第10話 追いかける者

漫画を描こう 10


 ジャガー・リボーンが太陽の光を浴びて、その銀色に輝く車体で屋敷を後にする。


「空爆か・・・」


 助手席で、おさむが何となくのように声にする。


「そう、私達は切られても折られても、のり、さえあれば復活できる。でも灰にされたら・・・、2度と復活できない。こんな争い、早く終われば良いのに」


 真っ直ぐに前を見ながらハンドルを握っている二葉の返答に、


「そう、そうだったな」


 おさむは、この世界の住人になったように同調する。


「そう言えば新しい上司のサギャン、いつも笑顔を忘れないとはね、大したものだよ」


「サギャンは、いつも孤独なの」


「それって、どう言うことだい?」


「彼女は誰とも同調しない、いえ、同調できないのかもしれない。だから、誰かと居るときは笑顔を忘れない、人が多ければ多い時ほど、疎外感を感じるの」


「分からなくもないが、恋人はいないのかい?」


「いないわ。以前、彼女が言っていたの、「人って人生において所有を望む。恋愛ともなれば、その所有欲はさらに強くなる。でも、これって、とっても恐ろしい事なのよね。だって、他人の幸せのことを考えなくなるもの」ってね」


「それも分かるような気がするよ。同調できない、か・・・」


「フランソワーズ・サギャン。そんな人よ」


 猛スピードで走っているリボーンが坂を登り切った時、車体は大きくジャンプした。

車体が火花を散らしながら着地した時、脇道から1台の車が出てきた。


「来たわね」


「追手か?」


「ええ、そのようね。もっとスピードを上げるわ」

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