第9話 不定形少女と魂の回廊

「ちょいちょいちょいちょいお兄さんさん」


そっと毛布を元に戻したら勢いよく毛布が吹き飛び中からルカが出てきて俺に詰め寄る


「何してんだお前…」

「ダーリン♡が帰ってくるまでにベッド温めとこうかなって」

「まずダーリンって何…?」

「?ダーリンはダーリンじゃん」

「その呼び方やめろルカ、俺は孤独で悲しい陰の者なんだから勘違いするだろ。もしかしてこいつ…俺の事好きなのか…?って」


それで痛い目見るまでが陰キャ君の末路ね

優しくされた事ないから少し優しくされると惚れちまうんだ陰キャ君は…


「ふっ。安心してダーリン」

「何を安心したら良いの?」

「私はダーリンのことちゃんと愛してるからから」

「だとしたらチョロくない?」


何も特別なことした覚えないんだけど俺


「孤児院で孤立してて尚且つ暗闇にすんごい長い時間放置された後優しくされたら充分に好きになってしまうものなんだヨーヨー」

「そうなん?」

「それとそのハイライトのない目と声が凄くタイプ…♡やはり私たちは運命で結ばれている」

「その理由が大半な気すんなぁ…」

「つまりこれからも私はダーリンって呼ぶ」

「恋愛とかよく分かんねぇんだけど俺」

「大丈夫、感覚で分かるけどどうせ私たちはとても長く生きるからいつまでも何処までも一緒。正妻としての余裕で浮気も許容」

「俺はそりゃ長く生きるが…え、お前も?」

「ダーリンが帰ってくるまでに変質させられる部位調べたら全身変えれた。今の私はスライムにも鳥にも犬にもペンにもなれる」

「完全にショゴスになってんのか体が…」

「でも戦闘は無理そう…ごめん…」

「いや戦闘は俺の仕事だし大丈夫だぞ」

「ダーリンを無職にしたかった…」

「どんなモチベなんだよ」



「取り敢えず色んなものになれるから寿命の心配も恐らくない。何故なら老化する細胞が存在しないから。いつまでも私と生きようダーリン」


何故か無表情なルカの目の奥にドロドロとした何かが見える…

ふむ、ヤンデレですか…大したものですね


「まっそうだなどうせこの先いつか俺絶対孤独になるしなぁ…うん、ずっと俺と生きようなルカ」


(シロとずっとってのも悪くないけどいつか絶対狂う時が来そうだしね)


<私もそう思います>


「ならばダーリンにこれを食べて欲しい」


そう言ってルカは指を切り離し変質させ薬のようなものに変える


「なんこれ」

「ショゴス?ってのになってからの本能みたいなので知ったんだけど。これを食べさせたらこれを食べた人に従属出来るらしい」

「えっルカお前従属したいの?」

「うんうんうんうん」

「そんな頭振る程…?」


頭早く振りすぎて残像あったけど今


「さぁダーリン私を従属させるといい。これで私たちはずっと一緒ずっとずっと」


これ魂レベルで従属させる的なアレなのかな

ラノベとかで見る奴隷紋の上位互換的な感じ?


「んーこれ飲んで俺にデメリットある?」

「私と魂がパスで繋がれるから何処にいても居場所が私には分かるようになる」

「まぁ別にそんくらいだったら良いか」


躊躇したら目の前の女が病みそうなので一思いに薬を飲む


「特に体に異常は…いや何かお前と繋がった気がすんな何か」

「ふへへこれで安心…これでずっと一緒…」

「こんなんなくても別に一緒に居てやるけどなぁ…」


助けたやつ死んじゃったら寝覚め悪いしルカは話してて楽しいしね


「さぁこれで私は貴方のモノ、どんと命令するといい。どんな命令も大歓迎」

「んな急に言われても出てこねぇよ」

「エッチな命令でも良いよ、私ドMだからめちゃくちゃにしてね」

「しないよ?」


<今こそ男を見せる時だよパパ!頑張って!>


「そうだよ男を見せる時だよダーリン…む?」


<あれ?>


ん?


「聞こえてんのかルカお前、シロの声が」

「何かが聞こえタタタ」


(んーどゆこと?)


<多分パパと魂レベルで繋がっているからじゃないですか?ルカさんにTRPGのルールは適用されて無いみたいですけど>


「TRPG…?」

「お前に混ざってるスライムみたいなのが出てくるやつ。何か現実世界にバグでそれに関する奴らが大量に出てきちゃって俺がそれ退治してんだよ」

「それが言ってた特殊能力に関係してんの?」

「いやこれはシロに会う前に鉄柱に胸貫かれて死んだからゾンビになって蘇った時に得た能力」

「??????」

「胸貫かれてから10分くらい死なずに粘ってたらシロに救われたんだよ」

「胸貫かれて???」

「え、うん。すんげぇ痛かったしなんなら今3倍痛いよ」

「…どゆこと?」

「ゾンビになった時に痛覚3倍になってて胸貫かれた後が何故か全く治ってないから胸が痛み続けてんだよね」

「何でそんな状態で喋れてるの?」

「分からん。痛みに耐性があったんだろきっと」

「えぇ」


ドン引いた顔すんなよ俺も引いてんだから自分に


「ってそんな事よりパパって何ダーリン。この声の人は貴方の子供なの?」

「この声のやつはシロつってTRPGのシステムが具現化したみたいなアレ。俺はシロの名付け親だからパパって呼ばれてんのよ」

「成歩堂」





「で命令どうするの?」

「保留で」


そんな急には思いつかんのよ命令なんて


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