SWORD第一回イベント[トライヘルメス]編
日常-11 最強可憐な華蓮ちゃん
待ち合わせ場所の図書館に到着。その相手は難しい顔して10インチ端末の画面見てるけど……いや自分のリプレイ見てるだけかい。
「お待たせ」
肩を叩いた私の耳に届く音はざーざーざー。ざーざーざー……いやマジで外はざーざー降りじゃん。嘘でしょ。帰りたくねえ。このまま私も追い出される限界までいようかな。
「…ん、大丈夫だ。問題ない」
「語録やめーや」
その相手とは九天華蓮。割とそこそこ良いところのお嬢様……だったような気がするし。インターネットでは"バレッティーナ"っていうプロゲーマーで、別名『FPSの女王』とか呼ばれてたり名乗ったりしてるんだけど。リアルの私らの前だと……
「……ただのネット民なんだよな〜…」
メンヘラ陰キャと委員長キャラを足して割った後にオタク成分を配合したかのような見た目をしてる。でも友人色眼鏡を外して見ても、高身長だし顔は整ってるし、ちゃーんと姿を整えたらリアルでもモデルとしても通用しそうなんだけど、学校だと身だしなみは最低限しかやってこないんだよなこの女。
「そんなことない。もしそうだとしたら桜の木の下に……」
「ぬるぽ」
「ガッ」
> > む ぎ ゅ っ < <
何か豊満なものが当てられる。くそう。やはり負けた。でも愛理には勝ってるからヨシ。メロン>りんご>万里の長城ってサイz……
「震えてるけどどうしたの?」
「はは…いや何、狂虎の尻尾を遠隔攻撃で撃ち抜いちゃった♡みたいな……」
なおその狂虎は放っておくとスローターし始めて自前強化を積みまくって暴走状態で突っ込んでくるものとする。バフ積みまくられた勝てる気がせんよ。今も剣道場で暴れてるんだろうなぁ……アイツ。
「むぅ……じゃ、代わりに私が
「へぇ、やろうっての?」
私と華蓮の格ゲーダイアグラムは5:5。掴んで投げてな即死コンボのバーゲンセールvs待ち伏せカウンター型飛び道具フェスティバル。私が接近できれば勝ちで華蓮が逃げ切ったら負けっていうわかりやすい構図。パッチノート来るたびにある程度変動するけどね。
「やってやろうじゃねえかこのやろ〜♪」
「はは〜……しかし雨ひどいな」
もうやばいことなってんぞ。帰れねえんだが。帰りたくなくなるんだが。天気chが大雨注意報とかほざいてる……マジかよ。
「……終電、無くなっちゃったね」
「まだ16時だが」
私だって傘は持ってるわい。修学旅行で行った古都で(ノリで)買った日本刀型の奴を腰に差してるでしょうが。それにあからさまに折りたたみ傘を隠すな華蓮。しかも拳銃っぽいな待てそれどこで買った私も欲しい。
「私を倒したい?なら……」
だけど代わりにスッと華蓮がデカ端末の画面を見せてきて……
「ピク○ルガ○3Dしようよ」
「古れぇよ」
そこはせめてバトロワゲーであれ。うわっ懐かしっ古っ課金アイテム多っ!?もう何年続いてんだよこのゲーム。
「雨止むまで…いいでしょ?」
「まぁいいけどさ……」
昔に入れてーってせがまれて入れた時のデータは残ってる。そうかコイツ一人で端末で遊んで何してるんだって思ったけどこんなクソ古いゲームやってたのか〜そっか〜……全国にこのゲーム維持できるほどのバカが大量にいるってことがわかって私は未来のこの国が心配だよ。私の視聴者達も気軽に赤スパとか投げてくるけど経済の回す方向おかしいでしょ絶対。
「さぁとにかく座って座って 出来立てホヤホヤのマッチ部屋だよ。ちょっと変なアバターだけど」
強制的に座らせるな、ってか悪魔じゃん……ピエロじゃん……翼生えてるし闇落ちしてるじゃん……ミラーラミに合わせたでしょこれ。こんなゲームにマジになっちゃってどうすんの。
「えーと…あったあった。いやー、VRゲームに入り浸ってるとこうして液晶タップして遊ぶするゲームはなんか新鮮だなー。コントローラは週一で遊んでるんだけど」
一週間に一回感謝の火継ぎ。現代に生きる私にとってリマスター版はほんとありがたい。当時のゲーム機を入手しようとすると骨董品店に行くのかってレベルになるし。
「よし、部屋入ったよ。マジで久しぶりだから手加減してね」
私のアバターは可愛い妖精アバター。ただし獲物にロケラン担いで自爆飛行する現代兵器に染まってしまった悲しき運命を……とかいう独自設定を載せて『た』。……黒歴史だよチクショウ。しかもなんで覚えてるんだ私。うわぁ名前もイタすぎて泣けてきた。
「わかった」
「待てや」
自然に二丁拳銃を選ぶのやめろ??死ぬが????負けるが????
「私久しぶり。オマエはnoob狩りして楽しいか?」
「椎名はnoobじゃなくてmoonでしょ」
「オファニエル持ってんのはシェリーだよ」
現実の私はただ可愛いだけのゲーマー美少女。きゃるん☆
「…………」
「無言で武器を盛るなやめろ私が悪かった」
はぁ……まったく。マップはちっさい奴を選択。そうでもしないと勝負にならないし。主に私が逃げまくって空中狙撃しだすから。
「先に10キルしたら勝ちね」
「はいはい。わかってる」
ゲームスタート。とりあえず自爆で飛んで最寄りの屋根に登って索敵開始。スコープを覗きながら……そういや一応確認しとこっと。
「それでさ華蓮。
「……うん」
明らかに覇気が萎んだな。
「本気で来てね。私たちも、本気で倒しに行くから」
幸いなことに昨日手に入れた[アクト・グラディアトル]はめちゃくちゃクセが強いけど
「『産業革命』の三人で来るんでしょ。どんな構成かはあえて聞かないから、思う存分メタってこいよ。正面から、『叩き斬る』から」
こちとら食いしばり、暴力、無敵の三連星だ。生半可な攻撃なんて100%カットで突き進める。
「ふふっ、銃は剣よりも強し、って名言知らないの?」
手で口を隠しながら笑う華蓮は可愛い。
「私の辞書にはそんな変な名言は載ってないかなー。勝てば官軍って言葉しか知らないや」
「そっか……じゃあ椎名は賊軍ね」
そうやって話してよそ見してる間にに下まで近づかれてた…!?屋根に照準向けてジャンプを──
「うぉあ!?」
無事1デス。くそう。ただの拳銃の癖にヘッショダメージ高いんじゃないよ。即死じゃん。リボルバー握るなって。だけど。
「まだ負けてないっ!」
「じゃあ、負けた方は勝った方の言うことなんでも聞く…でいい、よね」
「ん?」
今なんでも、って……
「はい2キル」
「ぁっ」
リスポン無敵切れてた!!ニッコニコの華蓮見てたら死んだんだが!?ハニートラップが過ぎないか??
「隙だらけ。このままだと好きにイジっちゃうよ」
「くっ……負けるもんかよ……」
今度は油断せず自爆飛行。すぐに装備変更してスナイパーライフル。さっきのキルカメラから位置を逆算して……発見。
「オラァ!」
「ふっ、甘い」
「避けんな!」
意表はつき過ぎたら定番になる。定番になった曲芸はただのカモ。そりゃそっかーとか思ってたらまた撃たれた。
「あと7キル♪」
「くぉぉぁ……」
なんで華蓮は銃を持ったらこんなに強いの…?やっぱり慣れの差…?なんかARサバゲーも始めたって聞いたけど似合ってて泣いちゃった……名前はベレンティーヌだってさ。バレるぞ。色々と。
「いや流石に負けたくないわ」
とりあえずダッシュで遮蔽物にイン。そして握るはパイナップル。
「ぐれねぇどっ!」
「甘い」
ドッカーン。わぁ汚い花火。空中でパッと光って咲いてるね。馬鹿なのか。
「やっほ」
「終わった」
物陰から飛び出してばっきゅーん。死因はヘッショ。百発百中なのやめてくれよ。景色に見とれていた間抜けなお馬鹿さんは私の方だった。
「あと六回♪」
このままいくと力の解放+5をした華蓮のせいでぬいぐるみになってしまう。それだけは避けなければ。私は強い私は強い私は……喰らえやロケラン!
「おっと」
ミリ耐えされた。リロード前に死が確定した。
「そんなオモチャで私は止められない…!」
くそう。トイなスキンだからって馬鹿にしてぇ……可愛いでしょ似合ってるでしょ妖精さんに!クリスマスなラッピングがキュートでファニーっ!
「そうですね」
「「うゎぁっ!?」」
横から現れたるはここの番人。図書委員の高山沙奈様。これは詳細を省くが結論だけ言うと逆らうと死ぬ。銃は剣よりも強いかもしれないが最後に強いのはペンだってこと。新聞部もやってんだぞこいつ。驚きすぎて端末落としかけたわ。
「図書館では?」
「お、お静かに……」
「ですよね?」
「ごめ、ごめんなざっ…」
沙奈様の語気で涙目になってる華蓮かわいいな……
「雨が止むまでは多めに見ていましたけれど、今はもう晴れています。続きはどうぞお帰りになってからにしてください」
「……はい、すいません……」
「ごめわくを、おおかけっ…」
「仲が良いのは大変良いことで私の筆も進むというものですが一応規則は規則ですので。ヤるならヤるで、くれぐれももう少しお し ず か に よろしくお願いしますね」
…ん今のセリフなんかおかしかったような。
「椎名……帰ろっか。ほら虹、出てる…し。良いことあるかも」
「ま、そだね……」
無言ノールックでさらに二回も殺されてるけど気のせいだよね……鞄持って起立、散っ!
「あ、このバトルだけど強制中断で無効だから。帰ってから格ゲーで白黒つけようね」
「えっ」
残り残機2だった。危ねぇ……止めててよかった……やっぱり華蓮には射撃ゲーで勝てる気がしないよ。ほんっとに。
〜〜〜
Tips なんかそういうやつ
椎名はみんな好き、のプロな嗜好
愛理は俺より強いやつに会いに行く
華蓮は百合寄りの民
一芽は金稼いできてくれて面白くて何より目が離されへん人が好き
……おや?矢印の様子が……
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