4-⑳ 猫は胸のサイズで冒険者ランクを語る

 結婚、夫婦、ゼ〇シィ、いやそれは結婚相談か。

 まぁいずれにしても電撃結婚したやつが居るらしい、誰だ? クレアさんか? エレナさんか? もしかしてエリザベスさんっ⁉


「えっ、だれだれ? 誰が結婚したのっ⁉」

「ゴンズよぉ、お相手は露店にも参加しているスラムの女性ねー」


 ゴンズッ⁉ あいつ仕事しつつ婚活してたのかっ! これは是非お祝いしに行かねばっ、くっくっくっくっ(悪笑)。


「第二回店員募集からの参加者だから、ユウちゃんは会ったこと無いかも知れないわねぇ。初期メンバーにその女性の子供さんが参加していたらしくてねぇ、体調が良くなったから編み物制作に参加して、スラムでもゴンズと一緒にたくさんの子供達の面倒を見ているうちに自然とそうなったそうよぉ」

「なるほど。という事は電撃結婚ってわけじゃないんですね」


 二ヵ月ほどは一緒に生活していたという感じだろう、それにしてもゴンズがねぇ・・・。


 なんでも件の事件の際、子供達はその女性の目の前で攫われていったそうだ。それをゴンズが悪党集団から取り返してきた、そりゃ惚れてまうわな。ただでさえゴンズは面倒見がいい良い奴だ・・・口は悪いけどね、モヒカンだし。

 ちなみにゴンズが養っていた子供達も含めて、いきなり10人家族になったらしい。いきなり大家族だね!


 それ以外で、母子家庭のスラムの住民を孤児院の職員兼任で住まわせたりして人数が増えた事。

 ダンタルニャンとアトスが冒険者チームの指導員に加わった事。

 アラミスが治療院で、神鳥様と呼ばれて崇拝され始めている事などが追加で教えられた。

 いや、アラミスは何してんの?


「起ったことはざっくりとこんな感じね、後はユウちゃん達の話だけ。出来ればすぐ聞きたいんだけど、体調は大丈夫かしら?」

「大丈夫ですよ、じゃあアルバートさんの所に向かいましょうか!」


 面倒ごとはさっさと終わらせるに限る。

 僕は妹達を抱っこしたままベットから降り、扉へ向かった。


「ダ、ダメですわっ、お姉様っ⁉ ちゃんと下着はお付けになって下さいましっ!!」

「えー、無い方が楽なんだけど・・・」


 この解放感、なにものにも代えがたい。外すと分かるがブラって付けると安定して楽なんだけど想像以上に骨にくる。


「ちゃんと下着をつけておかないと見えちゃうわよ? ユウちゃんは胸が大きいんだから服の上からでも分かるものぉ。それにジークが眠れなくなっちゃうから、勘弁してあげてね」

「はぁ~~い」


 はいはい、御見苦しいものは仕舞っちゃいますよぉ。

 それにしてもボロボロのものはたぶん捨てられたし、新しく買わないとダメかな。でも高いんだよねぇ・・・、まぁ最近サイズが合わなくなってきたから買い替えの時期ではあるんだけど。


 僕の胸はピアちゃんがよく揉んでいる為か順調にバストアップ中で、現在は僕の冒険者ランクと同じサイズとなっている。この分だとあと何回か変えなきゃいけなさそうだ。

 僕は地球でも5枚セットで800円のトランクスを選んでいた類の人間だ、でもこの世界で女性用下着は上下セット一着のお値段なんと金貨一枚(一万円)!! これを買わざるを得ない僕の気持ちが分かるだろうか?

 女性用下着ワンセットでトランクスが60枚買えるのだ、この世の不平等を抱かざるを得ない。


 勿論、一般の人も皆それを買っているのかと言われるとそんなわけもなく、ちょっと質のいい布のキャミソールやサラシを使っているんだそうだ。

 じゃあ僕もリーズナブルなそちらにしようと思ったのだが、僕のサイズではキャミソールだとカバーできず、サラシは感触が良くないから嫌だとピアちゃんから拒否された。

 僕の下着事情はピアちゃんに左右されるのだ。


 というわけで仕方なくこのお高い下着を使っている、しかも最近これに拒否感が無くなってきている。

 じわりじわりと何かを失っている僕だった。


「お姉様、スタイルが良いですの・・・」

「おねーちゃんのお胸は、ピアが育てたのっ!」

「なるほどねぇ、お世話をしていたメイド達が興奮していた理由が分かるわぁ」

「まじまじと見ないで下さい」


 着替える僕を観察しているエリザベートは、しきりに「羨ましい」と感想をこぼす。しかしマルセナさんを見る限り、彼女には悲しい未来が待っていそうだ。

 あと、僕の胸は野菜では無いので「育てたっ!」とか言わないで欲しい。何かね、最後収穫でもされるのかね?

 そんな益体も無いことを考えながら、僕は下着を付けてエレナさんが買ってくれたワンピースに着替えた。


 そういえばよく着ていた服がボロになってしまったので、新しい服も買わねばならない。

 またあの店に行って、ピアちゃんと揃いのデザインを選ぼうと思った僕だった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る