第二章 アトラス兄妹(1)
第二章 アトラス兄妹
9月2日(水)
【生徒会室】
「(ラファエル:)...鍋小路に関する相談だと?笑わせるな!!わざわざ聞きに来るヒマがあるなら、自分で調べろ!!」
「(清子:)ですが近づこうにも生徒会絡みと怪しまれてしまいます!!...助言お願いしたいだけです。」
「(ダイアナ:)それで、ラファ兄に泣きついてまでアドバイスを欲するとか?あんたを助けるほどほど甘くはないんだよ。」
「(雅史:)ちょ、それはないよ!!僕と清子はただ、この前凍らせた鍋小路のお返しに恐れをなして迂闊に近づけないだけでね。」
「(ダイアナ:)ふーん、怖いんだ。もう助けることは何もない。下がれ。」
【フロア4・廊下】
「(雅史:)...つまみ出されたね。これからどうするの?」
「(清子:)とりあえず、和子さんに連絡して協力するというのはどうでしょう?」
「(ハイペリオン:)おいおい、それはねぇだろ?」
「(雅史:)君は確か...帰宅部のインキュバスでしょ。ちょうどいい、鍋小路の探りに協力してよ。」
「(ハイペリオン:)鍋小路だと?断る。」
「(雅史:)あっさり断られた。」
「(清子:)雅史さん、ハイペリオンさんはアトラス兄妹に忠実なので、何を言ってもだめですの。いつも通りあなたがたの幼馴染おふたりさんに相談してみましょう。」
「(雅史:)...そうだね。」
【雅史の教室】
幼馴染2人の他に、帰宅していない「鍋小路マチ」がこの教室にいる。
「(雅史:)ちょwwwww鍋小路がなんで僕の教室にwwwww」
「(マチ:)実は明日発売予定のエタソナやりたくてな。お前の幼馴染2人に話しているところだ。」
「(健太:)雅史なんとかしてよ。ゲームを買うために人のカネを巻き上げようと。」
「(杏璃:)あたしそれほどのカネ持ってないのに...1000円取られてしまいました。」
「(清子:)...鍋小路さん。人のカネを取るとはいかなるものですか。立派な恐喝罪です。」
「(マチ:)母に買ってもらえない。欲しくても買わせてもらえない。欲しがる俺の気持ち理解しようとしない。そんな不条理なことがあるか!!」
「(雅史:)事情はわかった。僕だって
「(マチ:)あんなクソコンソール、クソゲーだらけで遊べたものじゃない。クソプーナ、黄金の絆、どれもクソすぎだ!!!」
「(雅史:)そうかな?縦長リモート型のユニークなジョイパッドは斬新かつ革新的だけどね。お茶の間アプリでビデオ見たり、ね。」
「(清子:)くだらない理由で人のカネを取るほど駄々こねるとは鍋小路さんらしくありません。」
「(雅史:)そういや清子、ゲーム機持ってる?」
「(清子:)蔵出しビデオゲーム8bitならあります。...わたくしもBDプレーヤー買いますか。」
「(雅史:)BDプレーヤーってどんなプレーヤー?...そうだね。
「(清子:)わたくしは勝ち組なので当然ですの。」
「(マチ:)生徒会ならではの贅沢品...それに比べてエコノミーな俺では買うことを許されない...。」
「(雅史:)羨ましそうね鍋小路。ならパッケージ持ってる?」
「(マチ:)持ってるわけない。専用コンソールなしじゃ意味がない。」
「(雅史:)そんなに欲しいなら、セシィー持ってなくても、パッケージだけ買えばいいでしょ?4000円用意するだけで簡単だし。」
「(清子:)もしや、わたくしの家で遊ぶってことですの?」
「(雅史:)そういうことだからよろしく。」
「(杏璃:)問題を解決するのが風紀委員の仕事のはずです。買い物を済ませた暁には、あなたの家を遊びに行きたいです。」
「(健太:)杏璃ちゃんが遊びに行くなら僕も!!」
「(雅史:)そうと決まれば明日の放課後、買いに行くよ!!3万円で買えるはずだし。」
「(清子:)ちょ、勝手に話を進めては困ります!!どうしてわたくしンちで遊ぶのですか!?」
「(雅史:)僕、一戸建て持ちの裕福だけど、セシィーを買うことが許されてないの。だから、お願い。」
「(清子:)...仕方ありません。明日の放課後、買いに行きますか。和子さんと風紀委員長を連れてきますので。」
「(雅史:)鍋小路の欲するゲームが気になる人がいるようだし、ついでに姐さんとミュゼットを誘おうかな。」
次の日の放課後...。
【家電ショップ】
「サッカー部」一同と風紀委員3人組、他校の女子2人、「鍋小路マチ」、みんな揃って家電ショップで3万円用意すれば買える新型セシィーを買いに来た。
「(雅史:)買えるだろうか?今日品切れだったり。」
「(清子:)抜かりありません。予約しておいたのでご心配なく。」
「鍋小路マチ」は目当てのパッケージを買うだけである。
「(和子:)気になりますね。風紀委員長さん、見てみたいですよね?」
「(増田:)...。」
「(ハンナ:)F・ショパンのゲーム?」
「(杏璃:)言われてみれば、気になります。」
「(ミュゼット:)ドラマCDあるよ。(2009年05月27日リリース)3000円(税込)で買える。」
「(清子:)それと鍋小路さん。わたくしの家で遊べるとは限りません。別途USBスティックや自分専用ジョイパッドを忘れずに。費用は相当なものになりますが。(ジョイパッド5500円(税込)とパッケージ3800円(税込)。合計で9300円(税込)。)」
「(和子:)清子さん、USBスティックのことですが、どれも高いですよ!!1万円以上じゃないと買えませんよ。」
「(清子:)...USBスティックはわたくしが用意します。もちろん使い古された蔵出し128MBのものになりますが。」
「(マチ:)...これでいいか?[パッケージとジョイパッドを手に]」
「(清子:)そのままティルにお進みください。」
「(ミュゼット:)このCD買うから待ってよ!!」
そのままティルに進む。今回の買い物の費用とは驚くような額になるのであろう。
「(清子:)予約したはずです。黒井清子という名前ありまして?」
「(キャッシュ・レジスター:)黒井清子様ですね、承っております。こちらが29980円のセシィーでございます。」
「鍋小路マチ」のゲームパッケージに加え、「ミュゼット」が持ち込んだCDを含めると42280円(税込)。2人の出す4万円でも2280円分足りない。さては...?
「(清子:)ミュゼットさん、今すぐ戻しなさい!!」
「(ミュゼット:)ゲーム本編より気になるんだけどま、仕方ないか...。」
「(ダイアナ:)3000円出してやるから他校の生徒に迷惑かけるな。」
「(清子:)ダイアナさん!?いつからここにいたのですか!?」
「(ダイアナ:)ついでに召使いと一緒でな。鍋小路のやつとあんたらの行動がどうも怪しいんで尾行させてもらった。」
「(ハイペリオン:)よっ。随分楽しそうじゃねぇか。俺も交ぜろよ。」
「(雅史:)店内での立ち話はいいから、さっさと済ませようよ。レジスターが混んでくると他の客が困るよ。」
「(清子:)...お話は会計を済ませてからにしましょう。」
ダイアナの小遣い3000円出してくれたおかげでなんとか購入完了した。
【帰路】
「(清子:)なんとか無事に買い物が終わりました。」
「(ダイアナ:)CDをねだる他校の生徒のためにわざわざ費用を出したあたしに感謝しな。」
「(マチ:)お前は何もしていないか!!尾行だけに。」
「(清子:)鍋小路さん、釣り銭700円返しておきます。わたくしの場合は20円ですの。」
「(ダイアナ:)あんたってさ、風紀委員としての自覚あるの?生徒会直下の委員会が聞いて呆れる。」
「ダイアナ」の今の一言に「仁雄(ときお)」は反応した。
「(増田:)...俺の風紀委員を悪く言わないでもらいたい。風紀委員の責務に多少の無茶はつきものだがこう見えて彼女は常に真面目で俺よりしっかりしている。無論どの生徒のためである。風紀委員像(の理想)だと思わないか?」
「(ダイアナ:)部下に頼りっきりのくせに、だらけた委員長が口をきくな。」
「(和子:)そんなことないですよ。確かに委員長はだらしないですけどね、やるときはやる頼もしい一面もあるらしいのです。見かけによらず中身は骨太なので、あまり見くびらないでほしいです。」
「(雅史:)おお!?だらけた委員長、見た目垂々中身骨太ってやつ?面白い委員長だね。...それより鍋小路、エタソナやりたい気持ちが大きいのはわかるけど、そもそもなんでエタソナなん?それと同じ開発チームが手掛けた月の遺跡じゃあダメなの?」
「(マチ:)...イマイチだった。あまりにも不平等で不公平だなと思うくらいツラかった。」
「(ダイアナ:)そんなくだらない理由で買い物をしたのか。生徒会長とはどんな関係なのか、お前の言う不平等で不公平とは何なのか徹底的に掘り下げてやるからな。」
「(清子:)...腐れ縁だそうです。この前、他校の
「(ダイアナ:)ふーん、生徒会長とは腐れ縁ね。...お前がしてきたことは、自分に跳ね返るってことだよ。その意味わかるよな?」
「(清子:)...と言いますと?」
そう、「清子」の家に向かっている最中に囲まれたのだ。複数の
「(親分:)鍋小路...よくもおれたちをコケにしおったな。」
「(雅史:)君は、この前の親分か!?...この節はどうも。しかも今回でも大群を引き連れるとはもう。」
「(マチ:)...。」
「(ダイアナ:)散々引き回してきただろう。さ、土下座しな。」
「(マチ:)...だが断る。」
「(雅史:)ちょwwwww」
「(親分:)んだぁ!?」
「(清子:)鍋小路さんは目的の為なら、いかなる場合でも聞く耳を持ちません。」
「(ダイアナ:)越えてはならない一線を越えたな。面倒にならないよう、あたしらだけでも清子ンちに向かう。」
「(清子:)そういう問題じゃありません!!見てわかりません?囲まれているのです!!」
「(雅史:)面白くなってきた。親分、一緒に遊ぼうよ!!」
「(親分:)雅史といったな、今日という今日は負けんぞ!!...鍋小路、きさまだけは許さん!!」
「(清子:)健太さ...いや、風紀委員長はわたくしたちの護衛を。」
「(増田:)...委員長の俺に指示か。可愛い部下の頼みなら一肌脱ぐとしよう。」
「(和子:)わたしも付き合います風紀委員長さん!!」
「(雅史:)よぉーし!!タックルやスライディング、フェイントかけてでも、突破してでも辿り着いて見せる!!」
3度目の非日常、3度目の任務、「サッカー部」一同は「清子」の家に着くまでの作戦が始まった。
【Phase-1】
今の彼らは
「(ダイアナ:)鍋小路よ、今ならまだ間に合う。簡単なことだ。さ、土下座しろ。」
「(雅史:)無理無理。仮に土下座しても許してくれないだろうだし、彼の代わりに僕が謝ってあげるから。ね。」
「(ダイアナ:)あっそう。」
「雅史」が前に出る、突破口を開くためにフェイントを仕掛ける。久々のイマジナリームーブを使う時が来た。イマジナリームーブ、これは彼の繰り出す技が漫画やアニメ、ゲームの必殺技のように具現化する。この能力でどう突破するのか。
「(雅史:)...どうやって突破するんだっけ。」
「雅史」の能力でどう突破するか全然思いつかない。
「(ダイアナ:)じゃあ、あたしが道を作ってやる。どいて。」
「ダイアナ」の能力「アー・サウンドウェーブビーム」は、事前に相手を吹き飛ばせるための声の
「(ダイアナ:)...道を開けろ。ッアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!」
目に見えるその音波で
「(親分:)...生徒会のダイアナか!?ちくしょう、分が悪い...。今日のところは下がるぞ。鍋小路、覚えてとけ!!」
「(雅史:)...ひゃあぁぁびっくりしたぁぁぁぁ!!僕の能力ではとても真似できない。」
「(ハイペリオン:)ダイアナはこう見えて、音波システムすら狂っちまうほど恐ろしい女だぜ。」
気が付くと、「清子」の家に到着した。「雅史」と同じく一戸建てである。
「(清子:)わたくしンち着きました。みなさん、ここでお待ちください。」
「清子」は彼女の両親に遊び目的で足を運んできた友達をこの家に迎え入れるよう説得する。
「(雅史:)もし無理だったら、僕たち無駄足じゃん。日が暮れちゃってるし。見たい番組あるんだけどね。木曜日といえば、19時枠ポーキーモンと19時半枠チャクラファンタジー。いやーアニメって面白いね。先日水曜日は僕の好きなサッカーアニメやってたよ。君たちは見てる?」
「(ダイアナ:)...。」
「(ミュゼット:)...んっふっふっ。」
「(マチ)...ああ、見てる。ビデオデッキで録画予約している。」
「(雅史:)ビデオデッキか、いやー古いね。僕の場合はDVDレコーダーだけどね。」
数分後、「清子」が出てきた。説得の結果、ノープロブレム(問題なし)である。
「(清子:)お父さんとお母さんの説得に数分がかかりました。どうぞ、お入りください。セシィーのセットアップは完了しているのですぐに遊べるはずです。」
「(雅史:)さすがは清子!!一人で準備とは大したものだよ。...ところで見たい番組あるんだけど、テレビ貸してくれない?」
「(清子:)そこ...ですか!?実はわたくしもです。ポーキーモンとチャクラファンタジー見なきゃ。」
「(マチ:)俺も。」
「(ダイアナ:)晩御飯はどうするの?門限は!?困るんだけど!!」
「(ハンナ:)問題ない。雅史くんの家族に連絡して許可を取った。私もだけど。」
「(増田:)この場の生徒の家族に連絡した。かわいい部下の家でのお泊りとな。」
「(ダイアナ:)後々ラファ兄に雷落とされては、たまったものじゃない。ハイペリオン、先に帰ってよ。」
「(ハイペリオン:)お楽しみはこれからだっつーのに、帰るもんか!!」
今日は大きな買い物をしてきたのに、どうしてもテレビで見たい番組があると「雅史」が申していて、結局セシィ―遊ばずじまいであった。チャクラファンタジーの歌「That does [___].」
「(雅史:)サッカー、相撲が好き。ポーキーモン、チャクラファンタジーが好き。君たちはどう?」
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