうと猊下、ジニの動向はいかがなさいますか。あの者からは音沙汰も途絶えてしまって把握もできておりません。
・・・お察しの通り、わたくしは余りあの者が信用ならないと思っているのですが、密偵のひとつも付けておいた方がよろしいのではないかと。」
かつんかつんと石畳を鳴らす教皇の顔には煮え切らない表情が見て取れる。
「いや、もう手は打ってある。ヤツめどこで情報を手に入れたのかこちらの手足にまで毒を回し始めているようだ。
とはいえ有用な駒であることはあの計算高さから見ても明らかだ。しばらくは泳がせておかねば尻尾も掴めまい。」
その根回しの良さにほっとしたのか、それとも何か他に理由があるのか、ウルアもやっといつもの穏やかな笑みを浮かべて後を追った。
それから護衛をつけずとも通れる秘密通路を抜けると、その出口の前には教皇たちの来訪を知らされていた遊団兵が待っていた。人目を忍ぶ急務と察したのだろう、何も言わぬ兵は二人をそのまま老いたユクジモ人を秘密裏に拘置した部屋へと案内する。
かちゃ。
「・・・ずいぶんな出迎えだのロウツ。釈放かぇ?」
するとドアが開くなり部屋の奥から葉のようにさわさわとした毛に全身を覆われた、ユクジモ古来種の老翁がとぼけたように言葉を放つ。
「神徒モク、・・・いや、「元」か。顔を合わせるのはいつ以来だったか。」
監視兵を外へ追いやったところでロウツ教皇はモクに応える。
「イモーハの信奉者というのは老いてなお無闇に元気な者ばかりのようだの。かっさらわれてばかりのダジュボイも災難だが、こんな再会を果たさねばならぬワシもまた災難だの。」
顔も毛むくじゃらで表情は読み取れなかったが含みのない皮肉であることは理解できた。
「事実とて過去は過去。時の諫めに色も褪せたことだろう。
モク、そなたがしでかした罪業を裁くため来たのではない。考えや思うところは違うながらもその終極の目的は同じはず。ヒトビトの安寧と正義のため、その知恵と知識を貸してはもらえぬか。
そなたも知っておろう? 今そなたの守り隠そうとしているモノが他の者たちによって狙われておる。
それでも断片的で偏重した幻想の大望に預けてよしとするか?
否。我らイモーハを信じる者にこそ正義と真理はあるのだ。他に比すれば我々の間隙に横たわる垣根など理想へ向かう大風の前の木端にすぎぬ。
さあモク、手を取れ。猶予はそうない。わたしにではなく、我々にとって、だ。わかるな。」
引き締まった肉体のダジュボイとは異なり、よぼよぼとしたモクは狭い監獄に閉じ込められることもなかった。
そのため面会にやってきたロウツやウルアとも隔たりなしに向き合っている。その視線を合わせることなく。
「若さゆえに、を口実に力に溺れた偏愛家へ武器をくれてやれ、と?
教会のタワケ供は手玉に取れてもワシはそう簡単にはいかんのロウツ。
かっはっはっは。忘れたとでも思っていたか青ザル。おヌシが仕向けた反逆劇の一部始終を。
・・・尻が己で拭けるようになってから出直して来るのだな。その頃には――――」
「その頃にはニポとかいう娘が〔ヒヱヰキ〕を手にする、とでも?」
若かりし頃の引け目よりずっと隠し続けてきた感情がロウツの顔を黒く染める。
そしていくつもの不満や苛立ちを重ねた怒り、憎しみ、そして侮蔑を握り続けた男に優越感が湧き出してきてしまう。
ヒトを出し抜くことの心地よさに、与えた余裕を目の前で捻り潰すことの愉快さに、真一文字に保っておきたい口元はぐにゃりと緩んで歪んでいく。
「意外、とはまさか言うまいなモク。加えて言わせてもらえばその娘の調べは概ねできている。いくつもある隠れ家の本拠地とも言うべき場所の特定も同様にな。
モクよ、タダで譲るのが気に入らぬのなら取り引きをしようではないか。
そなたの知っている〔ヒヱヰキ〕の情報と〔こあ〕による魔人の製造方法を提供すればそなたを含む『ヲメデ党』の罪には目を瞑ろう。」
ウルアも大きく頷いて共感をあおるが、海千山千のモクには無意味だった。
「それはつまるところ、もう〔こあ〕が手に入ったことを示唆してるのかぇ? 手に入れられる「予定」程度ならば諦めよ。おヌシが思っているほど事は単純ではないんだの。」
どちらもそれぞれの言葉へ確証がないためハッタリの掛け合いに見えてしまう。
それでも、折れては駆け引きにならないのだ。
そして決め手に欠けた者同士でも切り出してしまった以上、また各々の時間の都合上、落とし所をなんとかして探らねばならなかった。
教皇側にとってはダジュボイや別のルートから〔ヒヱヰキ〕等の情報が他の組織に引き出されると無駄足になり、モク側としては人海戦術を用いられると拠点が見つかり不利になる。
双方共に睨み合うしか今はできなかった。
「ふぅ。元、とはいえ三神徒と呼ばれ尊厳ある地位にいたはず。知ってのとおり世は静寂を纏いながらも狡猾に動乱の日々をたぐり寄せている。
モクよ、そなたは残してきた『ヲメデ党』の娘にそれを託すというのか。聖都を司ってなお未だ望む平安の世を手にできないわたしを前にして。
わたしの無力と無能を嘆き謗るなら好きにせよ。
しかしな老いた神徒よ。鋭く尖った錐は石を穿つが、それで畑が耕せるか? 幅広い力を正しく使ってこそ世が成るのではないか?
教皇と崇められても実権は統府議閣にある。しかしそれを動かし、それに働きかける民の信をわたしは得ているのだ。
いま一度尋ねよう。モク、その正義を我々に委ねてはくれまいか?」
ただ真っ直ぐに貫いて失意を覚えた日々から学び、己を抑える術を身につけてロウツは今日まで歩いてきた。同床異夢など手段の前では蕞爾に過ぎない。
「ふん。小賢しい雄弁家になったものだのロウツ。べらべらと実の無い言葉を惜しげもなくよくもまあ。
はっはっは。〔ヒヱヰキ〕が欲しいのならまずそれを任せるに値する成果を持ってこい。事と次第によっては考えてみるのもいいかとは思っているからの。
ただ、早くせえよ。モタモタしていてはワシがボケてしまうからの。はっはっはっは。」
相手に譲歩する形に変えて現状維持は最低でもキープする。
論拠もなく強く出られぬ時は守りに徹しがちだが、攻めの含みを残したままで和解の手を差し伸べれば頑なに防御姿勢を貫くより相手の攻撃の手が緩みやすい。
ある程度紳士的な者同志にのみ通じる牽制ではあったが、いま攻め込まれてはモクとしても分が悪かった。
「ならばその健康、こちらで保証させてもらおう。・・・しかしそのしぶとさにはほとほと感服するな。ウルア、『特任室』の医法員に徹底管理を言いつけよ。
ではな、モク。また来られるかは判らぬがその時は素直な対話ができるようこちらも準備させてもらう。」
大きな前進はなかった。しかしその「予兆」だけは押さえられた、といったところか。
八方塞がりに追い込んで自害されるという最悪のシナリオだけは避けなければならなかったし、協調とまではいかずとも共同作業への足がかりは掴めたのだ。
あとは様々な角度からプレッシャーと提案を加えていけばタイムリミットにモクが焦るのは必至だった。猶予がないのは教皇側も同じとはいえ新しい情報や情勢を手にできるだけ優位と言えるだろう。
芝居染みた迎合よりむしろ、鈍くとも着実な展開の方が後々好都合だったりもする。予断は許さないが、それでも教皇は愉快だった。かつての賢人をその手で動かせるところまで来たのだという達成感が、優越感が、たまらなかった。
そうして様々な者たちの思惑を抱き、時は立ち止まることなく未来を目指す。
誰の希いに耳を傾けることなく、確かにそれは進み続けた。
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