#30-α 【いつもの】エキサイトチキンレース【化け物はどっちだ】
「『『ねェむッてなァァッッ!!!!』』」
>ギャグ漫画かな?
>時速60kmで背後に吹っ飛ぶ
>つおい
>俺も狂化取ろうかな…
シェリーが信頼する親友は見えた隙を逃さず跳んでノックバック必至の横薙ぎを腹に。今度は壁面に叩きつけられて墜落した化け物にはほんの僅かなスタンが通り、ここで二人は勝利の鍵を手元に喚べた。
「コイツを──」
ヴァ……こほん。謎の女性から押し付けもとい託された青い琥珀を握りしめて。
「ぶち当てる!」
見事な投球ホームでぶん投げるシェリー。その球は眩む化け物の額に見事命中。神聖な感じがするヒットエフェクトが舞う。
>お見事!
>ようやった
>さすシェリ
「『『やべっ砕けたぁぁぁ!!!???』』」
>何やってんだよアリサ!
>えぇ……
>かなり硬かったと思うんですけど
力加減を忘れて破壊し尽くしたアリサ。視聴者の期待を裏切らない。けれど琥珀の効力は死んではいない。荒れ狂うアリサを覆うように同じく神聖なオーラが現れる。
>うっっらやま
>は?美しいか?
>剣が光ってやがる……
ヴァーs……とある神の力により化け物の興奮は沈静化。運動能力に加えて再生能力も低下し、目に見えて実効DPSは上昇する。しかし……
──
HEAT
[OVER RUN]
──
「やべぇあと五秒で死ぬいだだだだっ血管の破れる音がすっ」
>最悪の音だ
>一生で一度も聞きたくないよそんな音
シェリーの
>キタコレ
>[●REC]
>出るのか?出るのか?
「死んでたまるか[シィィィィンズイカイホォォァッ!!]」
ギャギャギャァァァリリリギチチチチッチッチィッッッ!!!
そしてシェリーの胸から触手が伸び肥大化した血管に筋肉に突き刺さり、同化。岩を飲み込む勢いで
>普段よりごつくね?
>恐怖3割増し
>ホラゲで見た
>光ってるもんな
>もうやだこいつ
変身を終えてすぐ、一秒以内に攻撃する為オファニエルは地を走った。手の届く眷属たちを勢いと徒手空拳で処理し、ジャンプ切りをキメんとするアリサの真下をスライディング走法で通り抜け、化け物の後ろに回った瞬間から踏ん張ってムーンサルトヘッド掘削。再び二つの超重武器が化け物の脳天を襲う。
「『『おっかえりィィィッッッ!!!』』」
「ただまぁぁっっ!!」
『KII────NN!!??』
>へいわだな
>挨拶できてえらい!
>化け物涙拭けよ
>うっうっ
化け物の悲鳴に従って眷属が二人に群がるがHPがこれ以上減らないシェリーはガン無視。アリサは大ぶりにする事で
>飛んで火にいるなんとやら
>昔の狩ゲーで死体に集う鳥思い出した
>リアルでもそんなのあるよね
「『『ダララララララララァァァァァァァァ!!!!』』
>?????????
>BPM幾ら?
>80
>1秒1発超えてて草
竹刀よりも早く、羽根に顔に腹に首と矢継ぎ早にサードムーンのラッシュがキマる。生命のサイクルが幾ら廻ろうとそれ以上の速度で殴れば関係ない。琥珀を投げつけられて鎮められた上から鎮めの力を以て大ダメージを与えられては幾ら気張ろうと無抵抗に等しい。
「魔核だ!魔核を出せ!お前の弱点を挽いて粉々にしてやる!」
そしてサードムーンに囚われた横でオファニエルは蝙蝠を頭から喰らってあいや挽いて轢いて眷属共をも惹きつけている。バラけられた血肉を高速で増産される眷属で補填しようとしているらしい。コウノトリは地下に来ないし過労で死ぬからサポート対象外だ。
>魔核……硬いんだけどなぁ
>固定打点できっちり削れるからな…
>ウチの昆布じゃ無理だぁ
「アッハハハァッ!いいかいそこの視聴者ァ!ソウルウェポンに不可能などなぁーいっ!全ての事象は乱数と検証の元に全て起こりうるっ!ノンフィクションエンジンさーいこーーっ!!!」
飽くことなく真髄解放したオファニエルを握り続け、反動に負けぬよう絶妙なバランスを保ちながらシェリーはそう叫んだ。不可能と言われたSWのメインストーリーをドレイクでのソロクリアから始まり、通常弾縛りにサーベル縛り、なんなら購入縛りなど数多の縛りプレイをやった上にWRを叩き出した彼女だからこその言葉。
「あぁ──楽しっ!最高に楽しいっ!」
>痛くないの?
>それ気になる
>見るからに色々漏れ出てるんですけど
「当然……クッソ痛い!!!効果時間切れたら速攻で死ぬんじゃねえかなぁっ!」
再生Iで1回復した途端に興奮の代償で-10削られる。そんな関係性は[デッドイーター・真髄]のお陰で命の天秤は天秤は釣り合っている。まぁ、その重りも残り数十秒で消え去ってしまうのだが。
>痛覚100%民がよ…
>感覚遮断で長時間耐えられるだけのことはある
>有識者、この状態の回復方法は?
>普通なったらデス確定なので知らないです
>強引な延命効果のせいか……
「やぁぁっぱりぜっったぁいっ死ぬねぇこれ!よっしゃぁ逝けるとこまでいってみよーっ!」
死が急速に迫っている時こそシェリーのテンションはアガる。クリエナ補給は
「ミィィッツッケタァッ☆」
>ひっ
>夢に出る
>ただえさえ化け物になってんだからやめてくれ
>可愛い声が濁って聞こえる…
ギャリラルラと嬉しそうなオファニエルと共に魔核へと肉薄。最早シェリーにとってこの化け物はただの獲物にしか過ぎない。
「『『ウッットォォシィィッッ!!』』
アリサにとってもそれは同じ。もう数えるのが億劫になりそうなバフ重ねによってサードムーンを振るうたびにソニックブームの追加ダメージが発生し始めた。
>この二人ってどうなってんのよ
>こうなってるのよ
>もうこの二人だけでいいんじゃないかな
「いい音だなアリサァ!」
ギィィィガッリリィィンンッッ!!
「『『シェリィもっナァァッッ!!」』』
ブゥゥンッ!!プァァンッ!!
オファニエルとサードムーン、二人のセッションが化け物のレクイエムを奏でる。振るえば空気が震え、轢けば身体が挽かれる。あともう少し。体力はもう折り返し。弱点たる魔核への攻撃を遮るものはない。あとは本当に、どれだけ時間制限までに攻撃を叩き込めるかの勝負。
>お前らがナンバーワンだ
>でもシリウスって完全無敵なんだよな…
>これを耐えられるファインダーちゃんって一体
そんな雑談をしているうちに、オファニエルは魔核の奥深くまでその棘を突き刺した。回り回る鋸からは、何人たりとも逃れ得ることはないのだから。
「コレぶっ潰せっ!」
そしてシェリーは化け物から魔核を引き抜いた。繋がっていた血管に繊維から、それはもう力任せに強引に。そのままアリサへとトス、もはや手のつけられないサードムーンが、その軌道上に待ち構える。
「『『アイヨォォッッ!!』』」
グゥゥワラゴワガッッッ──────キィィィンッ!!!
>入ったー!
>ナイスっ!
>今日一番の気持ちいい音だ……
サードムーンの刃が魔核のド中心を捉え、親玉をなんとか再生させようと集いかけていた眷属たちを巻き込んで岩壁までホームラン。もはや化け物に耐えられるだけの
──
[Battle-Result]
B-adrenaline
貢献度:2th
評価度:AMAZING
タイム:00,09,21.45
報酬
-興奮の魔核(最速討伐特典)
-宵闇の羽×2
-脈動する筋肉
-肥大した牙
称号
-[異世界の化物[B]を最速討伐せし者]
-[興奮を諌めし者]
-[坑道ヤクザ]
-[落盤注意]
──
「『ッ──ふゥゥゥゥ……………」
アリサは元締めを失った眷属達が墜落し、血の雨になるなか癖になっている血振りを終え、息を整えた。晴れ晴れとしたその顔にもう狂気も興奮もない。ただ……
「やっ──」
>あ
>あっ
>時間切れ……
戦闘が終了したということでシェリーは[デッドイーター・真髄]の条件、"1以上ダメージを与える"を満たせなくなったので喜ぼうとした途端にデスペナルティ。当たり前だが倒したところで興奮し切った末に破滅しかけていた体は治るはずはなかった。
「………あいるびー、ばぁーっく……」
>……
>また地上で会おう
そして、シェリーはアリサを置いて地上へと強制送還される事となったのであった……。
〜〜〜
Tips なんでアリサ無事なの?
スキル頑健の効果により根本的に肉体が強いので壊れにくい、そして勝鬨効果でHPが回復する、そして何より[カニバル・ヒール]で部位破壊(まぁ血管とか)が起こっても修復できる
と本当に、あまりに相性が良かったせいですね。
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