第6話 最初の衝突①
共和暦230年9月8日 ウェスティシア共和国首都ルーティア 大統領官邸
ウェスティシア共和国の中心地たる首都は、賑やかな声に包まれていた。開戦から1週間、共和国軍はヨーシア大陸東部の国々に対して連戦連勝を続けていたからだ。最前線より凱旋してきた将兵は市民達から万雷の喝采で出迎えられ、トラックの上から手を振って応じる。その様子は大通りに面した位置にある大統領官邸からも伺い知る事が出来た。
「閣下、我が軍は開戦以来連戦連勝を続けております。このままいけば大陸全土の統一も間違いない事でしょう」
大統領執務室にて、国防委員会委員長のペタル大将は、ピエール・ディ・レイ・マレア大統領に向けてそう語る。対するマレア大統領は笑みを浮かべつつも、冷静に言葉を返す。
「だが、東の果てには忌々しきユースティアがある。彼の国の軍事力は高い、決して油断するな」
「承知しております、大統領閣下。ですが我が軍は精鋭揃い。経済力に比してチンケな軍隊しか持たぬユースティアごときに大敗を大敗を喫する事などありますまい」
「…ああそう言えば、空軍の部隊が大活躍しているそうだな。相当手練れの部隊だと聞いているが…」
「第5航空師団隷下の第21戦闘航空連隊ですな。彼の部隊のエースがいる限り、我が軍は勝ち続けられる事でしょう」
ペタルは笑みを浮かべながら、そう話すのだった。
・・・
大陸暦1025年9月12日 ユースティア連邦共和国西部 アビドス州キーザ市郊外 連邦陸軍キーザ基地
「佐々木中尉、こちらです」
基地司令部付きの士官に案内され、佐々木は数人の女性達と対峙する。すると、桃色の髪が印象的な女性が話しかけてくる。
「どうも、中尉殿。第2機甲師団第2歩兵連隊所属、
「…彼女の率いる小隊は優秀でして、連隊内中隊対抗競技大会でも非常に優秀な成績を残しております。中尉旗下の陸戦教導部隊としては最適な人材かと存じます」
「そうか…以後、よろしく頼むよ、花守少尉」
佐々木はそう言いつつ、花守と握手を交わす。とその時、部屋中に警報が鳴り響いた。
『警告!西部レーダーサイトを破壊して越境してくる敵編隊を捕捉!侵攻目標は恐らく本基地と推測される!非戦闘要員はシェルターへ退避せよ!』
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