第18話 油断
私はいつものように家の外の森を歩いていた。
ログハウスで使うための薪を探していたのだ。
「おっ。いい感じに枯れ果てた倒木をはっけーん!」
私はその倒木のサイズの大体を認識すると、頭の中のスイッチを押す感覚でシステム化魔術を作動させる。
──システム:カマイタチ、起動。
すると一瞬のうちに格子状の風の刃が出現して倒木を切り刻み、均等なサイズの薪ができた。
そして今度は別のものを作動させる。
──システム:リフトアップ、起動。
できあがった薪がひとりでに空中へと浮き上がり、私の後方1メートル辺りにピタリとくっついて、私が歩くだけでその後をついてくる。
ログハウスへと戻ってくると、また別のシステム化魔術でその薪を自動で仕舞った。
……いやぁ、我ながらなんて便利なのかしら……このシステム化魔術ってものは。
例えばさきほど使ったシステム:カマイタチ。
これは本来なら5つ以上の種類の無属性魔術を組み合わせることによってようやく作れるものなのだが、通常人が一度に出せる魔術の種類は1つか2つのみ。
だから普通はカマイタチなんて1人で作れるものじゃないのだ。
しかしそのハードルは、カマイタチを発生させるメカニズムをシステムとしてまとめあげることで完全に解消された。
私が呼び出す魔術はシステム:カマイタチという魔術1種類のみ。
それだけで他のカマイタチを出すために必要な種類の魔術行使はすべてシステム側で自動でやってくれるのだ。
……ああ、素晴らしき発想の転換。自分でできないのならシステムにやらせてしまえばいいじゃない。つまりはそういうこと。
あ、でもだからといって万能ってわけでもない。
これはいつでもどこでも自分の思い通りに魔術が使えるというわけではないのだから。
すべて、あらかじめシステム化魔術として私の頭の中に組み上げ済みの術式を用意しておくことが前提だから、入念な準備は怠ることができない。
だから、
「おいシャルロット、顔をかせ」
こんな風にして突然呼び出しを喰らってしまうとか、そういうトラブルはピンチに陥りやすいのだ。
私を呼びつけたのはアルフレッドとフリード。
夜、ログハウスから家の敷地内に戻り自室へと向かう途中で、私はその2人に進路を阻まれ、そして人気のない裏庭へと連れ出された。
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明日より毎日1話更新となります。
毎朝7時に新話を投稿しますのでよろしくお願いいたします。
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