第五話 仁玖とXPコラボ打ち合わせ

 今日の授業はコラボをしてみよう! というもの、これは学年でくじ引きをしてパートナーを決める。

 そして互いの相性は置いといて、視聴者に一定の面白さを提供する。

 配信者としては避けられない力、協調性を高めるのが目的だ。

 谷姫仁玖たにひめにくはクジ引きの結果、1年A組の本名はマイケル・バーフ・鈴木がコラボパートナーになった。

 

 彼は父が日本人とアメリカ人のハーフ、母が日本人とインド人のハーフ、と凄い両親が居た。

 配信者活動のペンネームは、エクストラ・パッション、略してXPと名乗っている。

 ゲーム実況や踊ってみた系も配信している、そして着ぐるみをよく着る。


「ヘイ! 谷姫さん! 明日の俺達のコラボの相談だナ! 貴重な昼休みに相談の時間をありがとう!」

「そりゃいいよ、放送の授業どうしようか? 時間がないね」

「オウ! ここは互いの持ち味を生かすデース!」

「……鈴木君、君テンション高いね」

「はっはっは! 当たり前さ、だって楽しいじゃないか」

「まあ、そりゃそうだけど」


 2人は屋上でお昼ご飯を食べながら話をしている。

 仁玖は片手で食べれる巻き寿司で中身は焼肉。

 XPはキーマカレーをナンで包んだものを食べている。

 屋上にはちらほらと生徒達が話している。


「でもどうしようか?」

「まず一つずつ確認デース! リスナーの空気はどんな感じか、何が得意かとかね」

「うーむ……私って得意な事ってないんだよね、ああ……陸上はやっているけど、配信で……」


 仁玖はひっひっひと笑っている、それを見たXPは苦笑いをした。


「おおう、何か思いつきましたネ? 駒沢さんにいたずらする時と、同じ顔をしていマース!」

「へっへっへっへ……XPはゲーム得意だよね?」

「はい、どんなゲームでも楽しくしマース!」

「私はゲームの腕って普通なのよ、下手でもなければ上手くもない」

「ふむふむ」

「ちょいと難しいゲームを私が挑戦する、XPが助言をする、私は上達しない」

「んん? それじゃあリスナーが不満デース……」

「そそ、それが続くとコメントも徐々に悪くなるかもね」


 XPの普段の放送はゲーム、それもかなり上手い。

 更にゲームの最中絶対に暴言を言わない。

 それが人気の一番の秘密なのかもしれない。


「XPの配信はどんなものか知ってるよ? この間、リスナー同士のケンカをXPが踊って解決したよね? わざわざワイプに切り替えて」

「ハイ! 時と場合はあるかもしれませんが、暴力は良くない、もちろん言葉の暴力も、だから僕は踊って解決しましタ」

「普通の疑問なんだけど……なんでそれで収まるのさ」

「実はリスナーとダンスオフもしていマース!」

「す、凄いね」

「全てとは言いませんが、ダンスで解決デース」

「おけおけ……んじゃさ、踊れる人達にも声をかけない? 踊る系の配信者達にさ」

「オー! 大型コラボになりそうデース!」

「あ! だったら今から声かけた方が良くない?」

「確かにそうネ、あ、仮でも流れ欲しいデスネ!」

「私達がゲーム実況、私が操作してゲームが進まない、XPの助言しても上手くいかない、コメント不穏、唐突に音楽鳴る、リスナービックリ、踊る人達入室! 踊る!」

「オッケーネ! 行動あるのみよ!」

「アグレッシブだね! 放課後話し合いしよう!」

「OK!」


 2人はお昼ご飯をさっさと食べて行動に移す。

 考えれば行き当たりばったりで、何が面白いのかは説明出来ない。

 だが、何か面白い事に理由はないのかもしれない。

 この行動派の2人にとっては。

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