【Character Story⑦】 メイド・オブ・オナー
※【Character Story⑥】冒頭に出てきたメイドさんのお話です。
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大鬼騒ぎが収まりを見せた頃、当家の大切な姫様もとい大切なお客様であるユウ様が、目を覆いたくなるような姿で戻られました。
「あぁ・・・何とお
心を乱しては駄目だ。私は栄えあるスピンドル家のメイド長、常に「最高」をお届けするのが私の仕事。
真っ先に動かなければならない。
「ユウ様のお部屋は常に準備を整えて御座います・・・えっ何この子達、かわっ。ごほんっ。お客様、ユウ様をこちらへお願い致します」
何っ、あの可愛い動物達はっ!?
あまりの可愛らしさにメイドの仮面が崩れそうになりましたが、ギリギリで平静を保つことが出来ました。
凄く気になりますが、今は姫様が優先です。
お部屋にご案内した後、動物さん達を含む男性の皆様には退室して戴きます。今から姫様の服を脱がさなければいけませんからね、男性禁制です。
ただ、白い鳥さんだけは治療の為残るそうです。
あ、よく見ると目を瞑っていますね。どうやら紳士のようです。
「姫様、お着物失礼致します」
焦げたり血のついた服を剥がします。慎重に剥がさねば傷に障る事もあるからです。
「あら? 傷は無いみたいですね」
「吾が治療致しました。愛しき姫の肌に傷を残すなど、あり得ない」
「左様で御座いましたか、ありがとう御座います」
素晴らしい鳥さんです。
更に鳥さんは服を剥がし終わったところでユウ様に『
これで滞りなくお世話ができることでしょう。
しかしこの時鳥さんが使った魔法、これが我々メイドにとっての試練。後に『至福の七日間』と語り継がれる日々の始まりの合図だったのです。
健康な肌を取り戻されたユウ様。
すると、目の前で主張する特大の二つの丸。
下着越しとは言え、圧倒的な、『存・在・感』!!
怪我の心配をしていた時は気になりませんでしたが・・・。
「姫様・・・やはり、スタイルが良い・・・」
もともとメイドの中でも話題にあがっていた、ユウ様の子供のようなあどけなさに不釣り合いなスタイルの良さ。
ユウ様は男の子の様に動き回られるので、その度に揺れる二つ果実に目が行きます。
そんな果実が、今私の目の前にっっっ!!!!!!
「「「「(ゴクッ・・・)」」」」
ユウ様は澄ましていれば女神のように美しく、笑っていれば子供のように愛らしい方です。
御髪は絹のように滑らかで美しく、常に銀光を放っていらっしゃいます。
その白い肌はキメ細やかで瑞々しく、水を弾きます。
そしてパーツの一つ一つが整っていらっしゃるお顔、薄ピンク色のふっくらした唇に生え揃った長い睫毛。
竜眉にアーモンド型の瞳、ツンとした鼻。
全体としては幼顔ですが、女と少女の危険な境で完成された造形美。
そしてそんなご尊顔とは不釣り合いなスタイル。
出るところは出て、引っ込む所は引っ込んでいる、
そんな太くなく痩せていない、絶妙な健康美を保ち続けている身体。長い手足。
そして象徴たる「胸」!!
・・・ちょっとぐらい触っても良いじゃないでしょうか?
ほら、私達普段からユウ様と仲が良いですし、友達に近い関係ですし。
ちょっとぐらい触れてもそれは医療行為の範疇では無いかと思いますし?
そもそもユウ様なら鷲掴みにしたところで許して貰えそうな気もしますし、普段からピア様がこの桃源郷とも言える至高の果実にお顔を埋めていらっしゃいますし、それなら同じ女である私達が同じことをしても怒られる可能性は極めて低く、何なら「それならもっとする?」とかそんな甘い誘惑を言ってくれる所まで想像できてしまうというかユウ様にはそんな雰囲気があると言うかユウ様は女神と見粉うほどの容姿をしていらっしゃるにも関わらず性格が限りなく男性というか男の子に近くとにかく人との距離感が故障しているせいで普段からユウ様に邪な感情を抱いている者がでておりますがだからといって私もそうだと言っているわけではなくてですね私はどちらかというとそれを制している立場にいると言いますか決してユウ様のもっと近くにいたいとかその果実をいつか独り占めにしてみたいとかを考えているわけでですね故障した距離感のせいで私も少々考え方が変わってきまして最近女同士でも良いんじゃないかなぁなんて思い始めまして実家からのお見合いを断ってしまいましてだからといってユウ様に何か責任とかお願いがあるわけではなくていくら好きだと言ってもピア様は妹でいらっしゃいますし?ユウ様はご立派と言ってもいずれは伴侶が必要になるわけですしその時に独り身の私が立候補するのも吝かでは無いというか・・・etc
おっと、1秒ほど思考が止まっていたようです。
よく見れば、他のメイドもユウ様を見ています。
いけないっ、このままではメイド長の名が廃るっ(?)!!
私は心で血の涙を流しながら、震える手でユウ様に寝間着を着せることに成功。
よくやったっ、偉いぞっ、私っ!!
だがその時。
「えへぇぇぇ・・・ぴあちゃん・・・むにゃ」
──あまりの可愛らしさに、
「あっ・・・ごはっ!!(バタンッ)」
「はああぁぁぁ・・・かわっ、かわぁあああっ!!!!!(ブシャァァァーーッ!!)」
「・・・メイド長・・・私は、もうダメですっ。・・・先に逝きます、きゅぅ・・・・・・(バタンッ)」
次々と倒れていく同僚達。
骨は拾ってあげる、安心して逝きなさい。
ティッシュを詰め、震える足で立ち上がった私はメイド魂で気を持ち直した。
「メーデーッ! メーデーッ! 第一班壊滅っ、救援を求めますっ!!」
その声に待機していたメイド達が戦死者を運び出し、代わりに配置につく。
きっとこの戦いは、二日も耐えれば終わる。
頑張るのよ、みんなっ!!
無事生きて帰るべく気合いを入れた私達だったが、神はどうやら更なる試練を課すつもりらしい。
それは翌日の事でした。
「ユウちゃんをお風呂に入れてあげて貰えるかしら?」
「・・・・・・・・・・・・は?」
お風呂? おおおおおおおおおおふぅぅろぉおおおおお!?
お風呂ぉっ!? 私がですかっ!? 良いんですかっ、本当に良いんですかっ!?
「貴女達が忙しいのも知ってるのだけどぉ、街の復興で私も手が離せないのよぉ。それで申しk「ヤらせて戴きますっ!!」わけ無いとおも・・・やたら食い気味ねぇ、あと今違うニュアンスに聞こえたけど?」
「他意は一切御座いませんっ!!」
「本当かしらぁ・・・まぁ頼んだわねぇ」
「はいっ、命に代えましてもっ!!」
ぃやったぁああぁぁぁっ! 姫様とお風呂ですっ、あの玉のお肌を隅の隅まで・・・ぐへへへぇぇ。
輝かしい未来に想いを馳せている私、しかし奥様はこう言い残して行かれました。
「あ、そうそう。何かしたら『
Oh・・・、これは冗談では済まなくなりました。本当に気を付けねば。
それから鋼の精神をもってユウ様のお身体を綺麗に致しましたが、そこでも5人の
何と申しますか・・・ユウ様のお身体に、無駄な箇所は一つも御座いません。☆完☆璧☆でした。
ここ迄で悟ったのですが、ユウ様のお世話をするのは最上級メイド長クラスの者でなければいけません。
あれは無自覚なサキュバスですっ、一瞬で心を持って行かれてしまいます。
正直、私も側にピア様がいらっしゃらなければ何をしていたか・・・ユウ様、恐ろしい子っ!
それから夜になり、ユウ様の側仕えに一人残しあとは休むことになりました。
今夜の担当は私。勿論徹夜というわけではなく、異変にすぐ気付けるよう一緒の部屋で寝るだけです。
私はホッとしました。こんな心臓に悪い日々もあと一日程度で終わることでしょう。
流石に何日も寝続けることは無いはず、早ければ明日の朝にはお目覚めに・・・。
血を失い過ぎたからでしょうか、私は毛布に包まるとあっという間に夢の中に落ちて行きました。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・?
誰かが近くに居る?
私の頭を撫でている、すごく気持ちがいい。
いったい誰だろう?
薄っすらと目を開くと、目の前にいらっしゃったのは──。
「・・・姫様?」
ユウ様が、私の頭をゆっくりと髪を梳くように撫でていらっしゃいました。
その表情は非常に大人っぽく、私を慈しむような目で見ていらっしゃいます。
「──っ!? 姫様っ、目を覚まされてっ『しぃーー』むぐっ!」
「おおきな、こえ・・・だしたら。みんな・・・おきちゃう、わ・・・」
ユウ様は人差し指で私の唇を優しく抑えました。
その仕草一つ一つが、ユウ様と一致しません。
「おせわ・・・してくれて、いたのね。・・・ありがとう。このこ・・・の、おせわ・・・たいへん、でしょう?」
「い、いえ。そんな・・・お仕えさせて戴いて、私も感謝しかなく・・・」
見た目はユウ様と同じなのに、声の抑揚、視線、所作、全てが体感したことが無い程上品で、何より包み込むような優しさに溢れていて・・・。
「このこ、ね・・・わるぎは、ないの・・・。ただ、こども・・・な、だけなの・・・。ゆるして、あげて・・・ね?」
「そんな。許すも何も、私共はそんな姫様を心より敬愛しておりますっ」
「ありがとう・・・。あなた、いいこ・・・ね。さぁ、いらっしゃい・・・」
ユウ様ではないその人は私の手を優しく引き、先程までお使いになられていたベットへ移動されました。何故か全く抵抗できない、抵抗する気すら起きない。
ベットではピア様、ミミ様が全くお目覚めになられる様子を見せません。これは夢なのでしょうか? だとしたら、あぁなんと優しい夢なのでしょう。
「あんな、ところで・・・ねちゃ、だめ・・・よ? いっしょに・・・ねましょう?」
「い、いけません。私はメイドなのです、それに姫様に異変があった時には報告をする義務が・・・」
「わたしは・・・だいじょうぶ。このこが・・・うまれた、ときから・・・いっしょ・・・だもの」
生まれた時から一緒? それはどういう・・・。あぁ、ダメだ・・・この方の優しさで、思考が回らない・・・。
「わたしは・・・まだ、でられない・・・。だから、ないしょ・・・よ? それより・・・ねましょう。ほら・・・おいで。・・・いいこ・・・いいこ」
─可愛い我が子
─愛しい我が子
─母のむねをゆりかごに
─木も川も風も動物も
─母が命を与えましょう
─母がめぐみを与えましょう
─母が全てを守りましょう
─だから愛しき我が子よ
─母のゆりかごで、さぁ眠れ
耳を通して全身に沁み込んでくる子守歌。
オルゴールのような優しい声。
私を包み込む柔らかさ、暖かさ、懐かしい匂い。
全てが、全てが──優しい。
「あなたは、がんばっている・・・わ。あなたは、いいこ・・・。だから・・・あまえて、いいの・・・。あなたは・・・うまれた、ときから・・・わたしの、かわいい、こ・・・」
「ユ・・・おかあさん・・・」
「むねの、おと・・・きこえる? おぼえて、いて・・・わたしは・・・あなたが、ねむる・・・その、ときまで・・・ずっと、いるわ」
「おかぁさぁぁん・・・」
「ふふふ・・・さぁ、ねましょう・・・わたしの・・・いとおしい・・・こ・・・・」
お母さんは最後にぎゅっと、私の頭を包み込んでくれました。
それ以降何も覚えていません、ただすごく気持ち良かったのだけは覚えています。
◇
翌日、私はユウ様の隣で目を覚ましました。
「ここは姫様のベット・・・夢じゃなかった? いや、でも・・・」
すごく気持ちの良い目覚め、今までに無い体の軽さ。
そして思い出す、昨晩(?)の痴態。
(あ、あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!)
声を出さなかった事だけが、なけなしのプライドでした。
しかし、あまりの羞恥に今日は立ち上がれそうにありません。
その日は別の者に担当を代わっていただき、私は部屋に籠りました。
「ま、まさかこの歳になって・・・おぎゃ・・・。おぎゃあぁぁぁぁぁぁああああっ!?!?!?!?」
もう二度と痴態は見せないと言いたい、言いたいが、ダメですっ!
アレを一度知ったらっ、もう戻れない・・・あぁでも気持ち良かった・・・。
翌日出勤した私は、ユウ様がまだお目覚めになっておられない事を知り、これから何が起こるのかを悟りました。
この後続く残り4日間、それが当家のメイドに伝わる『
そして、後に『究極のメイド』と呼ばれる私の、誇りと魂の戦いでもあったのです。
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