第34話 歩法

ごはんを食べたあとも少し話してから夜も更けてきたので全員で就寝する


そして全員が寝息を立てたのを確認した後音を出さないようにそーっとその場を離れ結界の外に出る


常に全身を強化している弊害なのかは分からないが目がギンギンなためあまり音を出さないように修行を始める


修行と言ってもとても簡単なもので1部に集中的に魔力を込めるだけである

例えば指先のみに魔力を込めたりとかそんなの


それをすることによって魔力を円滑に素早く好きな部位に流せるようになると言う魂胆だ


御託はいいのでさっさと魔力を集中させ始める


…結構難しいな。気を抜いたら許容量以上に魔力を注いで爆発させてしまいそう

爆発させたら流石に起こしちゃうだろうし…

もっと遠くに離れてやるか


どうせ死なんしええやろ多分


そう思いもっと遠くへ行こうと歩を進めた瞬間に声をかけられる


「何してんの?リョーマ」

「…師匠?」





「もー勝手に抜け出して修行なんて駄目だよリョーマー。修行するなら私を呼んでくれないと」

「いや俺の都合に巻き込むのもなぁって」

「弟子は師匠に迷惑かけるもんでしょうが!私弟子持った事ないから分かんないけど」

「だから最初の修行あんなんだったんですね」

「いやだって実戦の方が学び早くない?」

「それはそうですけど」


だとしても素人に刀渡してさぁ勝負は無理だよ?


「じゃあ折角起きちゃったし迅雷に必要な歩法でも教えてあげようじゃないか」

「それは助かるんですけど…また起こしちゃいません?彼女ら」

「ふっふっふ…それはもう対策済みさ」

「どう言う…」

「実はあの結界には外部の音を遮断する効果を搭載しておいたのさ!」

「な、なんだってぇ!」

「良いんだよ?師匠最高まじ可愛いって言ってくれても」

「師匠最高まじ可愛い」

「ぬえへへへへへ」


めちゃくちゃ照れてるけど良いのか…?感情籠ってたかな今の俺の言葉


「よっしと言う訳で遠慮なく音出せるから早速歩法を教えていくよ!」

「いえっさー…所で音ないなら俺が修行してたのなんで分かったんです?」


口振り的に起きた瞬間は見られてないはずなんだけど


「トイレ行こうと思って起きたら居なかったから」

「あぁそう言う…ん?今は大丈夫なんすか?」

「トイレよりも今は修行が大事だからね」

「さっさと行ってきてください」


──5分後


「待たせたね」

「いえ全然待ってませんよ」


魔力込めてたらすぐ時間過ぎるし

魔力切れて気絶してから魔力量また上がった気がするなぁ…良いことや


「じゃあまず歩法の説明なんだけど…まず走る時って最初は全力じゃないじゃん?」

「そうですね最高速度出すにはある程度走らないと行けませんし」

「そうでしょ?で、その速度を出すために必要な走る量ってどんどんどんどん伸びていく訳よ。成長して行ったら」

「ふむふむ」

「そんな最高速度を1歩目で出せるのがこの歩法なんだよね!」

「おぉー…凄いですねそれは」

「でしょ!でしょ!そうだよね!私並みにこれを出来るようになったら速さの調節も可能だけど…一旦はそんなの気にせず1歩目最高速度を目指していこう」

「いぇっさ」



「まぁ私が教えるの下手なのは分かってると思うから…今から朝まで使い続けるから私を穴が空くほど見続けて学んで?」

「了解」


さっきの練習みたく目だけに魔力全集中させるか


「よししっかり見てるね!じゃ行くよ!ゆっくりやるから安心してね」


そう言って師匠が歩法の実践を始める


ゆっくり…?これでゆっくりなら師匠の最高速度どんなもんなんだろ、恐ろしいな


ゆっくりって言ってる今の速度でギリ追えるくらいかぁ…初日の戦いの時相当手加減されてたなぁこれ





──3時間後


「どんな感じー?」

「地上の動きはもう分かったんで空中とかで使ってもらっても大丈夫ですか?」

「もっちろん!見てて!」


そう言い師匠が空を蹴って飛び上がる

地に足がついてる状態は脳裏に焼き付けたから後はそれを反芻しながら自分のものにしていくだけなため、次は空中の実践をお願いする


目も慣れてきて別の所に魔力を流す余裕が生まれたのでバレないように内蔵を爆発させて鍛えておく


ふー…痛みにも慣れたもんだなぁ…体再生しても痛みが全く癒えずに常時痛覚3倍ならいやでも慣れるか、最初から痛いだけで何のパフォーマンスの邪魔にもなってなかった気がするけども


そんな事を考え内蔵を爆発させ師匠の歩法を見ていると段々と朝が近付いてくる


「師匠ー」

「んーどしたのリョーマ」

「うずうずしてきたんで戦いません?」

「おっいいよー刀は使う?」

「使わせてもらいます」


そう言うと俺のもとに刀が降ってきたのでそれをしっかりとキャッチする


そしてキャッチした瞬間全力で魔力を足に回し一歩で肉薄し居合を放つ


「フッ!」

「いいよいいよいい気迫!次はもっと速くしようね!」


そう言い強化した目でも追うのが大変な速さで居合を受け流され蹴り飛ばされる


「ハッハッハ!まだまだぁ!」


それからも全力で師匠へと攻撃を仕掛けるが全てを軽くいなされ時に蹴られ時に斬られる

遠慮がないのがとても嬉しい。痛みを伴うと成長の速度が上がる気がする


前のように簡単には一撃を入れさせてくれないので猪突猛進に突っ込みながらも、頭を回し作戦を考える


知恵熱出そう…INTとEDUが上がっても馬鹿は馬鹿ってことかな


結局この日は1回もまともに攻撃を与えられずに最後まで師匠の高笑いが響いていた

歩法は大分下手だが少しだけ出来るようになったので練習を続けよう


その後朝になって結界が切れた時、メイにこの現場を見られたためまた説教をくらったのはここだけの話


「いや違うんだよメイさん!」

「何が違うんですか刀華様…ご主人様ボロボロですけど」

「遠慮はいらないって言って…あれ?言ってたっけ」

「言っては無かったけど別に遠慮されたくないし大丈夫でしたよ」

「よ、良かった…嫌われたらどうしようかと」

「なっはっは嫌いませんって」

「ご主人様は今日1日私を背負って移動してくださいね」

「身長的に難しくない?20ぐらい差があるじゃん」

「確かに…じゃあお姫様抱っこでいいですよ」

「まぁそれくらいなら」

「えっずるいよメイさん!明日!明日私ね!」


え?


「良いでしょう刀華様、明後日はイクシオン様にして3人でサイクルさせて行きましょうか」

「そうだね!」

「俺の拒否権は?」

「ないです」

「ないか」


これ体爆発させないようにするのも兼ねてそうだなぁ…そんな信用ないかね俺、ないか


師匠も恐らくそこまで考えて…いやないな、あの顔された事ないしされたいなぁの顔だわ


なんでこんな奴に?メイにでもしてもらいなよ…まさかこれAPPの力か?性格で特大デバフ喰らえどやはりAPPは高いからな

ずっと狐のお面つけてるのも魅力をプラスしてる要因かもしれないなぁ


まぁイクシオンは拒否ってくれるだろ多分、こんな奴にお姫様抱っこされるのは嫌だろう






「お姫様抱っこをローテーションで?…うん、よろしくねリョーマ兄さん」

「えぇ…良いの?こんな奴にお姫様抱っこなんて」

「誰ともそんな事してこなかったから興味があるし……刀華以外の誰かと触れ合える機会が来ると思ってなかったから嬉しいよ」


朝になり昨晩の余り物の飯を食べながらそんな事を話した

…断れねぇだろこんなん


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