第17話 魔銃士、山賊に拠点を案内させる
リーダー格の、黒い鎧を纏った青髪の男が俺に近寄ってきて右手を差し出してきた。髪色より薄い色の瞳には力強さと聡明さがあり、俺は好感を持った。典型的な脳筋という訳ではなさそうだ。
「改めて礼を言う。おれはエドワードだ、気軽にエドと呼んでほしい」
「俺はソー。こっちは相棒のルチアだ、もう気付いているだろうけど、異世界人だ」
互いにほどよい力加減の握手を交わし、自己紹介をする。エドの後ろには冒険者たちが居並ぶ。男が殆どだが女も二人いる。ひとりはローブ姿で、魔法使いや聖職者など後方支援組かもな。ひとりは革製の軽鎧に身を包んでおり、前衛とも後衛とも取れるな。しかし女性たちに女性ならではの被害が加えられなくて良かった。見た限り衣類に損傷はないから、その手の被害はすんでの所で免れたようだ。間に合って良かった。
累々と転がる山賊どもの屍を前に、俺はエドから事情を聞く。
「
実力が違いすぎて、手も足も出なかったとエドは口惜しそうに唇を噛み俯いてしまった。
「なるほど、事情は判った。でも街道から少し外れているとはいえ山賊が出没したのはマズいな。まだ残党がいるかも知れないし……ルチア、そういえばその件はどうなった?」
――残念な報せだよ。この
「それでも高ランクの冒険者崩れが山賊になっているのか」
ルチアからの情報をエドに伝えると、彼は自分たちよりも格上がまだいると知り肩を落としてしまった。
「エド、
「冒険者ギルドで山賊出没の報告をしなきゃいけないから、しばらくギルドにいる。おれはできたら、ソーたちとパーティーを組んでクエストに臨みたいな」
「それもいいかな」
再会を願いながら俺たちはもう一度握手を飼わず。パーティーを組み直したエドは複数の荷馬車を囲み、トレースの都へと向かった。
さて、俺たちは悪党退治と行きますか。俺は空間魔法ポーチから山賊の
「お、おいテメェふざけんな! 空間魔法の中に
「どういうことだルチア?」
『空間魔法ポーチの中には普通、
なんてこったい。俺は無意識に空間魔法ポーチの中で死体をこしらえるところだったか。うーん、この世界のお尋ね者って生死問わずなのかな。アメリカの
「お前らの拠点はアジトはどこにある?」
「この
空間魔法ポーチの中で瀕死になったせいか、山賊の
「中央にある一番大きな邸宅が、俺らのアジトです」
『魔法によるトラップはなさそうだよ。それにCからBランクの元冒険者くずれが五人いる。今ならだらけきっているよ』
どうやら
「ルチア、また麻痺の咆哮を頼む。今度全員生け捕るつもりだからな」
『判ったよ。運ぶときには部下たちを、ボクの毛に結びつければいいよ』
成体となったルチアなら五人の成人くらい、楽に運べるだろう。まだ商人から貰ったロープはある。手っ取り早く片付けるとするか。
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