第15話 男と女
漫画を描こう 15
二葉を一人乗せた銀色のマシーンが再びスピードを上げて走りだそうとした時、ガンシップがミサイルの照準を合わせる。
「来るわね、せめて最初の一発だけでも、ダメよ、何を弱気なことを言ってるの。最後の最後まで、ミサイルがなくなるまで、重機関砲の弾が無くなるまで逃げ切ってやる」
ガンシップは銀色のリボーンがスピードを落としたのを見て取ると殆どホバリング状態にして、完全に照準を合わせたかのように見える。
二葉は、もう一度、アクセルを精一杯に踏んでいるかを確かめるために、右足に力を込めるが、それ以上は踏み込めない。
全くの無心状態になった時、空中で強烈な爆発音がする。
ありったけの爆薬を一気に爆破させたような大きな音だ。
ブレーキを掛け、上空を見ると、大きな炎と爆煙の中から、鉄の残骸が落ちて来る。
二葉は反転すると、カーブを切った空き地へ戻る。
山間部にある小さな空き地には、一人の男が立っていた。
片手には小型のライフルをぶら下げている。
銃口からは細い煙が風に靡いて流れている。
ライフルの先には、先ほどまで装着されていたタンデム弾が無くなっている。
「おさむ」
男に駆け寄った二葉が、小さく声を掛ける。
「女一人を助けられないようで、どうして世界が救える?」
そう言いながら男は銃を持っていない方の手で二葉の肩を抱き寄せ、唇に近づく。
「うっ」
男の鼻から血が流れている。
「私、意外と石頭なの」
「それにしても、鼻に、頭突きを、入れなくても・・・」
「自分一人も守れない男なんて、世界を救えるわけないじゃない」
「息がし難い・・・」
「早く、乗って」
「ふはぁい」
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