第5話 極悪とは

漫画を描こう 5


 扉の向こうで声がする。


「トイレか・・・」


 もう一人の男がそれに応える、


「俺たちは男だ、女性用トイレには入れない」


「当然だ、どんなに極悪な人間でも、女性用トイレには入れない。それは、極悪非道を超えた行為だ」


「と言うことは、おさむは男子トイレに隠れている」


「そうだ、女性は男子トイレに入っても問題にならない。樋口二葉は間違いなく男子トイレにいるはずだ」


「突入するぞ、なぁーに相手はピストルだ。体に小さな穴が開くだけだ。俺たちのこの剣で切り刻んでやるさ」


 女性用トイレの壁一枚向こうで荒々しく扉が開け放たれる音がする。


「居ないぞ」


「まかれたか」


「反対の通路を探してみよう」


 男たちが向こうの通路へ走り去っていくと、女性用トイレで帝塚山先生が両膝を着いて、項垂れている。


「おさむ、どうしたの?」


 と二葉が問いかける。


「俺は、なんてことをしでかしてしまったんだ・・・、極悪非道を超えた行為をしてしまうなんて・・・、とんでもない奴だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る