第一章 恐怖の夏の前触れ
20〇〇年5月中旬。
梅雨の季節が訪れ、毎日、ムシムシと蒸し暑く、雨の日が長く続いた。
ジメジメと湿度が高く、昼間でも薄暗い気候で、何となく気分も沈む感じだ。
そんな、ある日。
その日は、朝から、ひどい土砂降りだった。
「毎日、雨ばかりで嫌ですね〜。」
「ほんとね〜。ジメジメして、人間にもカビが生えそう。」
「洗濯物も乾かないし、毎日、部屋干しで家の中、楽屋裏みたいよ〜。」
「やぁーね〜。」
雨傘をさした主婦達が雨の中、佇み、世間話に花を咲かせている。
「太陽の光がないと、気が滅入るわね〜。」
「早く、カラッとした夏が訪れないかしら?」
「ほんとにね〜。」
笑い合う主婦。
この主婦達は、知らなかったのだ。
いや、主婦達だけではない。
誰も、想像も出来なかった恐怖が、これから訪れる事を。
ザァーザァーと音を立て、振り続ける雨の中、その恐怖の足音は、すぐ、そこまで忍び寄っていた。
梅雨とはいえ、この異常過ぎる雨に、人々は、水不足に悩まずに済む等と、呑気な事を言っていた。
この激しい雨は、これから起こる恐怖の前触れだったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます