第11話 追跡者達

漫画を描こう 11


 銀色のリボーンの後ろを走っている車から無線機のスピーカーの乾いた声がする、


「こちら本部、アルファ1聴こえるか、応答せよ」


「聞こえてるよ、こちらアルファ1だ」


「追跡状況を報告しろ」


「追跡だって? 捕まえるどころか追いつくだけで精一杯だぜ。カーブで減速した時になんとか追いつけているが、カーブを出てからの加速が半端ない。間違い無く、あのジャガーは直列式のターボエンジンを積んでいる。しかも、減速から加速のターボ・ラグを埋めるためにスーパーチャージャーを使っているはずだ」


「了解、アルファ1。追跡はそこまでだ。山を降りればハイウェイに出る。そこにインターセプター3を配置させておく。あとは。そいつに任せろ」


「ああ、分かった。然し、国道を反対方向に折れたらどうする?」


「その心配はない。奴等は真っ直ぐに本部に向かってくるはずだ」


「了解、ただし追跡は続ける。後ろからプレッシャーを掛ける」


「了解した、アルファ1。頼む」


 そして、その頃リボーンの車内では。


「大したもんだよ、このジャガー・リボーンはどこまで改造しているんだい?」


「エンジン、足まわり、他にも色々よ」


 おさむの質問に二葉が答える。


「おかしいわ」


 おさむの質問に答えたあとチラと蒼空を見た二葉が不安そうに言う。

おさむが空を見ると一筋の雲が見えた。


「あれは?」


「そうよ、飛行機雲。奴らの戦闘機、それにしても早すぎる」


「どう言うことだ」


「奴らの滑走路は、本部よりもはるかに離れている。アジトへの到着が早すぎる」


「空爆が始まるのか?」


「ええ、そうよ。アジトは立派な屋敷だけど、なんと言っても元は民家、ミサイル一っ発で木っ端微塵よ」


「サギャンと仲間たちは、どうなる?」


「心配だわ。逃げ切れてくれれば良いのだけれど・・・」


 リボーンが山道を抜け、ハイウェイを右に折れて暫くすると、


「撒けたようだな」


「あの程度の車ならへっちゃらよ」


「そう、あの程度ならな。でも今は違う、後ろから飛び出してきた車は普通には見えない。間違い無くインターセプターだ」


 おさむの言葉を聞いて二葉がバックミラーを見ると、


「そのようね、やっとまともな相手が登場のようね」


「大丈夫なのか?」


「私の運転? それとも車の性能のことかしら?」


「両方だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る