第12話 タンデム

漫画を描こう 12


 脇道から出てきた車を見ながらオサムが呟く、


「あれはレーシングマシーンでもダンプカーでもない、装甲車だ」


 それに答えて二葉が言う、


「なら大丈夫ね、追いつけるわけがない」


「どうかな、迫って来ているように見えるが」


 その言葉を聞いて二葉がバックミラーを除く。


「おかしいわ。たかが装甲車でリボーンに追いつける訳が無い」


「いや、おかしくはないさ。装甲車の背面を見てみろ、青い光が見える」


「それって?」


「ああ、間違いがなければ、あれは俺たちの積んでいる直列式のターボでもなく、スーパーチャージャーでもない。あれはジェットエンジンだ。まぁ、スーパーチャージャーは積んでいると思うがね」


「ジェットならスーパーチャージャーを積んでいるのは当たり前じゃない」


「どうする? 二葉?」


「そこを右に折れて、もう一度山道に入るわ」


「確かにこっちの方が小回りは効くが、どう見てもあの山道はまっすぐに上り坂だ」


「上り坂があれば下り坂もあるってことよ」


 オサムは言っている意味が分からず両手を広げる。


「何をボーっとしているの? ダッシュボードを開けて」


 おさむがダッシュボードを開けると


「こいつは小型のライフルじゃないか、こんなもので装甲車を本気で撃退できると思っているんじゃないだろうな??」


「その奥を見て」


 おさむが奥へ手を入れて大きなロート状のものを取り出す。


「成形炸裂弾?」


「そう、でもただの対戦車用じゃないわ」


「やけに重いが?」


「タンデム弾」


「おいおい、そんなものまで持っているのか?」


「無駄口は叩かないの、これで私が運転、貴方が助手席、意味がわかった?」


「ああ、充分すぎるくらいにね」


「分かったらサンルーフを開けて」


「嘘だろ、このスピードで屋根から体を出せ、ってか」

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