第8話 『不定形少女』

─少し前


<パパ、パパ!大変大変!>


「どうしたシロ…眠いんだけど俺」


<バグの場所特定した!かなり高位!>


「んあおけおけ、顔洗ってくる」





「おけ送ってくれ」


<地形的にまた場所は村です。旅人として刷り込んでおいたので頑張ってください>


「OK」


てか村バグり過ぎだろ





光が晴れまたもや村が目に入る

やはり前と同じで外見的な違いは無い

強いて言うなら村長が怖い


「いらっしゃいませいらっしゃいませいらっしゃいませいらっしゃいませ旅人様旅人様旅人様旅人様」

「あっこ、こんにちはー…」


何でこの人同じこと4回も繰り返すのー?

目にハイライトも無いしなんか黒目無くね?


明らかやばいけどこの人以外がどうか分からないし一旦ここでは見送ろう


「いらっしゃいませいらっしゃいませいらっしゃいませいらっしゃいませ」


ブツブツ呟く村長から離れ村に入る


歩きながら周りの景色に目を向ける

やはり特段変わった所は無い


人も見当たらないなぁ


<目星を振ってください>


(ん?目星おけおけ)


目星80>80


(ギリギリ成功)


<ではパパは建物が所々溶けていると分かっていいでしょう>


(えっ)


建物が溶け…え?何?


(アイデア振っていい?)


<良いでしょう、2分の1で振ってください>


アイデア60/2>73


(うんカス)


<何も分かりません>


(人って見つからない?)


<見つかりません>


(八方塞がりンゴねぇ…)


心折れそうだよ俺


取り敢えずやることも無いので溶けてる建物に近付いて見る


確かにめちゃくちゃ溶けてるなぁ…何なんよこの建物、スライム見てぇな…

ん?スライム…溶ける…いやあいつ溶けたっけな


(溶けてる所に目を凝らしたら何か分からない?)


<何も見つからないです>


(触ってみます)


<どの手で触りますか?>


(左手)


<左手が溶けてなくなりました。左手欠損+ダメージ2d10です>


(SAN値チェックないだけマシか)


2d10=4

HP34→30


(痛すぎるな流石に)


<左手が溶けてそれだけで済むの本当に何なんですか?痛覚3倍ですよ?>


(俺にも分からんよ…)


激痛走ってんのに気絶も出来ねぇの悲しいな

なんでこんなに精神強いんだ?分からん


<ここで聞き耳を振ってください>


聞き耳80>71


(成功)


<遠くの方で微かな物音がしました>


(なんでそんなものを聞き取れたんだ?まぁいいや、音の発信源に向かう)


<音の発信源に向かうとそこには牢屋のようなものがありました>


(牢屋に誰かいる?)


<居ますし話しかけてきます>


「外の光、久しぶり。貴方は一体誰誰?」


少女…?ボロ布を着飾ったアルビノの少女のように見える。どうやらこの無表情少女は鎖に繋がれているようだ


「俺は了真。ここには少し調査で来たんだがお前は何で繋がれてんだ?」

「それが私にも分からなEE、起きたら繋がれ牢の中」

「この村の奴か?」

「なんとビックリ。ここは村だったのか、牢に繋がれ外も見えずここが何処だか分からなかったから初めて知ったヨーヨー」

「飯とか水は?」

「体を変質させて賄ったヨーヨー。何故か繋がれてから特殊能力に目覚めちゃった系なんだヨーヨー」

「体の変質で牢から出れないのか?」

「何故か鎖に繋がれてる所は変質しなかったんだよねぇねぇ髪を食い物にするのは初体験だったぜぇー」


無表情の割にめっちゃ喋るしめっちゃ陽気…

やっぱ人は見かけによらないよね


「ここから出て行く宛てある?」

「特にないヨーヨー。何故なら私は施設済みで疎まれてもいたからねぇねぇ」

「あー…成程…んじゃ来るか?俺と一緒に」

「良いのかいお兄さんさん」

「何かの縁だろきっと、役に立ってくれるだろうし」

「私は食糧要因なのかー、しょうがないお兄さんのためなら私…私…!」

「お前食うのはやだなぁ…馬鹿になりそう」

「私悲しい。ぐすん」

「一滴も出てねぇな涙…」

「涙腺はサ終した」

「させんな」


(んじゃとっとと牢壊すか…判定いる?)


<自動成功でバキバキと壊すことが出来るでしょう>


「お兄さんさん力強いね」

「俺もお前みたいに能力が使える感じなんだよ」

「つまり私とお兄さんは運命共同体…見つけちゃったか…私の運命の人」

「ほら鎖も外しとくぞ、ほれ」

「永きとき経て遂に解放、ベリーベリー感謝の舞を踊りたいけど使ってなかったからか手と足が動かない。運んで」

「まぁさっさと連れ帰るか…よいしょ」


無表情少女を脇に抱える

すると少女はジト目で不満を表してくる


「お姫様抱っことかが良かった」

「左手溶けてるから無理」

「なんで溶けてるの…?」


少女を脇に抱え牢から出る時に少女の名前を聞く


「そういやお前名前は?」

「ゴンザレス」

「……本当に?」

「本当はルカ」

「よろしくなルカ」

「名前を知られたからには責任を持ってもらうしかない…つまり私たちは夫婦」

「馬鹿言ってんじゃねぇ…何歳なんだお前」

「16」

「思ったよりも行ってる…」

「私は大人のレイデーだから」

「そうは見えんがなぁ…」


パッと見12とかだよお前…

そんな事を話しながら牢の外に出て地上に出る


その瞬間大地が大きく揺れた


「わーおなんでか建物が変わっていくねぇねぇ」

「うっわ建物全部かよ…」


建物が全て段々と崩れて行きそれはやがてスライム状の生物のようなものに成り果てた


<漂う悪臭が鼻を突く、漆黒の玉虫色に光る粘液を纏い、表面には無数の目が浮いている。玉虫色の悪臭、ショゴスに遭遇した。SAN値チェック1d6/1d20>


(やっばでっか)


95>2

自動的に最小の減少値になる

SAN値95→94


「とてもキモいが目覚めた私のお仲間っぽいのが悲CC」

「なんで活性化したんだこいつら!いや多分タイミング的にお前だけど!」

「逃げローロー」

「ちくしょー!」



───現在


(いや思い返してみたけど俺悪くねぇだろ!あっそうだ!シロ!ルカだけ一旦俺の部屋に送れない?)


<可能ですね>


(よっしゃ最悪俺は死んでもいいしルカを送ってくれ!)


<了解しました>


「ルカー!」

「どうしたのお兄さん情熱的に私を呼んで」

「今からお前を俺の部屋に飛ばすから少し待ってろ!」

「お兄さんの部屋だなんて…大胆…キャッ」

「こんな緊急事態でボケんな!」


そんなこんなで光に包まれたルカを尻目にショゴスたちに目を向ける


わぁでかいのが15体くらいいるぅ…


<あの……頑張ってください>


はぁ…クソクソ

何回かは死ぬかねぇこれ





───暫くあと


現在HP22

残り残機94

残り敵数1


「やっとここまで来たわボケが!3回死んだわ畜生!痛すぎる!」


<え…?全身溶かされ…え?凄い元気…>


何かシロが困惑しているがどうでもいい!最高のキックをぶち込んでやる!


MPもうねぇから魔術が使えんのだよ!

ありがとう萎縮、さようなら萎縮。

君のことは忘れない!


キック80>1


「しゃあ!」


<あっで、ではダメージ2倍回避不可です>


1d6+4d6=16

最終ダメージ32


<ではしっかりと撃破しました>


その報告を聞いた途端全身から力が抜けその場に崩れ落ちる


「あぁー疲れた疲れた。俺も送ってくれ部屋に」


<お疲れ様でしたパパ。ゆっくり休んでね>


その言葉と共に光に包まれる


光が開けてから起き上がってルカを探すが見当たらない


「あれルカ?なんだまさか外出たのかあいつ…」


そんな事を独り喋っているとベットがモゾモゾと少し動く………なんか嫌な予感がする


その予感が外れれば良いなと思いながらベットの毛布を剥ぐ


「温めておいたよダーリン…♡」


そっと毛布を元に戻した


────────────────────

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