#10 【リザルト】ごめん何も聞いてなかった【戦闘終了】
「終わった――」
><[乙狩]>
>\\[ナイスファイト]//
>お見事!
>信じてた
長時間の戦いを終えてタイマーストップ。公式計測タイムは純粋な本体との相対時間ではないらしいが、何にせよ…………倒したことには変わりない。
>……着地どうすんの?
>確かに
「――えっ?」
「oops、失念してた」
推進力を失って、大地へと引き寄せられていく二人。歪む空は澄み渡り、舞い降りる光が跡地をキレイにしていくのに。
「迎えにきたぜ。上見ておいて、すっごく綺麗だから」
>ヒュー!
>自分でも跳んできたw
「あ、出迎えサンキュー!」
「死に戻りするところだった」
戦闘終了し、口調とテンションが元に戻ったアリサが二人をそれぞれ片手で抱き抱える。身体強化はまだ続いている様で、着地の際にもダメージを受けている様子はなかった。
「ホント助かった…SW、倒した後数分後はゲーム内無敵ないからね……」
>しかもこのタイミングで死んだら専用シーン入るしな
>SWだと相打ちシーンもあるぞ
「ドレイクと爆弾海賊の相打ちシーンは最高すぎるよね…っとと、リザルトリザルト」
改めて報酬画面を開くシェリー。今回は専用装備ではなく、不死の魔核というものを手に入れた。魔核といえばロック・ギガントの時から砕けたものや割れたものと何度も入手しているが、結局これはなんなのか。その答えはようやく理解した。
――
[不死の魔核]
異世界の化物[Z-obituary]の持つ『不死』の力の籠った魔核。アイテム作成時に使用すると魔核武装になる。
――
>魔核装備って何ぞ?
>さぁ?新要素?
「……そういえばロッカー・アームにもそんなの書いてた気がする」
――
[ロッカー・アーム]
カテゴリ:手甲(魔核武装)
属性:岩
魔核スキル:ブロック・ロック
──
「………ゴホッ」
>誤魔化すな
>ちゃんと確認しておきな??
>咽せたすかる
魔核武装。コレもまた今作の新要素。"魂魄武装"が英雄達の"魂"の形を象った装備ならば、"魔核武装"はボス達の"力"の形を象った装備。もっとわかりやすく言うならばボス装備。魂魄武装の様に
「……うげっ、何これ」
アリサの引いた魔核武装は超悪趣味な首飾り。黒魔術店にあっても違和感のない一品。
――
[デミ・イモータル]
カテゴリ:首飾り(魔核武装)
属性:幽
スキル:[カニバル・ヒール]
――
――
[カニバル・ヒール]
被部位欠損時使用可能。最大HPを使用して欠損部位を修復する。減少した最大HPは死亡するか消費量に応じた時間経過又は被累計回復で解除される。
――
有用ではあるがとても使いにくいスキル。部位欠損を即時回復できるというのは魅力的だが、その分HPが削れてしまう。まぁ、アリサであれば勝鬨Iでそのうち相殺できるかもしれないが…
>強い
>強いか?
>デメリットはデカイが部位破壊が治るのはヤバい
「え、何それ欲しい」
>再生あるでしょ
>なくても回復するクセに
「……被弾したら終わりだから必要ない」
>まぁ後衛だしな
>火力上げるべきか
「見た目以外は優秀だけど…ううん…」
「大丈夫、割と似合ってるから」
>蛮族にはお似合い
>イメージ通り
「…………(無言のサードムーン)」
「すんませんマジ勘弁してください」
>ごめんなさい
>ゆるして
そうして一行がリザルトに和気藹々としている内に、肉塊は光となって空に登っていた。ゾンビとなっていたゴブリン達も漸く無限リスキルから解放されるのだろう(無論ボスの再戦機能はあるが)。
>キレイダナー
>こういう光景見ると報われるな
この光景はEXルートでしか見られない。攻撃する度に腐肉が減っていく正規ルートではこうして一気に還っていく事はないだろうから。ただ早くなるだけではなく、先取りしたからこその利点もあるのがシーケンスブレイクの醍醐味だ。
「やり切ったなぁ……っと、もうムービーシーンかな?」
「かな」
星空から降りてきた青い光の集合体が、具体的な形を象っていく。その姿は昨日0時にも見た、あの方だった。
――英雄様方。貴方達の活躍、空より見守っておりました――
この世界の最高神、ヴァーサの登場である。いつもの通り"見守っていた"らしい。風格、姿、オーラ、表情、その全ては立派なのだが……
>ちーっす
>ヴァーサおば姉さん
>はい天罰
>今日のツマミはなんです?
>焼き鳥でしょ
酒飲みイメージの染み付いた今、何処か笑いたくなるのは仕方のないことだろう。化物が居るなら仕事しろ、とも思いたくなる。シェリーも内心笑いたくなりつつ、仕方なくツッコミを入れた。
「やめれ、シリアスシーン」
――緑の悪精達の死骸を取り込み膨れ上がった異世界の化物は、英雄様方の活躍で無事に討伐されました――
>貴方のおかげで別の化け物増えたけどな
>狂戦士と狂戦士と銃士
>淡々とリスキルするのは狂戦士でいいでしょ
「おいコラコメント欄」
――ですが、この世界には未だ異世界の化物達が潜伏しているようです。英雄様方、どうかこの世界を巡り、襲来した全ての化物を倒してくださいませ――
>声と見た目と外面は美人なのに……
>あの4コマが全てを狂わせた
>まだ消えてないんでしょ?
>バッチリ残ってるぜ
――しかし、これから先の戦いは、なおも厳しいものとなるでしょう――
「悪ふざけにしてはしっくりきすぎてるし…って、何回この話するのよ」
――異世界の化物の異能を鎮めるには、私の祝福が有用となるでしょう。不完全なものではありますが、きっと英雄様方の助けとなります――
>何度でも擦り続けるぞ
>っていうか話聞いてる?
「え」
――決して無理や無茶をせず、私のことを頼ってくださいね――
そんな
「ごめん何も聞いてなかった」
>草
>私を頼れって話だったよ
「……ああ構ってちゃんだからねヴァーサ様」
実際、前作SWでもシーケンスブレイクしてボスを倒した後のヴァーサ様の降臨セリフは、普通と比べてもちょっと長い。賛辞だけで済ませれば良いところを遠回しに私のことを忘れないでアピールをしていくからだ。まぁ、そういう人間らしい点も含めて最高神キャラなのに親しみが強いとも言えるのだが。
――
ストーリークエスト
1-1-EX2
[異世界の化物を排除しろ]CLEARED
異世界の化物、[Z-obituary]を発見した。奴を倒し、この森の平穏を取り戻せ。
CLEARED:貴方達は、無事にゴルツの森に巣食った異世界の化物の討伐に成功した。
報酬:[祝福された雫]+15000C+EXP
――
これにてストーリークエスト第一話は終了。以降、三人がここを訪れるのは[Z-obituary]との再戦を希望する際のみだろう。ちなみに、[祝福された雫]はその際に使用すると[天明の雫]を得られる専用アイテム。……勿論、使わなければEX時のように減らない体力に絶望可能。
「皆、gg」
「うん、おっつかれ〜」
バレッティーナはミラーラミをホルスターに入れて、アリサもサードムーンを収納。シェリーも近づいて三人でハイタッチ。
「いやー満足満足、撮れ高サイッッコ〜だったな!」
>かわいい
>さっきまでの屍山血河は一体…?
>記憶から消しておいた
>アーカイブ見直せ
「よーっし、帰ろっか!」
クレーターの前に現れたセーブポイントに歩き出す一行。流石にこれ以上のイベントもなく、無事に三人は[オースト]へと帰還した。そして適当に街ブラロケをしてギルドの前へ到着。
「さて、配信はここまでかな?」
「まそうだねー、後はつまんない後処理だけだし。明日は流石にソロだけど、好評だったらまたやるかも!」
「楽しかった。ありがと bye♪」
>おつおつ
>またコラボ待ってる
>\[お疲れ様!]/
「次の配信はまたSNSとかで告知するけど、土日のどっちかの夜にはするつもり!一緒に遊びたい子も募集してるから、気軽に連絡してきてね♪それじゃ、まったね〜♪」
そして三人で仲良くカメラに手を振りながら配信終了。ギルドで報酬を分けあったりとしてから各々ログアウトした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます