第5話 母性
☆
言いたくねぇよ。
何で私はそういう態度しか出来ないのだ?
そう思いながら私は私に腹を立てる。
それから私は横瑞について行き。
図書館まで来た。
慣れた手付きで横瑞は色々と手続きを済ませ。
それから私に入館証をくれた。
え?、と思いながら私はその入館の会員証を見てみる。
新しく発券された分だ。
何だ?
「お前もたまにここに来たら良い。息抜きにはなるぞ」
「私は不良だぞ。こんな...もん作っても意味ねぇよ」
「そうだな。俺も何で作ったか分からん。だからお前に預ける。自由に使え。要らないなら捨てても構わない」
「...そんな事しない」
そう言いながら私は横瑞を見る。
それから赤くなり彼を見る。
「人から与えられた物を簡単には捨てねぇよ」と言いながら。
すると横瑞は「そうか」と返事をしてくれた。
「...横瑞。有難うな」
「俺は手続きしただけだ」
そんな感じで会話をしていると「イチャイチャだな」と声がした。
その人物は女性。
凛とした感じの男勝りな顔にカッターシャツを着ている。
誰だ!、と思ったがその前に横瑞が動いた。
「千葉さん。彼女は俺の彼女じゃ無いっすよ」
「え?そうなのか?面白くねぇな」
「誰だ?横瑞」
「私は千葉だ。千葉恵理子(ちばえりこ)。図書館職員だ」
千葉は「少年とはダチでな」と笑みを浮かべながら柔和になる。
私は「...そうなんすか」と何だかムッとした。
何だか私以外で仲が良い女ってのは何だか許せん感じだ。
「まあ少女。そう焦るな」
何かを見透かした様にニヤニヤする千葉。
私は赤面する。
っつーか何で赤面するんだ私は。
そう思いながら私は首を振ってから千葉を睨む様な感じで見る。
クソ何だコイツ...胸がデケェ!
「落ち着け少女」
「な、何だよ」
「お前さんの胸もそこそこじゃねーか」
「な」
横瑞が「は?」となっている。
こ、コイツ何なんだ!私の全てを見透かした様に話しやがって!
そう考えながら口をへの字にする。
それからそっぽを向いた。
「ち、千葉さん?」
「うんにゃ。こっちの話だよ」
「?」
クソ。腹立つ女だ。
そう思いながら私はジト目で千葉を見る。
すると千葉はニヤニヤしていたがそれを止めてから「まあ少女。基、蛍。アンタの噂はかねがね。何か問題があるそうだけど全部私が受け止めるからな」と笑顔になる。
「結構だ」
「垂水...」
「私は...他人に迷惑はかけたくねぇ」
私はそう答える。
それから私は「私は...一人で十分だ」と言う。
そして私は千葉を見据えた。
千葉は私を見てから「ふむ」と言ってからあろう事か私を抱きしめてきた。
はぁ!?
「何すんだコラ!」
「いや。特に何でもねぇが。抱きしめたくなった」
「ふ、ふざけんな!離せよ!」
「苦労しているんだろ」
その言葉に衝撃を受けた様な顔をする私。
それから「私、は」と言葉に詰まる。
千葉はゆっくり抱きしめてくる。
母性があった。
つーか...クソッタレが。
暖かいな!
「良かったな。垂水」
「何がだよ。ふざけんなよマジに...」
「この人は福祉課出身でな。まあ資格とか持って無いんだが...様々な事を放っておけない主義でな」
クソ。何ちゅう奴だよ。
そう思いながら私は千葉を見る。
千葉は私から離れてから「何かあったら相談してくれ」と言う。
それから私に笑みを浮かべる。
「じゃあな。少年。少女。私は業務に戻るから」
「はい。また。千葉さん」
「...」
千葉は業務カウンターに戻る。
私は千葉に抱きしめられ久々に母性を感じた。
クソッタレ。
何だってそんなに私に優しいんだよ。
マジに!
何か腹が立つ!
「...違うか。私がクソなだけか」
そう言いながら私は沈黙する。
それから考え込んだ。
すると横瑞が「行こうか」と言った。
そして私を見る。
私はその言葉に「...なあ」と横瑞に聞く。
横瑞は私の言葉に「?」を浮かべてから私を見てくる。
私は「...何故こんなにみんな優しいんだ?私は...ただ不良なのに。不良品なのに」と横瑞に言った。
すると横瑞は溜息を吐く。
それから「簡単だ。俺はお前が変わるって信じているから、だ」と笑みを浮かべた。
「...私は最低な野郎だぞ」
「お前は普通の奴らと違う。俺はお前の瞳を見て思う。十分じゃないか?それで救う理由になるしな」
「...」
コイツ浮気されたのに。
こんな、こんな野郎に...。
そう思いながら私は横瑞を見る。
横瑞は柔和な顔のまま私を見つめている。
「お前ら頭がおかしい。...クソ」
私は胸に手を添える。
それから涙を浮かべたが直ぐに拭う。
こんなもん!、と思いながら、だ。
それから私は首を振った。
「横瑞」
「何だ?」
「お前、ガチの変態だな」
「は?お前...!?」
横瑞は「何でやねん」とでも言いたそうな顔をしている。
私はその顔にクスッと笑いながら「何もねぇ。お前の呆れ顔を見たかっただけだ」と返事をする。
すると横瑞は苦笑いを浮かべた。
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