ep6-4 アクアさん絶好調! しかしあたしの心は複雑で……
「マギーオプファー! 昨日に引き続き、しかも朝からこんなことをして、あなた、自分が何をしているのかわかってるの!?」
「ええもちろんよ。魔法少女マジカルブリス! あたしは暗黒魔女マギーオプファー、アントリューズが作り上げる『幸せの国』のために今日も人々の心に闇を振りまくのよ!」
「そうはさせないわ! あなたたちの野望はわたしが打ち砕く!」
パチパチパチパチ
あたしとブリスの“いかにも”なやり取りに、横から拍手の音が聞こえてくる。
「うふふ、いいわぁ、実にいいわぁ♡ オプファーちゃんもブリスちゃんも本当に最高……」
見ると、アクアさんがうっとりとした表情であたしたちを見ていた。
「アクアさん……」
あたしが引き気味にその名を呟く。
ブリスはアクアさんの言動に困惑したような表情を見せるが、すぐに気を取り直したように言った。
「な、なに? あなた、何者……? もしかして、オプファーの、仲間なの?」
尋ねるブリスに、アクアさんは顔を上げてにっこりと微笑む。
「うふふ、その通り、お初にお目にかかるわね。ワタシはアクア、アントリューズ四天王の一人よ」
「し、四天王……!? 昨日出てきたボーデンって人の同類ってことね!」
ブリスの言葉に、アクアさんはあからさまに顔を顰める。
「あんなのと一緒にしないでちょうだい。ワタシは世界中の女の子のために美少女の美少女による美少女のための美少女国家を作り上げようとしているのよ、ふふ、ブリスちゃん、どうかしら? 貴女もそこに加わるつもりはない? 楽しいわよぉ、男という腐った生物の存在しない、女の子だけの楽園……」
「ふ……ふざけないで! そんなの絶対にお断りよ!」
アクアさんの誘いをブリスはキッパリと拒絶する。まあそうだよね、こんな悪の組織に与するなんてありえないもん。
「あら残念。だけどブリスちゃん、貴女に一つ言っておくことがあるわ。昨日の戦いでオプファーちゃんが撮影しその後、拡散された貴女の恥ずかしい所がバッチリ映った動画の事は知ってるわよね?」
「そ、それがどうかしたの!?」
アクアさんの言葉にブリスの顔が見る間に赤く染まっていく。
「あの動画、そしてそれに関する記憶が人々の間から消えたことを不思議に思ってるんじゃない? それをしてあげたのはワタシなの、貴女の裸体が汚物どもの目に留まらないようにしてあげたのはワタシなのよ」
「そ、それで……。でも、だからなんだって言うの? まさか、それで感謝して自分の言うことを聞けって言うつもりじゃないでしょうね?」
「そんなことは言わないわ、ただ覚えておいて欲しいのよ、敵であってもワタシは貴女のことを必要以上に傷つけるつもりもないし、むしろ守りたいと思っているということをね」
「な……何を言って……」
戸惑うブリスにアクアさんはさらに続ける。
「貴女はワタシにとっても特別な存在なのよ」
「……どういう意味?」
訝しむブリスにアクアさんはとても優しい笑みを浮かべるとゆっくりと近づきながら言うのだった。
「だって、こんなにも可愛いんですもの♡ そんな子をみすみす傷物にするわけには行かないわ♡」
すっと手を伸ばすアクアさんだったが、ブリスは逃れるように飛び退くと叫ぶ。
「ふ、ふざけないで! あなたみたいな人にそんな事言われても嬉しくもなんともない、気持ち悪いだけよ! それに、あなたさっき女の子のためにとかなんとか言ってたけど、その癖にアリモンスターを使って女の子の服を溶かしたりなんてするのね! 矛盾してるじゃない!」
「そうでもしないと貴女は出てきてくれないと思ったのよ」
「つまり、あなたは自分の目的のためなら平気で誰かを犠牲に出来るってことね!」
「あら、それは違うわ。目的のためなら手段は選ばないってだけよ」
アクアさんは悪びれた様子もなくそう言うと再びブリスに向かって手を伸ばすのだった。
「近寄ら……ないでっ!」
ブリスは一言叫ぶと、拳を握りしめてアクアさんに殴りかかる。
「うふふ、そっちの方から来てくれるなんてねぇ……」
ふわっと、アクアさんがその身を捻ると、ブリスのパンチは空を切る。
「えっ……」
そんなブリスの突き出された拳にそっと添えられる手のひら。そしてそのままアクアさんはブリスの腕を取り、背中へ捻り上げる。
流石に、強い! 驚くほどにしなやかな動きだった。
「痛いっ、な、何を……」
突然の痛みに悲鳴を上げるブリスにアクアさんは優しく囁くように言うのだった。
「大丈夫よぉ、すぐに気持ちよくなるからねぇ」
ぞぞぞっと、横から見ているだけのあたしの背筋にまで寒気が駆け抜ける。
「ひっ! いやああ!!」
アクアさんのそのセリフに、ブリスもあたしと同じ寒気を感じたか悲鳴を上げた。そして必死に逃れようとするけど……。
「無駄よぉ」
さらに強く捻り上げられて、苦痛の声を上げるしかないようだ。
「放して……よ。……ひあんっ!」
弱々しく放たれた言葉の途中でブリスは甘い声を上げる。
アクアさんが、開いた方の手を彼女の胸に伸ばしたからだ。
「うふふ、ちょっと触られただけなのにそんな声を出しちゃってぇ。やっぱりワタシの睨んだ通り、そして理想通り、貴女はとっても感じやすいのね」
「ちがっ……。感じてなんか……」
否定しようとするブリスだが、その声は弱々しかった。きっと彼女の心の中にある不安と恐怖をアクアさんが煽っているのだろうと思う。
そんな彼女にさらに追い打ちをかけるようにアクアさんは言うのだった。
「違わないわよぉ、だってほらぁ」
そして彼女はゆっくりとブリスの胸を揉みしだく。
「あっ、やっ……やめっ……」
抵抗しようとするブリスだが、うまく体に力が入らないのかされるがままになっている。
「ああ、いい♡ 本当に最高よブリスちゃん……♡ この控えめなお胸もワタシの好みに完全に合致してるわぁん♡ オプファーちゃんみたいなおっきい子もいいけど、ブリスちゃんみたいなちっちゃくて可愛い女の子もやっぱりいいわぁ♡」
「や、やめ……。あ、ああんっ!」
アクアさんの手が動く度に声を上げるブリスはもう完全に彼女の術中にはまっているように見えた。
ってかこれあたしはどーすればいいわけ? このままブリスがアクアさんに弄ばれる様を見てればいいんだろうか?
魔法少女マジカルブリスを倒すために誕生した暗黒魔女マギーオプファーとしてそれでいいのかと自分の存在意義に疑問を感じつつもあたしはその光景を眺めるしかない。
アクアさんはもうなんというか絶好調といった感じでブリスを責め立て続ける。
そして、彼女の行動はさらにエスカレートしていく……その手をブリスのスカートの中に差し入れ、太ももを優しく撫で回す。
「ひゃうん!」
アクアさんの手の動きに合わせてブリスは体を震わせる。アクアさんはさらに徐々にその手を上の方にズラしていき、ついにブリスの股間を下着の上から撫で回し始めた。
「うふ、ブリスちゃん、動画は消し去り、みんなの記憶からも消えたけど、ワタシの記憶にはしっかりとあなたの可愛らしいココの事が焼き付いているのよ」
「ああんっ、やだぁ……そんなところ触らないでぇ……」
弱々しい声で懇願するブリスだったが、アクアさんはそれを無視するように彼女の割れ目を指でなぞり始める。
「ひうっ! ああん!」
その度にビクビクっと体を痙攣させるブリスにアクアさんは満足そうな笑みを浮かべるとさらに激しく指を動かしていくのだった。
「ねぇブリスちゃん。貴女は自分でここを触ったりしたことあるかしら? まあ、この反応だとなさそうね、うふっ、つまりワタシはブリスちゃんの初めてになれるってことよね♡ 嬉しいわぁ♡」
ぴくっ……。
アクアさんが発した言葉にあたしは思わず反応する。
……ブリスの初めて、ですって……?
そいつは、そいつはあたしが倒すべき敵……つまり、あたしの獲物なのよ! なのに、それなのに……。あたしはアクアさんのセリフに激しく動揺していた。
「な、なにを言って……」
ブリスは戸惑いの声を上げるが、それは当然だろうと思う。いきなりこんな訳わからないことを言われたら誰だって戸惑うに決まっている。
そんな彼女の疑問には答えずアクアさんはさらに続けたのだった。
「ねえブリスちゃん♡ もうワタシ我慢できないわ♡」
調子に乗ったアクアさんはブリスの下着の中にまで手を入れ始める。
「だ、だめっ! そんなとこ……ああんっ!」
アクアさんの手がブリスの下着の中で蠢きブリスが甘い声をあげる。
グググッとあたしは知らず知らずのうちに拳を思いっきり握りしめていた。
そして、アクアさんがその顔をブリスに近づけ口付けしようとするのを見た瞬間、あたしの中で何かが弾けた!
ブリスを倒すのはあたし……ブリスを甚振っていいのはあたしだけ……ブリスを泣かせていいのはあたしだけ……ブリスに……触れていいのはあたしだけ……!!
あたしのモノに……手を出すんじゃ、ないっ!
不可思議な感情に突き動かされ、あたしは夢中になっているアクアさんの背中に向けて手をかざす、そしてそのまま――
ドオン!
アクアさんの背中に魔力弾が炸裂し、吹き飛ばされるとともにブリスが解放される。
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