第23話 悲しみよ
漫画を描こう 23
先頭を切ってデスパイアの部屋へ入って来た兵士が言う、
「どうかしら? キングの頭に人差し指を置いて倒さなければならないのは、あなたじゃないかしら?」
「お前は」
「デスパイアよ、こんにちは」
「サギャンよ、こんにちは」
そしてサギャンが静かに命令する、
「さてと、こちらはおさむと二葉を加えて総員八名。あなたがたは、そこにいる兵隊さんが三人と手ぶらの独裁者が一人だけ。手を上げて大人しくしなさい」
「分かったよ、降参だ」
下を向いて答えるデスパイアは何故か笑っているようにも見える。
「物分かりが良い人は好きよ」
サギャンが小銃を下ろしながら応えるが、後ろのトーマス・ウーマンの兵士達は決して気を抜いた訳ではない。
しっかりと機関銃を構えたままで、いつでも応戦できる姿勢のままである。
そして、デスパイアが言う。
「但し、最後は華々しく散りたいものだ」
「何をする気?」
フランソワーズ・サギャンが、もう一度小銃を構えるが、
「悲しみよ、こんにちは」
デスパイアの合図と共に親衛隊三人の機関銃が火を吹いた。
「サギャン! サギャン」
二葉の絶叫が聞こえる。
親衛隊達の機関銃はサギャンだけを狙っていた。
周りのトーマス・ウーマンの兵士達は、サギャンに駆け寄る二葉の姿を横目で見ながら敵兵を撃ちまくる。
然しながら、デスパイア達は一瞬だけ出来た隙をついて、窓に取り付けてある非常用出口から脱出した。
そして、敷地内に停まっていた車、追跡用車両アルファ1に乗り込むと急発進でアスファルトを切り刻むような音を立てて逃走した。
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