第35話プリティスカイ

空に浮かんだ雲を追う。

まだ早い年ごろに、息を吐くままに、つぶさな仕草で、円らな瞳を閉じないで。

少女の夢に出でくる憧れの王子さまは、白馬から降りる前に、剣をしまう

そして、薔薇よりもきれいな空を見てごらんという。

空の夕雲がかかり、緊張から解放された王子様は、そっと呟く。

明日もいい日でありますように。

一日の疲れをいやす風が、南から吹いてきて、ささやかな晩酌へ向かう空を通る

森の先に広がった世界は、少女の心を取り戻す瞬間に、少年だった頃、王子様は、数えた。

多くの苦しみよりも、幸せな情景を数えて、生きていきたいと。

でも、大人になれば、叶わないから、ただ日々が通り過ぎていくぼんやりとした感覚に、負けたくないと言った荒野で、狩りをするライオンから目を逸らした。

兎が跳んで、南中から下っていくそり滑りのような太陽を視線に絡めて、ほどいていく方法が見つからない。

だから、夢を語る。

その瞬間だけは、すべてを忘れられる。

追憶なんていらないと言った青春の日に、君に出会えた軌跡を信じている。

言葉ではなく思いを信じるスタンスが、階段を上っていく成長の証に、独りきりの時間。

膝が擦り切れて、泣きたいときに、誰かの声が聴きたい。

でも、人生なんて大きく振りかざした言葉で括らないでよ。

叫び声が、届かないから、僕は、と呟いた先に、今が暗闇にさえぎられて眠っていく。

目を閉じるなら、開けない事を恐れるから、ずっと太陽だけを見つめていたい。

できないから、荒野から声がして、避けられない運命を進む。

連れ立つ人もない。

独りきり

そんな明け方に、また日が昇る

繰り返す日々に、陶酔よりも、よく目で見てほしい

すると、人はいつだって一人なんだと気づく。

空に浮かんだ雲を追う。

その瞬間だけは、何かを肯定できる。

兎の耳を愛してる。

少年だった頃の夢が、今を語る時に、時間を忘れた冒険をこれからは、誰かと見たいというのは弱さですか?

答えよりも実感が欲しい。

透けてしまう体に、情熱の声を。届いてほしいあの空までにも。

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