予選-4 お芋の名産地
『『出ェェェテェェェッ──コォォォォィィィィィ!!!!!』』
まずはアリサの先制攻撃。狂化倍率200%超えのアリサは大きく息を吸い込んで絶叫。前方の微細なオブジェクトは壊れ、旧い建物には罅が頻りに現るる。
>アリサ始まったな
>狂化ってこんなに強くなるものなの?
>上げすぎると制御不能になる なるはず
>……どう見ても押さえ込んでるんですがそれは
「っ…ナイスやアリちゃんっ!」
『乗れェェェ!!!』
>何乗るんです?
>いやまさかな
>急にファインダーが跳んで…は?
そしてサードムーン再抜刀。闘いに狂う三日月の腹へファインダー・ライドオン。ジャイアントスイングの要領で反撃開始。
『ぶっ飛べェェェァァァァァァ!!!!』
「待ってそれ私聞いてない」
>配信主も知らない合体技か
>ちょっと興奮してきた
>技名気になる
「行っくでーっ!シリウスはんっ、力貸しぃ!」
狂化筋力式カタパルトにより加速度を得て、ゲーミングに輝く『星』は崩れかけの建屋を問答無用で解体していく。名付けて
「綺麗ダナァ」
置いてけぼりになってしまったシェリーは譫言を溢すが、その間にもファインダーは足を、手を、そして頭さえも障害を吹っ飛ばす手段として酷使して見事な空中演舞を踊る。
>お前らステージ壊し過ぎと違うか
>気持ちいようにぶっ壊れていくな
>コンボがコンボしてきたよ
>それ別ゲー
家屋に屋敷さえも吹き飛ばして、教会跡さえも阻むには足りず、彼女の睨んだ先へと身体を運ぶ。アリサもそれに追従して走り奇襲の主を野生の勘と視力を光らせる。
「バレっちのミラーラミは銃撃でやるコンボだけどねー。探せば拳系のコンボの昆布あるかも?」
>馬鹿みたいな固定打点連打の人が何か言ってる
>最終ダメージならお前が一番では?
>精神ダメージも大きいゾ♡
「ははは。オファニエるぞ?」
>ひぇっ
>すみませんでした
>シェリーだけ御してもアリサがいるから意味なし
そうやって和やかに話す先では無敵の死兆星が跳ね回り、無双の死神が獲物を探して駆けずり回っている。だが、それでも。
「……え、まだ殺してないの?」
キルログは、流れてこない。
>謎の信頼
>でも確かに妙だな
>この二人から隠れられるって相当な胆力だぞ
「見つからんわぁ」
『『Foooouuuu……DoコooooDaaaaa……!!??』』
跳ね回っていたファインダーは仕方なく着地して無敵終了、アリサは腹いせにまたまた廃墟を潰して回って索敵中。
「となると……敵は三人組だと仮定するとその中に私を狙った『射撃』と全員を隠せる『隠密』の昆布は居る。後一人が分からないんだけど……」
>これが知識チートですか
>転生したら既知のゲームだった件
>続編遊ぶ時なんてそんなものだろw
その仮説を聞いたファインダーはもしかして、と口を開く。彼女は彼女なりにシェリーの昆布巻き配信を追って来た身。そこまで導かれれば何かしらは閃く。
「シェリはん、矢そのものを隠す昆布もおるかもしれへん」
攻撃方法は物理の矢、しかしその威力は"不可視"まで含まれているならあり得ないほど高い。アリサが防いだ際になった
>は?
>全力で芋る構成かよ
>最悪だ……
>ヘイトガン上がりで草
「What!?」
なおシェリーはその点は一切考慮に入ってなかった模様。アリサなら防いで当然だという信頼が悪い方向に飛躍していたらしい。
「急に外国人にならんで欲しゅうわ……」
「あー、あ〜……うん。あり得る。あるわ。ありがと。でも──伏せろっ!」
「きゃぁっ!?」
>可愛っ!?
>保存したい
>ファインダーちゃんここはアーカイブ残して…!!
"仮説"が"結論"へと至ると同時。シェリーはファインダーの頭を押さえて地面へと緊急回避。数瞬前に頭部のあった場所を通り過ぎ、一撃必殺の威力の籠った矢が突き刺さったはずの樽を爆散させた。
>ふぁっ
>え?
>バグか??
「うっわぁ」
シェリーはあからさまにドン引いた目を。
「アリちゃんよう防げたなぁ……」
ファインダーはこちらへ向かってくる
『悪ィ……防げなくてなァ……』
「や、大丈夫。今の射撃でどういう原理か完全にわかった。ワープ攻撃だ」
>ワープ…だと
>ワープ航法!?
>スペースオペラじゃねえんだぞ
>ノンフィクでそれは無理って聞いたことあるが
「ははは何を言ってる視聴者達。この
チャートを作る為にわざわざ業務用のノンフィクションエンジンを購入し、自作のゲームを作って検証に利用した事まであるシェリーは知っている。
「その位置に物質を出現させる"
>なるほどわからん
>日本語でおk
>長い、3行で
「絶対に 飛んできた方向に 敵はいた」
それでもシリウスみたいに何かしらの制限はついてるだろうけど、とは付け加えるが。
「何にせよ、アイツらの移動方法は徒歩。でもなきゃこの攻撃連発してくるでしょ。私ならするし」
しかもこの廃墟地帯の周囲地形は見渡しの良すぎる平原に逆に悪すぎる森、移動に難を抱えた沼地と山地でできている。エリア縮小にに追われるまではここから動くことはないだろう。
>間違いない
>俺もするわw
>接近さえ出来れば勝てるな
「でも……そうなるとアリちゃんの感覚も信用ならへんなぁ」
「能力が隠蔽特化なら仕方ないかも。特徴を二重三重で重ねられたら無理だよ私も……さっきも殺気を感じてギリギリ避けられたくらい」
逆にそうでもしないと普通に見つけて殺してくるアリサの方が異常なのはある。矢そのものには隠蔽がないからといって攻撃直前に再出現した矢に反応し防げたのがイカれたプレイヤー性能の証拠。
>さっきもさっきを
>ダジャレは死刑
>このピザ冷めたぞ
「ダジャレじゃないが!?」
「ふふっ……ほな作戦開始やな」
『逃さねェェェ……今度の今度こそォ、ぶっコroooス……!!』
「あとアリサちょっと言語機能見てもらったほうがいいよ」
「やだ」
「急に戻るじゃん」
>駄々捏ねアリサ
>逆らったら殺されそう
>[かわいい]
と、ここで運営アナウンス。まだキルはしていないし時間にはまだ早いが……
『残存チーム数は30組です』
『残り30組生存ボーナスを付与します』
>生存ボーナス?
>もう減ってるんだ
>割とみんな激突してるんだね
──
[特殊付与]
-自動回復(小):ファーストキル
-打点上昇(小):15KILL
-加速効果(中):フィールドボス(平原)
-体力増強(小):10分生存ボーナス
-打点加算(小):30KILL
-敵性感知(弱):残り30組
──
「あっ」
ここまでの努力が報われた?のかここでシェリー一行が獲得したのは敵性感知。これは近くにいる『敵』の方向へと自動的に向く矢印型の誘導エフェクト。その後方に進んでいけば自ずと敵を見つけられる代物。エリア縮小に加えて英雄同士の強制激突でここからは更に頭数は減っていくだろう…と仕込まれた運営の悪巧みは、ここに来て(色んな意味で)裏目にでた。
「……」
「これは……」
「探す手間ァ省けたな」
>ハイド勢涙目
>ちょっと怪しい動きしてるが…
>(弱)だからハイド完全貫通はできないのか
>流石にね
「空気読めやクソ運営〜〜っっ!!」
とはいえこれでかなり位置は絞られたし──
バギィンッ!
「──焦ってんなァ?」
シェリーの推論は証明されることになった。防いだ矢の飛んできた方向と、矢印の向いてた方向は重なっていたから。
>必殺の矢を防がれてNDK?
>背中からならいけると思ったんやろなぁ…
>エリア縮小に近づいてるから焦ってるかも
「アリサ」
『了ーカァイッ!』
>なんなんこのスイッチ?
>狂化制御できてるのできてないのか
>俺も狂化あるけどこんなにすぐ切り替えられないゾ…
矢印の先に未だ残る屋敷の屋上へと向けて駆けるアリサ。近づいてみればようやく朧げながら"敵"を認識できた。彼らはいわゆるステルス迷彩の盾越しに、矢を放って転移させていたらしい。ただし……
『死ねェェェッッッ!!!』
アリサが理屈を理解できたのは、固まった三人を纏めて吹き飛ばしてからだったが。
『45KILLボーナスを付与します』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます