第11話 巨岩

朝起きたら両側に美少女が居てテンション上がってる楓だよ〜!

ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

なんだこの美少女2人は!!顔が良い!大変眼福!

…なんてはしゃいでたら2人にボコボコにされました。うるさいってさ。悲しい。


…さてさて目が覚めたところで、今は皆でご飯食べてるよ。昨日は色々あって食べられなかったからね〜…黙って食べるのもあれだし今日することでも話していきましょ!


「さて、今日は何する?確か日織ちゃんの話だとご両親と親友さんに会えるのは夜なんだよね?」

「そうだね。だからそれまで時間を潰したいんだけど…」


日織ちゃんは、昨日会ったときはかなり怯えて言葉も詰まっていたけど、信用してくれたのかかなり自然に喋ってくれていた。


「それじゃあ狩りに行きませんか?そろそろヨルの分のご飯が無くなっちゃいます。」

「…うん?ヨルって?」

「あぁ、日織ちゃんには紹介して無かったか、ちょっと待ってね」


召喚サモン 魔狼ヨル】


「わふっ!」


召喚魔法を使うと魔法陣が現れ、その中心からドヤ顔をした…というより、かっこつけたヨルが出てきた。


「す、凄い…狼?」

「わふ〜」

「ヨル!1日振りのもふもふです!可愛い可愛い!!」


ルナちゃん、今あなたの方が可愛いよ。という言葉をギリギリ飲み込みつつ、日織ちゃんの方を見た。


「か、可愛い……もふもふだぁ。」


日織ちゃんはなんか…手を空中でニギニギしながら触りたそうにしてた。ご飯を前にしたわんちゃんみたい…可愛い。


「日織ちゃんも触っていいよ。ヨルも触られても大丈夫だよね?」

「わふっ!」


ヨルが鳴きながらこくんと頷いた。


「あ、ありがとう…じゃあお腹辺りを………うわぁもふもふぅ……毛並も凄い綺麗…」

「わふ♪わふ♫」

「ヨルも嬉しそうです。私ももっともふもふしたい…」

「ルナちゃんも一緒に触ってきたら?ふへへ…」

「楓ちゃん…何か変なこと考えてませんか?」

「いっ!?いやぁ別に?変な事なんて全然考えてないですけどねぇあはははは…」

「流石に嘘が下手過ぎますよ…まぁ良いです。じゃあ私ももふもふしてきます。」

「いってらっしゃい…ふへへぇ」


ニチャニチャした笑みを全然隠せてなかったけど、とりあえず日織ちゃんとルナちゃんをヨルに向かわせることが出来た…後はこれ!

てっててーん、スマートフォン〜!

こいつのカメラ機能で2人の可愛い姿を撮ってやろうという魂胆ですよ…ふへへ。可愛い写真いっぱい撮って後で見返すんだぁ…

…え?盗撮だから犯罪?だから前も言ったでしょ?この世界には今法律なんてないの。つまり私がルールだ。


「ふへ〜…ヨルぅ…もふもふです」

「サラサラでもふもふ…ふふっ」

「か、可愛い!!ここでパシャりと…よし撮れた。……💡良いこと思いついた…皆こっち向いて〜!!」

「わふ〜?」

「なんですかぁ」

「何?かえ…で?」

「楓ちゃん、何でスマホ構えてるんです?」

「これはね…写真って言って、世界を切り取って保存することが出来るんだよ…一説によれば写真を撮られると魂を抜かれるとも…」

「わふ!?」

「な、なんですか!それ!」

「………ふふ」

「じゃあ撮るよ〜!3〜2〜1〜パシャり」

「いやぁぁ!!」

「わふっ!」

「2人ともあっち見て?いえ〜い」


無事に3人…2人と1匹の写真を撮れた…ふふルナちゃんもヨルも可愛いなぁ!昔のサムライさんとかが写真怖がるのとか見たことあるけど…やっぱり可愛いね!


「ふふ、ルナちゃん、ヨル。これは魂抜けたりしないから大丈夫だよ〜」

「…も、もうっ!楓ちゃん!!脅かさないで下さい!!」

「わふっ!わふっ!」

「ふふふ…ごめんね〜2人とも可愛かったよ〜!」

「うう…恥ずかしい…」

「それより楓。それスマホ?」

「そうだけど…ってそっか、日織ちゃんは昔使ってたんだから知ってるよね。」

「うん…久しぶりに見た…私のはずっと昔に壊れちゃって、改造人間サイボーグのやつが真似して作ってたけど圏外になって使えなかったし…」

「これは女神様からお詫びに貰った物で、電気の変わりに魔力を使ってるらしいよ」

「へぇ、魔力で…なるほどねぇ。…ねぇ今思ったんだけどさ」

「うん、多分私も同じこと思った。」


「「"コレ"改造人間サイボーグのところに持って行ったら複製出来るんじゃね?」」


日織ちゃん曰く、改造人間サイボーグは元静岡県に拠点を持ってるらしいから、これは寄るしかないよね!


「むぅ…2人だけで話して…」

「あぁごめんねルナちゃん!!もしかしたらルナちゃんにもスマホあげられるかもしれなくてテンション上がっちゃった…」

「ルナ…ごめんな」

「いいもん…私にはヨルがいるもん…」


2人で盛り上がっていたらルナちゃんが不満だったらしい…不貞腐れちゃった…ごめんね

とりあえず2人で頭撫でたり、お水持って来たりして機嫌を直してもらった。


「ねぇ、日織ちゃん。」


そしてこれを気に、私は日織ちゃんに提案をすることにした。


「私達と一緒に旅しない?」


そんな私の言葉に、日織ちゃんは虚を突かれた様な反応をした。実際、本当に想定してないことだったのだろう。


「……ぇ?」

「私は今ルナちゃんにこの世界を教えるために、いろんなところを旅してる…と言っても、ほんの1月前くらいからだけどね…」

「…うん」

「それで、この世界に詳しい日織ちゃんにも来てほしい…ってのが建前ね」

「建前?」

「ほんとは私が一緒に行きたいだけ。日織ちゃんと居るととっても楽しいからね!ね!ルナちゃん!」

「はい!私も日織ちゃんと一緒に行けたら嬉しいですっ!」

「…そう、か」


なんかカッコよく喋ってるけどほぼノリだよ。普段の会話で『建前ね』なんて使う人居る!?…まぁ居ないこともないか。でも私は使わないし…だからちょっと、割と、大分カッコつけて言ってる。


「あと可愛くて目の保養になるしうへへへ」

「うわ…揺らいでたのに一気に無くなった」

「流石に空気読んで下さい楓ちゃん…」

「ごめんごめん嘘!今の無し!」


ちょっとふざけたらボコボコに言われてしまった。悲しい。


「ふふ…確かに楽しそうだね…ちょっと考えさせて。お墓の事もあるし今すぐには決められないかな」

「あぁ、確かに。じゃあ結論は今日の夜にご両親と親友さんに会ってからだね。あ、無理はしなくて良いからね!嫌なら、それを尊重するから。」

「うん、ありがとう。でも嫌ではないから、それだけは間違えないでね」

「…うん。こっちこそ、ありがとう。」


とりあえず勧誘は終わり。一緒に行きたいって言ってくれたら嬉しいし、断られてもそれは仕方ないだろう。結局結論は夜にならないと分からないから、それまで待つことにしましょう。


「それじゃあ話をスマホに戻して、この次は静岡だね」

「ここは長野の右端だからな〜南アルプスとぶつからないように一旦山梨じゃないか?」

「うん、そうだね。わざわざ遠回りするのも面倒だし、突っ切ろうか。」

「ヨル…2人が何を言ってるのか全然分かりません…」

「わふぅ…」


ごめん。流石に全部説明すると時間がかかるし、そもそも県ってなんて説明すれば良いんだ?…スマホで調べたら『行政区画の名称で、市町村を包括する地方公共団体の一つ』…らしい。難しくてルナちゃん分からんわ。国を複数に分けた区画のことって言えば分かるかな?


「あ〜ごめんね2人とも、えっと、今いる日本は県って名前で分けてて、県って言うのは、大きな国を複数に分けた区画のことかな?」

「分けた?」

「例えば…あっちの世界でもナントカ州みたいなのあったでしょ?それと同じだよ」

「あ〜!なるほど!で、それがどうしたんですか?」

「んや、今いる県から静岡って県まで行きたいんだけど間に山があるの、だからわざわざ遠回りして行くより突っ切った方が良いよねって話。」

「う〜ん。分からないけど分かりました!」

「じゃあ大丈夫!」

「え、大丈夫なの?」

「分からなくても山越えればいいし行けるでしょ。」

「ここまでの話なんだったんだ…」

「もし車とか使えたら考えないと行けないよね。」

「車もこの世界には無いよ…」


つまり今の話をまとめると、南アルプスとぶつからないように山梨突っ切って静岡行く。県の説明は全部要らなかった。ってこと。どぅーゆーあんだすたん?


「話長くなったけど、そろそろ狩りに行こうか。せっかくヨルも呼んだしね。」

「そうですね!いっぱい取りましょう!」

「最近薬草ばっか食べてたから楽しみだなぁ…」

「わふっ!」


食事も終わって片付けもしたから、さっそく近くの草原で狩りをしていくぞ!!



──

「ふっ!」

「凄いスムーズ…」

「あっちで結構やってたからね〜」

「わふっ〜!」


てことで草原に来たよ!既に牛3匹仕留めたから、後ちょっと狩れば十分かな〜


「…ん?何だあの岩…」

「…?どうかしたの?」

「いや…あんなところに岩なんてあったかな…」

「結構大きいですね…6mくらいはありそうです…」

「わふ?」


日織ちゃんが急に足を止めて何かを見つめ始めたからそっちを見てみたら、なんかデカい岩があった…曰く、以前はこの草原にあんな岩は無かったらしい。ふむ…


「怪しいね…」

「普通の岩が魔力に当てられて大きくなったりとかは聞いたことありますけど…周りに何も無いですしそれも無さそうですね…」

「となると残るは〜」


そこまで言ったところで、ゴトリと岩が動く音がした。岩がグラグラと動き、やがてその巨大な岩が持ち上がった。


「ぐるる…」

「…やっぱり、ゴーレムだよねぇ…それにしてもデカいなぁ…」

「ゴーレムって強いの?」

「材質によるね。あれはロックゴーレム…つまり岩だから、ゴーレムの強さとしてはそこそこかな。でもこいつは結構デカいし、ロックにしては強い方じゃないかな?」

「へぇ〜…」


そう、ゴーレムは体を構成する物質によって硬度と大きさが変わり、物質によっては属性や固有の特性を得ることもあるのだ…とても面倒くさい相手で、硬さが売りということもあって私の剣じゃあんまり相性が良くない。…どこぞの漫画の剣士みたいに三刀流で街くらいある岩を真っ二つにしたり、〜の呼吸を活用して岩を切ったりなんて出来ないのだ。…いやまあスキル使えば出来るけど…それってずるだよね?さっきの剣士達はどっちもちゃんと修行してたよね?だから切れるけど、あんまり誇りたくはないかな…精神的に、相性が悪い相手ってこと。


「うーん…どうする?ロックゴーレムって魔法通じたっけ?」

「魔法は通じたと思いますよ?…確か威力減少されましたけど…」

「うぇぇ…まじでゴーレム種って嫌〜い…」

「…ウチがやろうか?」


え、日織ちゃんがやる気なんだけど…今言ってたけどゴーレムって割と強いよ?……あ、この子ドラゴン倒してるんだったわ。ゴーレムよりドラゴンの方が基本上位互換だし、いけるじゃん!


「…うん。日織ちゃんの実力も実際に見ておきたいし、お願い出来る?」

「わかった。ちょっと準備する」

「準備?…あぁ、そういうこと。」

「そ。」

「?どういうことですか?」

「日織ちゃんの種族思い出して。魔法少女は戦う前にすることがあるんだよ。確か昨日言ってたよね?」

「あぁ、確か言ったね」


そう、魔法少女がやることと言えば一つ!


【変身】


そう日織が唱えた瞬間、日織から強烈な光が溢れ出した。そしてキラキラとした光は日織に集まっていく。手に集まった光は白いグローブに、足に集まった光は白い靴に、身体に集まった光はフリルのついた白とピンクの服に変わった。それに伴い、黒く美しかった髪はピンクと白の混ざった色に変わり、手には少女らしいステッキが握られていた。


「おぉ!凄い、これぞ魔法少女だっ!」

「凄いです日織さん!とても可愛いです!」 

「わふっ!!」

「あ、ありがと…じゃあすぐ終わらせるね」

「お願い」

「お願いします!」


日織ちゃんはステッキをギュッと握ると、ほぼ無表情でゴーレムに向かっていった。可愛い女の子がキリッとしてるの最高…


「さて、ゴーレム君。これ結構疲れるから早めに終わらせちゃうね…【水星マーキュリー】」


日織ちゃんがステッキを構えてスキルを発動した…って、ん?なんかおかしいな…力を貯めてるはずなのに、日織ちゃんから魔力を感じないというか…何か別の力を感じる?これは一体…


「それじゃあね。【プレス】」


日織が貯めた力を解放し、ソレを発動する。

その瞬間、強大な熱と寒を持った巨大な鉄の塊が現れた。日織はそれを、ゴーレムに向かって

突然現れた塊に反応出来ず、ゴーレムは若干の抵抗の後、ゴリゴリと音を立ててすり潰された。


「よし、終わり!」

「うわぁ…怖」

「わふぅ…」

「す、凄いですね…あの硬いゴーレムがぺしゃんこに…」


言葉も出ない。ゴーレムが岩だったから良かったものの、もしこれが血の通った生き物だったら…想像するだけで、それこそ血の気が引く感覚がするよ…

…確か水星って鉄の核と寒暖差のある気温が特徴なんだっけ…それが技にも反映されてるってことか〜


「どうだった?」


2人して呆けていると、変身を解いた日織ちゃんがとてとてと近づいて来ていた。可愛い

ちなみに塊は消えて、クレーターだけが残ってた。あ、街の入口の穴の原因絶対コレや。


「凄かった……あのめんどくさいゴーレムを一瞬で倒すなんて…流石、ドラゴン討伐は伊達じゃないね…」

「とても凄かったです…不思議な力でど〜んって…かっこよかったです!」

「えへへ…ありがと。」

「ぐはっ!」

「楓ちゃん!?」


な、なんだ今の照れた笑い!可愛い!反則勝ちです!優勝!淡々と戦ってた時とのギャップでもうっ!!──


「─ふぅ。とても素晴らしかったよ日織君…さて、私は今から宇宙の誕生について考えようと思うんだ」

「楓…」

「何言ってるんですか?」

「あ、ごめん。日織ちゃんにこのネタはノンデリだったかな…」

「いや、それはソロの時のネタだから…」

「本当になんの話してるんです?」

「「…純粋だ…」」

「?」


なんでこんな不健全の塊である私と5年も一緒にいてこんなに純粋なんだ?…ロンドとカインの努力の賜物か。でも邪魔者は消えた。今こそルナちゃんをぐへへへへへ…


「楓ちゃん。接近禁止」

「なんで!?」


ま、また接近禁止ぃ!?もう勘弁してつかぁさい…再び登場ルナトニウム不足で私が萎んでも良いのか!…良いらしい。めっちゃ頷いてる。なんでしれっと心読んでんの。


「お、落ち着いて……よし。…あ、冷静になって思い出したけど、あの大きさなら魔石あるかな?」

「魔石!懐かしいですね〜。昔は良く使いました!」

「わふ!」

「…あぁ。あっちの世界でも魔石って呼んでるんだね。てか使い道あるんだ…」

「そうそう。あっちだと加工して属性付きの魔石にした物が沢山使われてたかな。例えば火に加工した魔石を使って水を沸かしたりとか。」

「へぇ。こっちだと全然使い道無かったし、ただの飾りかと思ってた。それならこれまでのやつも回収しとけば良かったね。ドラゴンのやつだけは回収したけど。」

「まぁ魔石ってモンスターがある程度育ってないと出来ないし、あんまり見かけてないんじゃない?あっちでも貴族とかしか使って無かったし。」

「そっか。良かった〜」

「…あれ。でもあのゴーレム潰したので魔石も砕けてるんじゃ…」

「「…あ。」」


確認してみたらちゃんと砕けてたよ…まぁ砕けてても使えるんだけど。効力が下がったりするからなぁ…まあ日織ちゃんに言ってなかったし、これは仕方ない。


「さて、正直日織ちゃんの謎パワーとか聞きたいことは沢山あるけど、そろそろ夕方だから後数匹狩って帰ろうか。」

「わかりました!!」

「聞きたいことは後で家で話そう」

「わふぅ〜」


ルナちゃんは元気いっぱいで大変よろしい。さてさて聞きたいこともあるし、早く狩って夕ご飯の準備しないとな〜



────────────────────

日織ちゃんの戦闘シーン地味に難しい!

魔法少女の戦闘って技目とかあんまり無いイメージなので、全然思いつかなかった…

あと、元々日織ちゃんの武器は弓にしようと思ってたんですけど、ピンク髪に弓…ふむ、どこかで聞いたことがありますねぇ…ということでステッキになりました。魔法少女ですから魔法のステッキで十分です。


割と余談なんですけど、僕が一回の展開で次に繋がる会話を入れるので切るところが難しいです…文才も無ければセンスも無いのがバレる!やばい!

それでも頑張って書きます…いつまで続くか分からないけどぜひ最後まで見て行ってね…


それではまた

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