第25話 それぞれ

漫画を描こう 25


 デスパイア司令室では、トーマス・ウーマンの兵士達がサギャンの散らばった体を集めている。


「全てだ、全てを拾い集めるんだ」


 五人のうちの一人の兵士が叫んでいる。


「この箱に入れるんだ。俺たちは直ぐに救急処置棟へ行くぞ。さぁ早く集めるんだ。処置室へ持って運べばなんとかなるかもしれない」


 もう一人の兵士が二葉に声を掛ける、


「いつまでも泣いてちゃいけない。ここは戦場なんだ。だから、なんとかなるかもしれないではなく、サギャンを必ず蘇らせてみせるために。そして、みんなで生きて帰るんだ」


 兵士は、門の中で二葉の頬をありったけの力で叩いた警備兵である。


「早く、早く、全て拾い集められたら戦線離脱だ。早くしろ」


 主軸になっているのであろう兵士は更に続ける、


「お前とお前は先鋒を、お前達はこの箱を運べ、慎重にだ、命に変えても守り通せ。俺はしんがりを務める。二葉、歩け、自分の足で歩け。お前に構っている余裕などない」



 一方、その建物の下では、防音族を見送っていたおさむが、


「ここでの戦いは終わった。無駄な争いは禁物だ。だが、サギャンが居ない今、誰に知らせれば良い? 航空部隊は無理だ。そうか、陸上部隊しかなさそうだ」


 一人呟くと、向こうの方で爆音を立てながら進んでいる戦車部隊の方へと足を向ける。



 そして、追跡車両アルファ1を追いかけている防音族は。


「二輪で囲め、ヘルメットを投げてつけて袋叩きにしてやれ」


 龍之介は機動力に長けた二輪を先頭に走らせる。


 そこへ待ってましたとばかりに機関銃が火を吹く。


「怯むな、かわせ、風になれ」


 先頭を走るバイク集団のヘルメットの中、無茶を平気で命令する龍之介の声がヘッドセットマイクを付けた耳元でうるさいくらいに響く。

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