第26話 のり、という薬
漫画を描こう 26
サギャンを乗せて基地へと突入した装甲車が、今度はサギャンを乗せてアジトへと戻る。
後ろにはサギャンの愛車、ジャガー・Eタイプ・リボーンが付いて走る。
救急処置棟に着くと、早々に大きなケースが処置室に運ばれ、処置が始まる。
処置室、それは戦場と同じように慌ただしい。
デスパイアの基地から運ばれてくる怪我人達で、廊下さえもベッド代わりに使われている。
その中を、怪我人を大股で跨ぐようにしながらやってくる人物がいる。
処置専門の男が先ほどの突入部隊の隊長に話しかける。
「持って帰られた身体は全て、のり、で繋ぎ合わせられた。ただ、足りない部分があるんだ」
「我々は全て持ち帰った。本当に足りない部分があるのか」
「ああ、ケースの隅から隅まで探したんだけどね。それに、のり、で伸ばして応急処置をした部分もあるくらいなんだ」
「何が足りない」
「左手の中指と薬指。右手の中指。左足の親指、これらは命に別状はないんだが。大切なものが足りないんだ」
「どこだ?」
「左胸の部分が見つからない」
「のり、で伸ばして接合できないのか」
「無茶を言うな。両脇にある腎臓、その上にある肝臓も伸ばして接合させたんだ。その部分を左胸に持っていかれちゃ多臓器不全で結局は生きちゃいられない」
「なんとかならないのか」
「彼女の胸の部分が欲しい」
二人の会話を聞いていた二葉が虚な目でフラフラと立ち上がる。
「二葉、何処へいくつもりだ」
「デスパイアの部屋」
「まだ戦闘は続いているんだぞ」
「デスパイアが逃亡したことが知れ渡ったら、もうすぐ静まる」
そう言い残すと二葉は、処置棟の前に止めてあるリボーンに再び乗った。
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