第44話 夜染真菰の試練 前編

──side真菰


「ここは…」


今私の前には装飾がゴテゴテのでかい門がある

周りには何も無いしこの門を潜ればいいのかな…一応魔法が使えるか試してみよ


……んー使えないなぁ


じゃあもうやることないし潜ろうかな…すっごい不安だけど…


不安に苛まれながらも門を開け中に進んでいく。光に包まれたかと思うと意識が暗転していった





「ほら起きなさい真菰!今日学校でしょ!」

「大声出さなくても聞こえてるよお母さん」


うぅ…頭痛い…


「ほら元気が出るからご飯食べるのよ…って貴方どうしたの?」

「いや何か凄い長い夢を見てたような気が…んーなんだったんだろ」

「まぁよく分からないけど遅刻しないようにね!母さんもう仕事行ってくるから」

「行ってらっしゃーい」


どんな夢だったかなぁ…

ってやばもうこんな時間じゃん速く行かないと



「おはよー」

「昨日のアニメ見たー?」

「見た見た!面白かったよね!」


中学校に向かう傍らそんな声が聞こえてくる

良いなぁ…私もそのアニメの話したいなぁ…

しかし話しかけれない…陰キャは辛いね…


「おはよう夜染。良い朝だね」

「あっ朽木ーおはよー」


そんな陰キャな私の唯一の友人である朽木から声をかけられる


「今日は出るの遅いんだね」

「いやー朝起きれなくて…」

「寝不足?ちゃんと寝なよ?」

「もちもち。夜染はなんでこんな時間に?」

「寝てた」

「俺と同じじゃねぇか」


朽木はなんか目にハイライトないしいっつも胡散臭い笑みを浮かべてるけど私を気遣ってくれてるのが節々から伝わってきたり話しやすいからとてもいい友人だ


「今日テストだけど朽木は勉強したの?」

「はっはっは」

「…してないんだね」

「勉強が億劫で億劫で…」

「今度勉強会しようね」

「えー…まぁ夜染ならまだ大丈夫か」ボソッ


最後の言葉は小さくて聞き取れなかったけどとりあえず口で言うように嫌がってるようには見えなかった


「勉強終わったらゲームしよゲーム」

「おっいいねー」


そんな事を話しながら学校に向かっていく




──3時間後


「朽木大丈夫ー?」

「死んでる」

「ボロボロだったんだね」


テストが終わった後朽木と話をしに行くと机に突っ伏し意気消沈の朽木の姿があった


「明日も明後日もテストとか信じたくない」

「帰り図書館とかで勉強する?」

「えーやりたくない…」

「高校受験の時困るよそんなんじゃ」

「高校かぁ…受験かぁ…近くの高校の偏差値っていくつだっけ」

「46とかじゃなかった?」

「おーし一緒に勉強しようぜ」

「頑張ろ頑張ろ」


46も無かったんだね今…いや私も割とギリギリだけど

遠くの高校なんて行きたくないもんなぁ…




勉強が終わり朽木と一緒に家へと帰る

結構家が近いので帰り道が同じになるからだ

別に1人で帰るのが寂しいからとかそんなんじゃない。ないったらない


「疲れた…」

「結構頑張ってたもんね朽木」

「高校受験失敗は洒落になんないからなぁ…」

「頑張って一緒に受かろうね」

「おうもちろん」


友達と喋りながら帰るこのいつもの光景が何故かとても幸せに感じる

いつまでもこんな日々が続けば良いなと思った


「あっそうだ朽木帰りコンビニ寄ってアイスでも買お…う……よ?」


…何?何?何?何?何なの?何があったの?何?何?何?何???

あまりにも現実とは思えない光景に汗が吹き出し動揺が止まらなくなる


声をかけ朽木の方へ振り向くと朽木の頭が地面に落ちていた


「………えっ…?」


動揺も止まらぬまま震える声で困惑を露わにする


その顔はこちらを恨めしそうに睨んでいた

目は血走り所々骨が見えこれがさっきまで普通に話していた友人の成れの果てかもしれないなんて思いたくない


血走った目と目が合ったかと思うと朽木の頭が言葉を紡ぐ


「お前のせいだ。お前のせいだ。お前のせいだ。お前のせいだ。お前のせいでこうなった。お前が生きてるせいでこうなった。お前のせいで…お前のせいで…」

「ひっ…あぁ…え…?」


朽木の頭が私に恨みを吐き続ける

非現実的な光景にガリガリと私の精神が削られていく

怖い、怖い、怖い、怖い…


そう思っていると四方八方至る所からも私に対する恨みが聞こえてくる

木が家が犬が空が私を血走った目でじっと見て…私に恨みを吐いてくる


「「「「お前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだ」」」」


苦しくて、苦しくて…どうしようもなくなって…私はそこで意識を手放した





「真菰ーあんたまだ寝てるのー?早く高校行きなさい」

「え…?」


今の…は…夢…?

あれ…私何の夢を…見ていたんだろ…


ってやばいやばい早く高校行かないと


ベッドから飛び起きてさっさと着替えて高校に向かう


高校に入学してからもう4ヶ月も経つがまだまだ慣れる気配がない


急いで家を出たがまだまだ遅刻までは時間がある。ゆっくりと歩いて高校に向かおう


「ん?おはよー了真ー」

「あれ?今日も遅いのかお前。おうおはよ真菰」

「昨日は別に遅くなくない?」

「いや今日の時間とほぼ同じだっただろうが」

「覚えてなーい」

「何だこいつ」


私を引き気味で見る無礼千万なこの男は了真

私の中学時代からの親友である


目にハイライトは相変わらずないが自然に笑うことが最近増えてきた。嬉しい


「今日の課題やった?」

「もちろん…てか昨日通話した時にやってただろうが一緒に」

「あれ?そうだったっけ?」

「お前本当に大丈夫か?」


辞めてそんな目で見ないで了真…

本当に覚えてないんだよぉ…


「そういや昨日のアニメ見た?面白かったよなあれ。晴ちゃんからオススメされたから見てみたけど最高だったわ流石に」

「晴のオススメ外れないもんね」

「すんげぇ助かってるわぁ」


そんな取り留めのないことを話しながら歩いていると高校に着く


「ん?もう着いたのか…やっぱ喋ってると一瞬だな」

「頑張ろうね授業」

「頑張りたくねぇなぁ…」


そんな事言わないの


──5時間後


「お疲れ様ー」

「んーお疲れー」

「今日帰りコンビニ寄ってお菓子買って帰らない?」

「おーいいねーその後家でゲームでもする?」

「する!」

「元気な返事ーんじゃ行こっか」

「親に連絡しとくね」

「おけおけ俺も連絡しとこ」

「今日は何のゲームするの?」

「やりたいのとかある?無いんだったらスマ○ラでもしようや」

「良いねスマブ○」

「OKやるゲームも決まったしさっさと行くべ」

「GOGOー」


今日は勝ち越してやるぞー


…何か悪いことが起こりそうな予感がしてきたけど何でだろ。負けまくるのかな


────────────────────

カァッ(モチベに繋がるので感想や星ください)

カァッ(1話で終わらんかったんで前後編スタイルにしました)

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