第28話 何処まで行けど森

「良い朝だねぇ…」

「良い朝ですねぇ…」

「なぁメイさんや」

「どうなされましたご主人様」

「……なんで俺頭だけになってんの?」

「凄いでかいミミズに食われてましたよ」

「何だそれ…」


最悪の朝やねぇ本当に


「じゃあそろそろ再生してくださいご主人様。腕が疲れてきました」

「嘘つけお前」


てか再生出来んの?これ

前は自分でぶっ壊さないと再生出来なかったはず…いや出来そうだな普通に


「はぁ…最悪の目覚めすぎるまじで…」

「こちら替えの服と下着でございますご主人様」

「謎の力で服も再生してくれんかねぇ…」

「魔力込めて服を体に馴染ませたらどうですか?」

「やってみっか」


体の部位に流す要領で魔力を…いけたか…?


「どんなん?」

「見て分かる変化は無いですね」

「欠損したら分かるか…つか何大きいミミズみてぇなやつって」

「この時代は正史の歴史と違って古今東西のあらゆる怪異や妖怪、怨霊に加え外来生物等がひしめき合ってるんですよね」

「何そのオールスターズ」


人間側不利すぎない?絶滅しない?


「それの原因となっている大妖怪の一体を倒すのがこの時代の目的ですね」

「そいつを殺せなかったらどうなんの?」

「世界が終わります」

「あーら責任重大」


頑張んないとねぇ…


「んじゃ今日も行きますか」

「お供いたしますご主人様」


今日こそ抜けるぞ森





「美味いなぁ…猪」

「結局抜けれませんでしたね今日も」

「同じ所ぐるぐる回ってる気がしてくるよね」

「獣狩るのだけ異様に上手くなりましたねご主人様」

「魔力の使い方も結構学べたしなぁ余裕よ余裕」

「流石ですねご主人様」

「てか何か音しない?下の方から」


こうなんかゴゴゴって音が…


ガバァッ!


…ッ!


咄嗟にメイの方へと手を伸ばしメイを突き飛ばす

そしてメイが居た場所から突如大きなミミズが口を開けてその場所に残った俺の腕を食いちぎる


こいつが朝言ってたでけぇミミズか…本当にでけぇな、10mくらい?


そんな事を考えながらも腕を食われた怒りを纏わせながら宙に浮き上がったミミズを全力で蹴り飛ばす


「フンッ!」


ドパァン!


蹴りを受けミミズが木っ端微塵となり辺り一面が血の海になる


「攻撃力の割に脆いのか俺が脆すぎるのかどっちだ…?てか大丈夫かメイ」


無くなった腕を生やしてからメイに声をかける魔力込めたら本当に服まで再生されたよ…便利だな魔力


「ご主人様のお陰でピンピンでございます」

「どうせ襲われるって分かってただろうし自衛してくれない?食われようとしてんじゃねぇよ本当に」

「ご主人様なら助けてくださると信じていたので」

「調子のいい事を…てかミミズ倒したら魂が満ちる感覚あったんだけど何これ」

「あっそれは私が勝手にご主人様に植え付けたアイテムの効果ですね」

「何つったお前」

「私が勝手に植え付けました!」

「良し1ヶ月飯抜きな」

「長くないですか!?」

「やった所業考えたら当然だろうが!んで?何なのそのアイテムの効果」

「妖怪などの人ならざる化け物を倒した時にその者らが持ってた経験を経験値として集めるアイテムですね。今のままだと大妖怪には勝てないのでこれで経験値集めてレベルアップして進化を目指しましょうって感じです」

「進化出来るとかは良いけどせめて最初に説明しろやぁぁぁぁぁぁ!」

「いだだだだだだだ!ギブ!ギブですご主人様!」

「反省しろしっかり!」

「分かりましいだだだだ。ストップストップ!」


威力高いなぁ頭グリグリすんの

神にも効くんだ





「今度からは勝手に俺の体にアイテム埋め込むなよ」

「はいぃ…」

「んじゃ寝るか」

「では今夜は私のお腹を枕に…」

「………分かった…」

「そんなに葛藤しないでください興奮してしまいます」

「無敵か?」



─それからも色んなことがあった

鬼と戦ったり狐に襲われたり洗脳されかけたり雷に撃たれたり狩りすぎた恨みかめちゃくちゃデカくなった猪とチェイスしたりと本当に色々あった


─ずっと森の中だけど


「なぁメイ」

「なんでしょうご主人様」

「俺がこの森に飛ばされてからどんだけ経ったっけ」

「1年くらいですかね」

「1年森なんだ俺ら…」


何か野生生活が染み付いて来た気がするよ…

色んな怪異とか妖怪倒して経験値も得てるけど強くなれた気あんましないし

会いてぇなぁ本当にあいつらに


「そろそろですかね」

「あん?何が?」


メイがそう言ったかと思うと突然空間が揺らぎ前倒したやつの5倍くらいデカい鬼が現れる


「なんじゃあここは…むせ返るような血の匂いがするのう…お主らかぁ…?ふむ、美味そうな匂いじゃのう…目覚めの飯に丁度いい」


何か変なの来たなぁ…

えっ食べたいの?俺の事

左腕くらいあげるよ?


「えっ何こいつ…」

「未来を救うための分岐点ですね。私を守りながらこの鬼に苦戦するよう立ち回ってください」

「何故そんな事を…?まぁ良いけど」


苦戦するようにってどうやるんだ?

適当に力抜いて戦えばいいか





───30分後


「くははははは!頑張るのう不死の坊主。そこの珍妙な格好した女など見捨てて逃げればいいものを」

「んな事出来る訳ねぇだろ鬼親父。こいつ見捨てるぐらいならここで死に絶えるわクソが」

「その意気やよし!高尚な志の元死に絶えるが良い!さらばだ!」


そう言い鬼親父が金棒を振り下ろす

苦戦の演技出来てるかこれ

まぁ何か相手ノリノリだし良いだろ


「待てい!」


そんな事を思っていると上の方から声が響いてくる


「何やつ!」

「ふっふっふ。とうっ!」


ノリノリで応じる鬼親父の元に声の主が降りてくる


「世界の平和を守るため!孤独に悩む友を救うため!力を振りかざす正義の戦士!」


えっ何?何か口上始まった?


「超絶美少女魔法少女刀華、ここに見参!」


突然現れた魔法少女を名乗る刀を持った不審者がドヤ顔でそう宣言する


「魔法少女だと!」

「知ってるのか鬼親父!」

「知らん!」

「知らねぇのかよ!」

「さっき起きたばっかじゃからしょうがないじゃろ!後、貴様は敵じゃろうが!」

「あっバレた?」


トウカ?って名乗る魔法少女に気を取られていた鬼親父が俺のちょっかいにブチ切れ俺に金棒を振り下ろしてくる


キィン!


「ふっ。この人はやらせないよ!喰らえ!刀華流奥義!森羅万象斬!」


鬼親父の金棒を刀で受け止めたかと思うと魔法少女が強力そうな技を放つ


えっ初手でそんな強い技出すことある?

そんな事を思った俺の目前で鬼親父が綺麗に真っ二つにたたっ切られた


「大丈夫?お兄さん!」


たたっ切った張本人がこちらを向き笑う


怖ぇなこの人って思った


────────────────────

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