第43話 守谷咲良の試練

──side咲良


「ん…ここは…」


私は確か…あぁ試練中でしたね…


ではこの目の前の門を潜れば試練が始まると言うことでしょうか…


心と向き合う……心当たりしかないですね…



そんな事を考えながら門の前で佇んでいてもどうにもならないので門を開けて先に進む


門の先を進むと懐かしくも思い出したくない光景が目に飛び込んでくる


「どうして貴方はこんな事も出来ないの!神様に顔向け出来ないでしょ!」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」


私は田舎にあるとある神様を祀っている守谷家の長女としてこの世に生を受けた


昔から早く何かをすると言う事が苦手でいつもいつも怒られてばっかりだった私は謝るのが癖になってしまっていた


何をしても、何をやっても怒られて…楽しいことなんて1つも無かった


巫女になんてなりたくないのに巫女になるために努力しなさい頑張りなさいってガミガミガミガミ…正直ウザくて仕方がなかった


その癖自主性を育むとか何かで自分で考えて努力しなさいとか言われて…何をやってもダメだしされるから自分で考えることすら嫌になっていった


謝るのが癖で自主性がない人間が周りと良好な関係を築ける訳もなく私は当然のように学校で孤立した


学校にも家にも居場所はなくて日に日に生きる意欲が削がれて行った


それでも頑張ればいつか褒めてくれると思って命を削って頑張り続けた


勉強も頑張って巫女になる為の努力もただひたすらに頑張った


結局何をしても褒められなかったけど


そんなある日母親が急逝した

心労による心不全らしい


私以外に心を痛めてる様子なんてなかったしどうやら私が原因らしい


最後まで母は私に傷を残した


それから仕事で家を空ける事が多かった父が家に居る時間が多くなった


父だけはずっと私の味方だったので凄く嬉しかった。こんな事を思ってはいけないのに母が死んで良かったと思ってしまった


父はずっと私に寄り添ってくれた


私のトラウマと化してしまった日々を忘れさせるように色んな所に連れて行ってくれて色んなことをさせてくれた


父が家に居るようになってからは笑って過ごせる日々が多くなっていった


中学を卒業する頃には私は人並みに話せるようになっていた


たまに言葉が伸びてしまったりするしまだまだ行動が遅かったりするけど、それでも周りから排斥される事は無くなった


高校は東京の所に行く事にした


やりたい事が見つかったのも大きいが丁度お父さんも東京に転勤することになったし何よりここに居たくなかったから


高校では友達も出来てとても楽しい日々を送ることが出来た




そんなある日人生を変える出来事が起きた


あれは高校を卒業する1週間ぐらい前、いつものように友達と話してから家に帰った時だった。その日はいつもは家で出迎えてくれる父さんが外で出迎えてくれていた


何かあったのかなと思いつつ声をかけようと近づいていくと様子がおかしい事に気付く


目の焦点が合わず何かをぶつぶつと呟いている


「あの女…あの女…あの女のせいで…」


聞き取れたのは名前も分からない女の人への深い深い恨み節だった


声をかけようと近づくと突然父さんの体が膨張し化け物の姿になった


突然の事に動揺し腰を抜かしてしまった私に元父さんの拳が迫り…死を覚悟し目を瞑った私の前にその人は現れた


「よっと」


その人は襲われそうになった私を拳一つで救い父さんも何てことの無いように救ってみせた


実態の分からない実家の神様よりも何倍も何倍も美しく神々しかった


そのお姉さんは誰かと会話したかと思うとこちらに振り向き手を出してくる


何が起きたのか分からない私にお姉さんが声をかける


「んーどうやら嬢ちゃんも素質があるみたいなんだけど…私と一緒に魔法少女になる気ない?」


あまりにも唐突に言われたものだから少しの間ポカーンとしてしまったが自分と父さんを救ってくれた恩人と同じ力を得れるなら私も自分に自信が持てると思って…気が付けばお姉さんの手を取っていた


「辛いこととか一杯あるけど大丈夫か?」

「昔より辛いことなんてないので大丈夫です!」

「嬢ちゃんも何かあった口?…まぁいいやよろしくな嬢ちゃん。私は灰崎凛って言うんだ、気軽に凛って呼んでくれていいぞ」

「よろしくお願いします凛さん!私は守谷咲良って言います!」

「ははっ、これからよろしくな咲良」

「はいっ!」


この日から凛さんと過ごすことが多くなって色んな経験をした


最初は魔法を使おうとすると自動で着てしまう巫女服に辛い日々が思い出されてしまって辛くなっちゃうことがあったけど


凛さんと過ごすうちにそんなの思い出さなくなっていった


凛さんはとてもかっこいい

頼りになるし甘えさせてくれるし辛い時は静かに寄り添ってくれる


凛さんは本当に私にとって恩人だ

いつか絶対恩返しがしたい


そう思いながら流れていく過去の映像を見ているといつの間にか視界が暗くなっていく





「ん〜…」


ここは…私は戻って…


「おー戻ったか咲良。晴と真菰はまだっぽいし神様もどっか行っちまったから暇だったんだよ。強化された魔法の試運転でもしながら私と話そうぜ」

「もちろん!私の力見せてあげますよ!」

「何か昔みたいな喋り方になったな…咲良も試練過去回想だったのか?」

「えっそんなに分かりやすいですか?昔の色んな思い出に浸ってたら終わりましたよ試練」


懐かしい光景見てたら終わったけどあんなので良かったのかなぁ…


「私もそんな感じだったしアイツらもそうなんかね?…まぁいいやよいしょ」ギュッ

「りりりりりりり凛さん!?」

「目覚まし時計みたいになってんぞ咲良…いや辛そうだったから慰めてやらねぇとって思って…」

「そんなに辛くは…あれ?」

「ほら泣いてんじゃねぇか…よしよし大丈夫だからなー。私がついてるからな」


気付かない間に傷ついてた心が凛さんのお陰で癒されていく


10分くらいたっぷり慰めてもらってから魔法の試運転を凛さんと一緒に始めていく




やっぱりかっこ良すぎるな凛さん


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カァッ(モチベに繋がるので感想や星ください)

カァッ(試練描写難しすぎて禿げそう)

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