第30話ポップラベル

缶詰のシールに貼ってあるオレンジの絵に、物思いの季節。

もどかしいような気分で、フィールバッド

朝に、缶詰を切って、オレンジを出す。

だけど、甘い味に、少しブルーになった。

なんでだろうと思って、あの日、あの子と屋根裏部屋の中で、隠れて食べた味だった。

思い出す。

繰り返す日々に、飽きてくる、変化がいるって言って、屋根裏部屋に隠れた。

思い出の味

今では少しブルーなんだ。

屋根裏から窓を開けた。

光が入ってきて、目が痛くなる。

暗闇になれていない。

怖いって泣いた君に、愛おしい気持ちがして、でも手さえ握れなかった。

大人になって、別れの時が来て、君は、地元の会社に就職した。

僕は、根無し草のまま、生きていくのに嫌気がさして、現実が見えてくると、急いで、就職先を探す。

それから、恋人ができるたびに、時々君を想い出す。

ポップラベルの記憶は、暗い部屋のオレンジだから。

ポップラベルの記憶は、暗い部屋の君の泣き顔。

こんなにも愛おしい気持ちになれるなんて、僕は幸せだよ。マイスウィートラバー

そう呟いてみると、歯の浮いたようなセリフねって、恋人が笑うから、僕は、「君のことだよ」という。

首を傾げて、恋人は、言葉に詰まる。

僕のジョークだってとって、下手なジョークというから、それから黙り込んで、抱きしめ合う瞬間に、繊細な女の子だったら気づくはず。

悟られないように、愛そうとすると拒絶され、僕はダメなやつだとへこむんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る