朝帰りのだるさとエモさ
朝の5時。ホテルに戻ってきました。
早朝の大阪はそこらじゅうにぽつぽつと落ちている男性とだるそうに帰る女性と座り込むグループが行くあてもなく始発を待ちます。
その間を抜けて梅田から南に向かうと、すぐに人通りも少なくなります。中之島の橋を渡る時に見える、水面に映る朝焼けはどうしてこんなに綺麗なのでしょうか。
体もだるい、肝臓もやられている、頭もふわふわする。まだ暑さが夜に抜けきらない大阪の街を歩くと汗が滲み、酩酊した思考はさらに輪郭を失っていきます。
僕が帰省するから、と集まってもらった先輩後輩と飲んだ楽しい時間は、確かに今ははっきりと思い出せます。でも、これから寝て起きたら、高く登る太陽の元で今日の記憶は薄れ、本当にこんな時間があったのかと思うくらいに街は喧騒を取り戻し、人混みに飲まれていきます。
寝るだけでこんなに記憶が薄らいでしまう。
今日を終わらせたくない、という気持ちがタクシーと徒歩を天秤にかけ、いつも僕は徒歩を選びます。多少、疲れていても、汗が不快でも、僕はこの朝の帰宅が好きです。
夜が明け始めて、記憶が過去になっていく感覚。
それでも、少しでも今日を留めておきたくて、精一杯の抵抗をする。忘れてしまわないように、この朝焼けをぼんやり眺めるのです。
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