第37話 帰還
漫画を描こう 37
マシーン2台が林間を抜けてハイウェイに出ると、上空で追って来ていたガンシップが低空飛行に変わる。
「来なすったぜ。おさむさん、俺が転倒してもあんた一人で走ってくれ」
「何を言っている」
「仕方ないんだよ。ミサイル一発、俺たちの前にあるアスファルトに当てれば良いんだ。こっちは地を走る二輪車だ。石ころひとつで大転倒さ」
おさむが黙っていると、
「さぁ、できるだけのことはやろうじゃねぇか。おさむさん、とばすぜ」
その途端にガンシップが遥か上空へ上昇し旋回して飛び去って行く。
「奴さん、どうしたっていうんだい?」
前のアスファルトの道だけに注意を払っていたデイトナが拍子抜けしたように言う。
「ヘリだ、前方の空を見ろ」
おさむが声を掛けると
「ガンシップじゃねぇか。しかも5機」
戦わずして敵のガンシップを追い払ったガンシップから無線連絡が入る。
「聞こえるか、聞こえたなら回線が同調していると認識し、味方と認めるが」
ヘリからの無線におさむが答える、
「ああ、聞こえているさ」
「民間人ではないな。どうしてデスパイアの軍に追われている」
「決まっているじゃないか? 民間人じゃないからさ。俺はコマンドネーム、おさむ。先頭を走っているのはダチだ」
「ダチ?」
「そうだ。コマンドネーム、デイトナ、だ」
「デイトナ? それがコマンドネームですか? 了解、おさむリーダー。コマンドネームの認識は後で。こちらの状況を説明します。敵は一斉蜂起を試みましたが失敗に終わりました。現在、上空も地上も制圧できています。ただ1棟だけ抵抗しているビルがあります」
「デスパイア?」
「はい、人質を取り、立て籠っています」
「籠城作戦か、奴らの条件は?」
「味方の戦闘機が迎えに来た時に邪魔をせず、迎え入れろ、です」
「人質の名前と人数は?」
「一人です、ヴィス・キャプテン、樋口二葉であります」
「やっぱり、二葉か・・・」
「どうかしましたか?」
「問題ない。敵戦闘機が迎えにくる時間は?」
「こちらが、了解、を出してからになります」
「部隊長は何んと言っている?」
「間もなく承認すると思われます」
「了解した。先に戻って、おさむ、が向かっていると伝えてくれ」
「了解、先に戻って、リーダーが向かっていると伝えます」
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