相談…
近いようで遠い関係…
どうすればいいのか…
ボクは、仕事に向かう途中悶々としていた。
もしも洋服が破れたなら縫えばなんとかなるかもしれない。
しかし、離れた心って…どうやって結べばいいのだろうか。
よく別れたけどヨリを戻すなんて話を聞いたことがある。
そのカップルは、そもそもどうやってヨリを戻したのだろう?
…
そういえば仕事の佐藤先輩がこの間、彼女とヨリを戻して結婚するのだと聞いたっけ。
ボクは、いつもそんなに仕事に早歩きで行くほど張り切っていないけど、今日は早く会社に行き先輩の話を早く聞きたかった。
なにかいいアドバイスがもらえるかもしれないと。
そして会社につくなり佐藤先輩の姿を探した。
あ、いた。
…でも、あまり接点のない女性先輩となにやら会話中のようだ。
「そうなんだよねー。やっぱり運命ってやつだよねー」
と、なにやら同期の女性の方とお話ししている。
「でもさ、わたしは一度別れたらヨリ戻さない派だなー」
と話していた。
…
ボクは、衝撃を受けた。
盗み聞きでこんなにも衝撃を受けたのは初めてだった。
というか、盗み聞きするつもりもなかったんだが…
…
でも、そうか…。
一度別れたらヨリを戻さないって人もいるのか。
じゃあ、ボクたちって…手遅れに近いんじゃ⁉︎
綾が先輩タイプなら…
もう離れた心は繋ぎ止めるのは不可能に近いのじゃないか?
風船をうっかり離して、空に飛んでいってしまい、どこまでも飛んでいって見えなくなってしまう風船が頭に浮かんだ。
「綾…」
思わず声が漏れてしまっていたようだ。
ボクの小言に、先輩たちが気づいた。
「おー、健二くんおはよう」
「あら、今日は早いわねぇー」
と先輩方に言われてしまった。
まぁ、いつもこんなに早い時間にいないから珍しがられるのも当然かもしれない。
先輩に相談しようかとも思ったけど…
さっき女性先輩がヨリ戻さないって言ってたから…聞けば聞くほどボクは心がえぐられそうで聞けなかった。
とりあえず、おはようございますの挨拶をして、無料のコーヒーを汲んだ。
そして、こぼさないようにしっかりと握った。
そのコーヒーを持って、さっさと自分の机に行くのもなんなので、仕事が始まるまで先輩達と談笑することにした。
そして女性の先輩は、ボクたちと世間話をしながらも、オフィスにある観葉植物の土に緑の小さな容器をさした。
「みずきちゃんは、いつも観葉植物のお世話偉いねぇ」
と佐藤先輩が女性先輩を褒め称えた。
するとその先輩が
「そりゃ、栄養も大事だからねー。人間と一緒だよ」
と葉っぱを優しく撫でた。
…
人間と一緒か。
ボクは、仕事が始まる時間になりそうだったので、手に持っていたコーヒーを急いでグビグビと流し込んだ。
仕事中…
どこか上の空だった。
こんなんじゃいけないと、眉間を指でクィッとしめて気合いを入れた。
気分を入れ替えてその日一日きちんと仕事に打ち込んだ。
しかしまた帰りの電車でボクは、また綾と今後どうすればいいのか悩み出した。
…このまま同棲を続けて良いのだろうかと。
まぁ同棲を解消するとなれば…ボクたちは、もう別れる方向しかないだろう。
それはいやだ。
でも…このまま綾に切り出されるまでじっと怯えながら待つのもなかなかの拷問に近い。
綾との同棲解消…か。
そしたらもう二度と綾にあえないのだろう。
そもそもボクたちは、大学の同じサークル仲間だった。
‼︎
そうだ‼︎
サークルを思い出すんだ‼︎
あの頃は、同じ趣味があり共通の話題がたくさんあったじゃないか。
ボクたちは、映画研究サークルに所属していて、よく映画について語り合ったものだ。
今度の休日は、綾を映画に誘ってみることにした。
早速家に帰ると、ボクたちの部屋のあかりがいつも通り優しいひかりで灯されていた。
そのあかりをみるだけでボクの心に優しさが灯る。
あぁ、綾がいるんだと。
でも、今は少しあかりをみると心が沈むのだ。
そのうち…いつも真っ暗になるんじゃないかとか考えたりしてね…。
でも、まだあかりはついている!
よし‼︎
あの優しいあかりのように、あかりを消さないように頑張ろう‼︎
そう決めて家に入るのでありました。
「ただいま!」
と。
いつも通り、綾は疲れているにもかかわらず笑顔でおかえりを返してくれる。
まぁ…笑顔も少し元気なさそうだけど…
…
「綾、今度の休み映画行かない?」
帰るなりいきなり提案してみた。
そしたら綾は、びっくりした様子だった。
「えっ?いつもはわたしからどっか行く?って感じなのに珍しいね」
と。
でも、綾は驚きつつも少し嬉しそうだった。
よかった。
疲れてるから行きたくないと断られることも考えたが、でもやっぱり誘ってよかったなと改めて思ったのでした。
続く。
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