第22話  僕はオムライス!

 卵とケチャップとチキンとライス、僕はこういった素材から出来ている。そう、僕はオムライスだ。仕上げにケチャップを上からかけてもらう。さあ、出来上がりだ。どうだろう? 僕は美味しそうに出来上がっているかな? きっと、美味しそうに出来ているよね?


 僕はお弁当箱に詰められた。僕はレ〇ナちゃんのお弁当になったんだ。レ〇ナちゃん、とてもかわいくて素直でいい娘(こ)なんだ。レ〇ナちゃんに食べてもらえるなんて、嬉しいなぁ。油ギッシュなオッサンに食べられるより、かわいいレ〇ナちゃんに食べてもらいたい。みんなにもこの気持ち、わかってもらえるよね?


 あれ? 登校時間が過ぎちゃった。レ〇ナちゃん、今日も学校に行かないのかな? 最近、学校に行ってないらしいけど。誰に聞いたかって? お弁当箱君に聞いたんだよ。僕達料理は器と会話が出来るんだ。


 あ、レ〇ナちゃんが降りて来た。やった! 僕のことを覗き込んでいる。嫌だなぁ、そんなにジロジロ見られたら照れちゃうよ。と、思ったらレ〇ナちゃんどこかへ行っちゃった-! まあ、お昼には食べてくれるよね。


 って、お昼なんですけどー! なんで食べてくれないのー? 寝てるの-? 早く降りて来てよ-! 料理に生まれてきたら、美味しく食べてもらうことが1番の幸せなんだよ。レ〇ナちゃん、僕、美味しいよ。食べてみてよー!


 でも、しょうがないか。レ〇ナちゃん、最近元気が無いらしいから。何か悩んでるみたいだって。お弁当箱さんも長い間学校に行ってないらしいし。どうしたのかな? 何を悩んでいるのかな? まさか、いじめ!? レ〇ナちゃんをいじめるなんて許さないぞ! オムライスだって戦う時は戦うんだ! でも、いじめとは限らないよね? なんだろう? とにかく学校に行きたくないみたいだね。でも、学校には行かなくていいけど僕を食べてよ。僕ならきっと、レ〇ナちゃんを元気にしてあげられるから。


 って、夕方かーい! レ〇ナちゃんのお母さんが仕事から帰って来たじゃないか! ヤバイ! 嫌な予感がする。


 そのまま夜になっちゃった。ああ、もう待ち疲れた。もう、お母さんでもいいや。僕を食べてくれ。僕はまたオムライスに生まれ変わって、次はレ〇ナちゃんに食べてもらうから……って、三角コーナーに捨てるんかーい!


 ああ、もうダメだ。本来、ゴミっていう物は何か一仕事した物のことなのに、僕は何も出来なかったなぁ。あ! レ〇ナちゃんだ。様子を見に来てくれたの? 僕を食べに来てくれたの? ごめんね、少し遅かったよ。でも、またオムライスに生まれて来るから、その時は美味しく食べてね。あ、レ〇ナちゃんが悲しそうな顔をしている。レ〇ナちゃんの笑顔が見たかったなぁ。



 あれから、どのくらい経ったのだろう? 僕はまたオムライスに生まれてくることが出来た。今度こそレ〇ナちゃんに食べてもらうんだ! って、僕を食べるのはオッサンかーい! おいおい、口臭キツイなぁ-! やだー! 嫌だ-! ああ……早く生まれ変わりたい……。



 何回オムライスとして生まれ変わっただろう? 僕はなかなかレ〇ナちゃんに出会えなかった。でも、レ〇ナちゃんを守ってあげたい。レ〇ナちゃんは繊細で傷つきやすいから、誰かが守ってあげなければならないんだ。



 そんな或る日、僕はレ〇ナちゃんと再会できた。何故だろう? 少し強くなったような感じがする。ああ、やっとレ〇ナちゃんに食べてもらえる。ああ、良かった。今日のレ〇ナちゃんは、満面の笑顔だ。レ〇ナちゃん、苦労した分強く元気になれて良かったね! 時間がレ〇ナちゃんを変えたんだね。じゃあ、また今度も笑顔で食べてね!







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レ〇ナさん企画応募作! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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