6.至る道
朔夜の案内を頼りに、ふたりは洞窟を出て、しばらく獣道を歩いていた。
その後、人が通れるほどの踏み分け道らしきものに合流し、そのまま道なりに進んだ。
白梅は、ここまでの道中で、朔夜について少しだけわかってきたことがある。
彼は非常に物静かであることと、白梅に危害を加える様子はないということと、白梅のことをとても気遣ってくれるということだ。
まだ歩くことに慣れていない白梅に、朔夜はしきりに目を掛け、肩を貸し、歩調を合わせた。
「あ、ありがとう……」
白梅は、あまり知らない男性とふたりきり頼りきりの状況に、顔を真っ赤にしながら、何度もお礼を言った。
ふたりでしばらく道なりに進むと、とある村の入り口付近に辿り着いた。
朔夜が徐に口を開く。
「この辺りで、一度休息した方がいい」
「でも、私はまだ歩けるよ」
「この先は山道に入る」
このまま村に入るという訳ではなく、山に向かって逸れて進むらしい。
「村には行かないの?」
「後で向かう。陽が落ちる前に、先に確認したい場所がある」
そういうことならばと、白梅は山道に入る前に、少し休むことにした。
朔夜は白梅に、この周辺からあまり離れすぎないように伝え、水を汲みに川へ行った。
白梅は辺りを見渡すと、少し先に進んだ村の入り口付近の木陰の下に、早少女村で見かけた、花びらのような光によく似たものが漂っていることに気付いた。
白梅が歩いて光に近寄ると、その光達はまた白梅の身体に向かって勢いよく流れ込んできた。
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