第2話 外れジョブ四名だって……
一番は太川くんだった。こういう時はいつも一番で目立ちたがりの太川くんは自信満々に水晶に手を触れたんだ。
【ステータス】
名前∶コウスケ·タガワ
種族∶人
年齢∶十五才
性別∶男
ジョブ∶英雄
レベル∶01
体力∶1,500
魔力∶1,200
技能∶英雄剣技·英雄魔法
「オオオーッ!! え、英雄!! コウスケ様は千年に一人と言われる英雄でございましたか!?」
宰相であるチャガが太川くんのステータスを見て驚いてるよ。
「フン、まあ当然だな」
「キャーッ、やっぱり太川くんって素敵ね!」
彼女がいる太川くんだけど、それでも女子からの人気は高い。顔もイケメンだし、頭も良くて成績も良いし、スポーツ万能だしね。
僕を虐めなければもっと人気者になるだろうって思うんだけどね。
「つ、次は俺だーっ!」
おっと宮坂くんだ。
【ステータス】
名前∶コウタ·ミヤサカ
種族∶人
年齢∶十五才
性別∶男
ジョブ∶剣神
レベル∶01
体力∶1,800
魔力∶900
技能∶全剣技·身体強化
「こ、これは凄い! コウタ様は剣神ですとっ!? 鍛えられればありとあらゆる敵を斬り伏せられましょう!!」
「チェッ、コウスケほどじゃ無かったか」
「ハハハ、そう腐るなコウタ。凄いジョブじゃないか」
「次はワタシね」
花川さんが水晶に手を置くと、
【ステータス】
名前∶ヤエ·ハナカワ
種族∶人
年齢∶十五才
性別∶女
ジョブ∶女傑
レベル∶01
体力∶1,200
魔力∶1,000
技能∶女傑剣法·女傑魔法
「これは!? ヤエ様は伝説の女傑!! 英雄と並び立つ素晴らしいジョブですぞ!!」
「やったね! やっぱりワタシがコウスケに相応しい女なんだね!!」
「キャー、ヤエちゃん凄いねぇ!」
玉城さんが花川さんをヨイショしてるよ。でも僕は知ってるんだ、玉城さんは機会があれば花川さんを蹴落としたいって思ってるのを。
何で知ってるのかって? 宮坂くんと二人だけで僕を虐めてるときに宮坂くんに聞こえないように僕の耳元でそう言ってたからね。いつか花川のヤツを蹴落としてやるって。
【ステータス】
名前∶ナツキ·タマシロ
種族∶人
年齢∶十五才
性別∶女
ジョブ∶魔女王
レベル∶01
体力∶800
魔力∶2,000
技能∶全魔法
「なっ!? ナツキ様は魔女王!! 全ての魔法を使いこなし、その魔法の前では生きている敵は居ないと言われる伝説の!?」
「エヘヘ〜、ミャーくん、私女王だって〜」
クラスの上位四人はみんな凄いジョブだったみたいだ。それからクラスメートたちも次々に水晶に手を置いていき、みんなそれなりのジョブだったみたいだ。
そして、残り四人になった。クラスの下位に位置する僕たちのステータスは……
【ステータス】
名前∶サヤカ·タナヤ
種族∶人(マジョ)
年齢∶十五才
性別∶女
ジョブ∶
レベル∶(0)01
体力∶80
魔力∶100
技能∶腐女(扶助)魔法
【ステータス】
名前∶ゴウキ·ナカヤ
種族∶人(ケショウノモノ)
年齢∶十五才
性別∶男
ジョブ∶
レベル∶(0)01
体力∶120
魔力∶95
技能∶不妊(賦忍)法
【ステータス】
名前∶サイク·サカヤ
種族∶人(ゼツビ)
年齢∶十五才
性別∶女
ジョブ∶
レベル∶(0)01
体力∶80
魔力∶200
技能∶不細工(無細孔)加工
【ステータス】
名前∶アナシ·アナヤ
種族∶人(ソウヨウオウ)
年齢∶十五才
性別∶男
ジョブ∶
レベル∶(0)01
体力∶50
魔力∶50
技能∶穴痒(結界)法
【注( )内は他の者には見えてません。本人たちだけ見えてます。】
う〜ん…… コレって僕だけなんだろうか?
あ、サイクさんも多分だけど僕と同じだったんだね。
「ギャーハッハッハッ! 何だよ、アナシ!
宮坂くんは僕のステータスを見て馬鹿笑いしてる。
そう言えば、宮坂くんはサヤカさん、ゴウキくん、サイクさんの時も馬鹿笑いしてたってけ。
「先の三人もたいがいだと思ったけど、お前が一番笑かしてくれるなぁ、やっぱりアナシだよっとっ!!」
最後の言葉と同時に宮坂くんに蹴り飛ばされた僕。でも大丈夫。当たる瞬間に自分から後ろに飛んでるからね。大して痛くないんだ。宮坂くんはそれに気が付かずに自分の蹴りは凄い威力だって勘違いしてるようだけどね。
そこでチャガが話しかけてきた。
「どうやら申し訳ありませんが皆さま四人は我らの役には立たないようでございますな…… 金貨三枚をお渡ししますのでこの国から出ていってくだされ。金貨三枚の価値は庶民が五年は働かずに食べていけるものでございますから、皆さまも何とかなる筈でございます。よろしいですな」
その言葉にサイクさんが頷いているのを見て、僕も頷く。見ればサヤカさんとゴウキくんも頷いていた。
そこでチャガに命じられた騎士さんに案内されて僕たちはお城を出た。そう、僕たちが召喚された場所はお城の中だったんだ。
そのまま隣国行きの馬車乗り場まで連れて行かれた僕たち。騎士さんは僕たち一人一人に革袋を手渡す。そして……
「本来ならばこの革袋の中の金貨で馬車賃を出させるのだが…… 君たちは私から見てもまだ幼い。私にも君たちぐらいの年の娘がいる。何の罪滅ぼしにもならないが、この馬車賃は私が出しておく。それから、良いかい、この国を出たら人の話を良く聞くのだ。この国で聞いた話を鵜呑みにしてはいけない。自分たちの目で確かめるんだよ…… これが何も出来ない私からの忠告だ…… 元気で暮らすのだよ……」
どうやらまともな人もこの国には居るんだね。僕たち四人は騎士さんに有難うと言って馬車に乗り込んだ。客は僕たち四人だけだったから、馬車内で僕たちは自分たちのステータスについて語りあったんだ。
すると驚くべき事が分かったんだよ。僕とサイクさんだけじゃなくて、サヤカさんとゴウキくんも( )付ジョブだったんだって。
それと、たまたまサヤカさんが前の子のステータスが見えたらしいんだけど、その子のレベル表記は二桁だったって。
僕たちは三桁なんだ。これが何を表すのか…… 僕たちは話合いを重ねたんだ。
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