第六話 不穏な空気は踊るに限る!

 仁玖とXPはコラボの日が来た、体育館を借りて準備はバッチリ。

 仁玖達が交渉しまくった結果、学年問わず配信者クラスの生徒達が集まった。

 気付けば大規模なコラボとなってしまった。

 だがあくまでメインは仁玖とXP、それでも先輩達は惜しみなく助力してくれる。

 その配信が今始まろうとしていた。


「ヘイ谷姫サン! 今日はコラボよろしくお願いいたしますネ!」

「っしゃ、よろしくXP!」


 配信を開始する仁玖達、画面には今日するゲームと自分達の姿が映っている。

 コメントも盛り上がっているようだ。


 『おはようございますー』

        『仁玖がXPさんとコラボか』


『うちの仁玖がお世話になります』

                 『いえいえ、突然XPが踊りだしたらごめんなさい』


 どうやらリスナー同士も問題は無いようだ。


「今回俺達が実況するのは! うさちゃんアクションツーだ! まあ画面に映ってるけどネ!」

「おおおー」


『え? XPならともかく仁玖に出来るのか? 高難度だぜ?』

    『まあ1面までらしいし?』

        『それなら終わるか?』   

            『ぬるぽ』         


「さあ! 早速チャレンジネ!」

「おっしゃ!」


 意気揚々とゲームをスタートした仁玖だったが……実はこのゲーム、超高難度なのだ。

 ユーザーに簡単だと言われた製作者達は、製作者の人間ですらクリア出来ない物を作ってしまった。

 1面から殺しにかかってくる、うさちゃんアクション2はシューティングとアクションの合わせ技。

 自機の兎を操作して敵の兎を倒す、簡単に言えばこれだけだ。

 基本的一度当たったら終わりだ、故に難しい。


「オー!」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ! このビッグうさうさめ!」

「……仁玖さん、実はこのビッグうさうさは……ただの雑魚デース」

「は?」


 『ネットミームの猫で草』

      『おいおい大丈夫か?』

    『不穏になってきました!』

       『まあ落ち着け、ちくわ大明神』


「谷姫サン! 大丈夫デース! まだ授業の時間はあります!」

「うそやろ……一面のボスやで?」


 何とか一面ボスまでやってきた仁玖だったが……

 1面とは思えない初見殺しの数々だった

 そして、なんやなんやとコラボ時間ぎりぎりにになってしまった。


「ごめんよ、XP~」

「おおぅ……谷姫さんは悪くないデス!」


 『もうXPがやればいいじゃん』

        『まあそういうな』

            『耐久配信はこちらですか?』

         『ぬるぽ大明神』


 コメントも徐々に、というか諦めモードに入っていた。

 XPはコメントを確認して、視聴者に見えない様にニヤリと笑った。

 そして立ち上がった!


「ヘイ! こういう時は気分転換デス! イライラ良くない!」

「た、確かにそうだけど、どうしたの急に?」

「ミュージック……カモン!」

「は?」


 すると配信画面が切り替わり、体育館のステージが映る。

 ステージには吹奏楽から軽音楽まで様々な楽器を持った人々!

 スポットライトが当たると演奏が始まった!


 それと同時に体育館の出入口から、人がぞろぞろと入ってきた!

 踊りをする者達だ! ブレイクダンスから日本舞踊と様々だ!


「ええぇぇぇぇええ!? 何々!? リハになかったよ!? ってか踊る人達おおいな!」

「レッツダンス!」


 それから仁玖も視聴者も置いてきぼりのダンスタイムだった。

 コメントも仁玖側の視聴者が困惑をしている。


『ゲーム配信かと思ったら、総合ダンスを視聴していた』

  『やっぱり踊れる奴はスゲーな、どんなリズムでも踊りやがる』

  

『え? XPの配信ていつもこうなの?』

      『どういう事なの……』

   『なるほど、身体を動かしてストレス発散か、いいぞ』


 仁玖はあっけにとられていると、XPはインドダンス的な動きで仁玖に近寄った!


「フォー! さあ谷姫さんも!」

「お、おうよ! 良くわからんけど!」

「ヘイヘーイ!」

「うっしゃ! 盛り上がってきた!」


 もうダンスの闇鍋といっていいほど無茶苦茶な状況。

 だが全員がいい顔をしている。

 むしろ俺、私のダンスは凄いだろうと圧をかけている!

 その位の熱狂だ!


『よし、俺は考えを放棄してこのノリに付いて行くぜ!』

    『よっしゃ!俺達ものろうぜ!』

           『いや、ゲーム配信はどこに』


「ヘイ! 機材、撮影、音楽、照明、ダンス! 素晴らしいコラボになったネ!」

「おお! すごーい! ……ってちょいちょーい! 手伝ってくれた人達には感謝するけど、私達のコラボはゲームやん!」

「オオウ! では続きをしましょう! 私達はダンスで応援です!」

「うええええぇぇ!? 周りで見られてるやん! やってやろうじゃないか!」


 仁玖はそれから怒涛の勢いでゲームを進めていった。


「どりゃーーーーー!」


 何とか1面のボスを倒したのだ!


「「「うおおおおおおぉぉぉおおおおぉぉ!」」」


 『キターー!』

   『ダンスの効果やな!』

        『俺もダンス始めるわ』


「ヘイ! 皆! これは喜びの舞だぜ! カモン!」

「「「「「うおおおぉぉぉおおおぉぉぉ!」」」」」

「って踊るんかーい!」


 コラボはひとまず大成功と言っていいだろう。

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君と笑えるバーチャルライブ配信! 藤島白兎 @hakuto5

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