夢枕
中村ハル
第1話
祖母も母も、碌でもない男が好きだった。
肉じゃがを箸で突きながらあんな男のどこがよかったのかと尋ねると、ふたりで顔を見合わせ「顔に決まってるじゃない」と口を揃える。
「あんたもでしょ。血筋よ」
母が食後のお茶を淹れながら笑った。
祖父は賭け事で勝った負けたと呷っていた酒が祟って早逝し、父は何人目かの愛人と通帳と一緒に姿を消した。私は祖母や母のようにはなりたくない。
そんなふうに思っていたのは、まだ夫と付き合い始めたばかりの頃であり、祖母が健在だった時の話だ。
だが、夫に、女が出来た。
私の夫も、顔だけはよい。
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