スーパー美少女転校生

 教壇に立った転校生を見て、オレはボーゼンとしていた。

 いや、オレだけじゃない。

 クラスメイトたちのほとんどが、完全に言葉を失っている。


 土器手どきて みく


 黒板に書かれた文字が、この転校生の名前だ。

 サラッサラな、黒髪ストレートのロングヘア。

 ミニ丈で、アチコチにフリルがついたブラックドレス。

 こういうの、たしかゴスって言うんだっけ?


 和美が言っていた通り、彼女はとんでもなく可愛かった。

 まさに、スーパー美少女。

 顔も、スタイルも、怖いくらいに整ってる。

 教室のアチコチから、『か、可愛い……』という、女子たちのため息が聞こえた。


「土器手さんのお席は、窓際の一番後ろになります。古住くん、手をあげて」


「は、はい」


 先生に言われて、オレはハッと手をあげる。

 転校生が、オレのとなりに来るのはわかっていた。

 今朝、教室に入った時、新しい机がオレのとなりに置かれていたからだ。


「古住くん。土器手さんに親切にしてあげてくださいね」


「は、はい。わ、わかりました」


 土器手さんが教壇を下り、こちらに歩いてくる。

 歩き方が、めっちゃ上品。

 クラスメイト全員が、彼女に注目していた。

 となりに座った土器手さんが、オレにほほ笑む。


「よろしくお願いします、古住さん。土器手 みく です」


「あ、は、はい。どうも。こちらこそ。古住 碧です。よろしくお願いします」


 近くで見る土器手さんは、やはりものすごい美人だった。

 こんなキレイな人、オレは生まれて初めて見る。

 言葉が正しいのかどうかはわからないけど、『この世のものとは思えない』美しさ。


 肌が、透き通るように白い。

 おまけに彼女がとなりに来ただけで、なんだかとても良い匂いがした。


 こ、これが……本物の美人か……。

 すご、すご、すごすぎるだろう……。

 キレイすぎて、緊張しまくる……。


 しかし、これ、オレ……ラッキーなんだろうか?

 なんか、その、ドキドキして、授業とかマトモに聞けそうにないんだけど?


 生まれて初めて見る、なまのスーパー美少女。

 なんとなく、幸せな気持ち。


 だがその時のオレは、まだあまりよくわかっていなかった。

 本当のドキドキは、その日の放課後にやってきたのだ。


 つまり――あの青い隕石にまつわる、かなりアレな出来事である。

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