第17話 歓迎されし者

漫画を描こう 17


 車が大きな門の前で停まる。


「ここまでは無事に来れたわね」


「決して無事だったとは思えないが、敵の門の前で車を横付けできることが信じられない」


「多分、今までの私たちの応戦を見て敵わないと思ったんじゃないかしら?」


「嘘だろ? こんな要塞みたいな基地に住んでる奴らがか?」


「とにかく呼び鈴を鳴らしましょう」


「礼儀正しいのは好きだが」


 二葉は車から降りて呼び鈴を鳴らす。

するとインターホンから声がする。


「よくここまで来れたものだ。敵ながら称賛に値するよ。こちらではお前たちが誰だか検討はついているが、名乗ってもらおう」


「ええ、良いわ。私はトーマス・ウーマン・ヴィス・キャプテン、樋口二葉。隣はリーダー、コマンドネーム、おさむ、これで良い?」


「やっぱりお前たちか? 入れ」


 インターホンから流れる声を聞いて、おさむが呆れたように言う、


「こんな程度で入れるのか?」


「歓迎してくれてるんじゃない?」


 扉が開くと十人余りの武装兵が出てきて、即座に二人を囲むと入念なボディチェックの後ロープで縛られ連行されて行く。


「確かに大歓迎だ」


 おさむが言う。


「喋るな、おかしな動きもするな、サインだと分かるとそのまま地下牢だ」


「あら隊長さん、どちらにしても地下牢行きじゃありませんこと」


「誰か、この女を黙れせろ」


 その言葉を聞いて一人の兵士が二葉の前に立ち、頬を平手打ちした。

二葉の唇から一筋の血が流れる。

そして、その兵士は更に二葉の襟首を掴みねじ上げるが、


「それくらいで良い、行くぞ」

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