本戦-1 戦争において重要なのは兵站
『第一試合が終了しました』
『サイバーフェスタの勝利です』
「無事にアスト勝てたね。おめでとアスト〜♪」
スタジアム裏のロッカールームみたいな待機エリアで手をぱちぱち、足をぶらぶら。クリエナごっくん。暗殺者達には向かい合ってヨーイドンでは分が悪い。杖を持った男はブラキオンに足を絡め取られ仲間の二人にフルボッコ。双剣の男は回避成功、イーグルダイブの男も跳躍。しかしながら……天使の軍勢に阻まれて今度は暗殺に失敗した。
>おめー
>おめなの?
>リベンジは不可能になりましたね……
>シェリーが復讐に囚われるわけないだろ!いい加減にしろ!
「……フィールドで
有名人なシェリーはお礼参りを欠かさない。PKは何も産まないが怒りを忘れさせてくれるし、そのうちガンに効くようになる。
>わかった!
>殺す気マンマンじゃねえか!
>嘘をついたかもしれないが私は謝らない
「謝って♡」
↑当社比萌え萌え成分200%モーションandボイス
>やだ♡
>判決死刑
>もっと!!もっと審議をしてください!!
「時間ないからダメでーす アルカトラズ行ってこい」
↑当社比冷徹度400%の眼差しandボイス
>はーいこっち来てくださいねー
>絶対に脱獄してやぁぁぁあぁ
>草
「……シェリはんほんま視聴者らと仲ええなぁ」
コキコキ拳を鳴らし首を一回し。跳んで跳んで身体を慣らしたファインダーが画面イン。踊り子的衣装の彼女のそんな姿を見たら視聴者はくたばっていただろうからそれはファインプレー。
>ズッ友だもんね!
>\[優勝前祝い]/
>な か よ し
「仲良くしておいた方がいざという時に肉壁にできるでしょ?」
「ぶっふふふふふぅぅぅwwwwww」
抱腹抑胸絶倒。止まらぬ笑いは危険な領域へと突入する。試合前なのに死因が爆笑になりかけている女がここに居た。
>!?
>ファインダーちゃんが死んだ!?
>この人でなし!
>いや待って肉壁なの俺ら!?
「おっと本音が滑っちゃったぜ☆」
テヘペロ☆
>うーん許すよ
>優勝したらまぁ……ええか…
>喜んで肉壁になります
>訓練されすぎだ!戻ってこいお前ら!
「私よりはアリサの
リアルの鼓膜にまで影響してくるのが悪い。しかも雑魚が束になってもただの回復アイテムにしかならないのが更にタチを悪くさせる要因。つまり全ての元凶はアリサを配信に呼んだシェリー。Q.E.D.
『まもなく第二試合が開始されます』
「よしよし。アリサ〜、帰ってきて〜」
「──よし。戻った」
手を口に当て手招きしたところでアリサが帰還。一時的にログアウトして
「何飲んでたの?」
「マックスピンクフェスティバルフレーバーティーフラペチーノベイクドストロベリーチョコチップミクスクラッシュラズベリーエクストラホワイトチョコパウダーエクストラクアッドホイップストロベリーチョコレイトソースアンドホワイトチョコレイトソース」
「なんて?」
いつもの。魔法の詠唱はとんと出来ないのにこういう時だけ早口になる奴。なんでもない風に一息に表情も変えずに言い切るあたりが彼女らしい。
>はい
>呪文唱えるのやめてもろて
>甘いの補給大事だからね
>お前分かるのかよ怖……
「期間限定のマックスピンクフェスティバルフレーバーティーフラペチーノベイクドストロベリーチョコチップミクスクラッシュラズベリーエクストラホワイトチョコパウダーエクストラクアッドホイップストロベリーチョコレイトソースアンドホワイトチョコレイトソースを飲んだ今の私は絶好調。負ける気がしない」
「だからごめんなんて?」
サードムーン召喚。一薙ぎにロッカーを吹き飛ばして納刀。準備万端サムズアップ。シェリーの疑問顔なんて気にしないし気にならない。
「ああアリちゃんがCMで見てた苺のドリンクかぁ……ウチも後で飲んでみよか」
「なんでファーちゃんにわかって私にわからないんだ…?」
>女子力ゥ……ですかね
>ファインダーちゃん可愛いからな
>バレ様はカッコいいからな!
>……あの人実は抜けてる説があるらしい
>そそんなわけないだろ
>待てお前何故バレ様推しなのにこちらへ…?
>あっ
「はいダウト。ってなわけでもう始まるからねー。お相手の"進撃の俺達"さん、対戦よろしく〜♪」
一人背信者が十字架火炙りの刑に処されたところでインターバル終了。三人の前に[Ready? YES/NO]のウインドウが出現。これを押せば彼女らは戦場へと送られる。のでポチッと。
>迷いねえな
>俺でなきゃ見逃しちゃうね
>何かあったの?
>よそ見してたんかお前w
『第二回戦 昆布巻き VS 進撃の俺達』
『FIGHT』
そして3vs3が立ち会った場所は闘技場──ではなく草原のステージ。何も遮るものがなく、地表はは可燃物で覆われている、非常に走りやすいステージ。
「………まっじかぁ」
>マップ見た瞬間終わったわ
>最近流行ってるの?
>味噌汁銭湯の方が人気だよ
>聞いたことないがそれ?????
目測50m先。映像で確認していた『
「シェリー、先に言っておく」
「どしたのアリサ」
「今のアタシじゃ、"足りない"」
>何がだよ
>そりゃお前"殺る気"だよ
>たらふくすとろなんとか飲んだのに!?
>文字数
>0文字で引っかかってるやつ初めて見たわ
予選バトロワ中の特殊効果は消え、
「あ〜……」
「だからファー」
「……嫌な予感するけど何言い張るん?」
>同じく
>肩をポンと。なるほど?
「無敵で止めろ」
>無理だろ!!??
>できるできる絶対できる気持ちの問題だお前やればできるって
>急に温度上げるのヤメロォ!
「無茶ぁ言いよる!?嗚呼もう起きぃシリウスはんっ!」
ゲーミング発光。ドリルが如く尖った籠手でブン殴り。とりあえずのお通し"轢殺"を止めるにはこれで……
「止まりやぁぁぁ──!!!」
>うわっ眩し
>ハイビーム正面から見た時みたい
>事故案件か??
……は、足りない。そもそも無敵はダメージを受けないだけであって拮抗は馬力のぶつかり合い。微かに耐えるが吹き飛ばされる。
「──ぁぁぁぁ」
>事故ったわ
>ファインダーちゃんは文字通りお星様になったのだ
>帰って来れるのかな
「いい奴だったよ……」
シェリーはオファニエって進路上から移動。すれ違うように斜め前へ。
「ッラァ!」
蛮族げふんアリサは斜め上。止められてようが止められてなかろうが、アリサは最初からこうするつもりだった。飛び出た頭をへるっと斬首。乗り物の速度+アリサの斥力=即死威力。サルでもわかる足し算のお話。
>怖っっっっわ
>運転席にいたら正面から殺意が飛んできた件
>当たったら死ぬよね
「ぐぁぁぁぁ目がっ」
「キャァっ!」
「ぅぅぅぅ……!」
ただし全員目をやられたらいいが首を伏せていた為ノーダメージ。最初の交錯は一人が天に昇っただけだった。
「チィィッ……」
「……生きてるのかなファーちゃん」
HPゲージは減っていないから大丈夫だろうけど。それはそれとして普通なら場外と言われそうな吹っ飛びようにシェリーは幾らか心配になる。
「っっっシャア!まずはテメェからだシェリー!フォービを放てっ!」
「はーい♪」
クラッシュ寸前の
「ちょっこれ洒落にならない暑さなんだけど」
>でもお前いつも燃えてるじゃん
>ボイリングハートの方がキツくないの…?
>俺デッドイーター使ったら強制ログアウト喰らったんだが
「あれやってる時アッドレナリンどーっぱどばだからねぇぇぇ!!!」
情熱機関作動。シェリーのこんな奴らに負けてられるかという想いに応え、オファニエルも炎を吐き出し輪転を加速。なんとか速度は競り返した。
>この間に入ったらDoTで即死しそう
>その前に轢かれて死ゾ
>これが話題のリアル鬼ごっこですか
草木は燃え、火花が風に乗り舞う焦熱地獄を駆けずり回る。罪状はクリエナ嚥下か。しかもここから
「溟き者よ地の底より蘇り我が下に従僕せよ──サモン・リバイバルッ!」
>詠唱かっこいい〜♪
>骨吉があらわれた
>……敵増えたね?
杖から飛び出した瘴気から産まれ落ちたのは炎熱無効のスケルトンにサラマンダーゾンビ。ソレらはシェリーの行き先を阻むように生まれ、現れ、この草原を埋め尽くしてくる。
「うぉぉぁぁぁ助けてぇぇぇ!!!」
>必死で草
>ゾンビが関わると死に物狂いになるの可愛いね
>わろてる
これが"進撃の俺達"の常套戦術。自身より機動力の低いものはそのまま轢殺。自分たちより高ければアンデットを召喚して炎とのコンビネーションで行手を阻み追いつくまで追いかける。彼女らが睨んだ通り搭乗エリアに隠された"水瓶"が、こんな非道い持久戦を可能としている。
「さぁ、さぁ、さぁ!もう少しだぜ!もう少しで追いついちゃうぜぇっ!」
──"人身事故"が起きるまで、あと……5秒。
〜〜〜
Tips 限定品について
シェリー:意外と強い。金があるので心に余裕がある。
アリサ:流行に乗る傾向が強いので割と買う
バレ:とりあえず買う。要らなかったらシェリーに押し付ける。
ファー:そんなもんに金使ってられへんよ……(でもアリサにおすすめされたら買う)
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