"宿命なきもの"のペトラ・クレフ
私は自分の作品がすきなので、それについて語りたいと思う。ペトラ・クレフは宿命なきもの(https://kakuyomu.jp/works/16816700429151348221)の登場人物で、東帝国の貴族の家系に生まれたが故あって西大陸に亡命してきた、そのときに主人公カティア姉貴と出会いともに旅をするバディとなった。
彼女の父はかつて戦功によって叙爵された男爵家の長男として生まれた、しかしながら父は家から追放された。極東の国ヤファムからやってきた女と恋に落ちたからだ。ただ、かといって貧しい生活を送っていたかというとそうではない、父のクレフ博士、そして母のロクジョウ博士は共に帝国大学の魔術の研究者として有名だったから。そのことが色々と家の問題を拗らせているのだが……。
彼女は「初めての恋は倫ならぬものだった(58:閲歴)」と言っているように、母に恋心を抱いていた。おそらくゆるく拒絶されたのだろう、成人し大学に通う頃には冷たい空気を纏うようになっていた。そして、父母の才を引き継ぎ聡明さと高い魔力を持ち、身長は低いものの人の目を惹く黒い艶やかな髪と美しい顔、そしてどこか空虚な瞳で周りの令嬢たちを惑わした(令息たちからすると恐ろしさと家のゴタゴタのほうが気になるらしく、あまり好意を持たれなかったようだ)。
冷たく、高気のある彼女は特にトルラント侯爵令嬢であるカサンドラや、ローゼンフェルト伯爵令嬢であるエリーザベトといった魔術の才にあふれる有力者の令嬢を夢中にさせた(そしてこれが後々問題になる)。
さて、父母を喪って数年たってから西大陸にやってきた彼女であるが……。カティアとの出会いを見るとなかなかに性格が悪目である。カティアが初対面でペトラに対してマジエロいぜ(意訳)と思いながらも"幾分面倒ごとを呼び込みそう(28:黒髪)"と感じたように、まぁ俗っぽ言い方をするとfemme fataleな雰囲気を纏っているのだ。その日、門限を過ぎて帰れなくなったペトラはカティアの家に泊まるが、寝台を譲るカティアを見て「女同士なのに」とクスクスと笑う。まぁその後に「勿論、女に情愛を抱く人の存在を私は知っている、私もそうだから」と言い出すあたり人を振り回すのが好きなところがあるのかもしれない。
色々あってカティアと寝たあとにタイプの女じゃないとかなんだかんだ宣ったあとに「貴女には優れた力と、才知と教養から齎される冷静さがある。そんな世界にも稀な女が私の胸で甘えていて満悦しないわけがない(34:慈母)」と悪びれずに言う。
カティアが駆け落ちしようとするカップルの護衛を断ろうとした際にも場を乱す。カティアが断る理由は、自身とペトラの両者が帝国からの刺客から追われていて危険だから、という真っ当なものなのだが、ペトラは適当な説教をカティアに垂れて引受けさせる(36:貴族)。まぁ軍人らしい論理性と戦士の誇りを大切にするカティアに対して、ペトラはいわゆる貴族の使命感みたいなものがある人だから仕方がないのかもしれないのだが……。
そして彼女の亡命には秘密があるのだが、同じく亡命し西大陸奥地のエルフの森まで逃げていたイルメナウ侯爵令嬢に核心に触れられようとした際に、カティアに甘えて「もう眠いわ(74:謀殺)」と誤魔化して場を切り上げさせたり、女の狡さてきなものも利用したりする。殺しに関しても無感情な感じである(56:娼館)。
ペトラは高気がある、ただ母親への恋心の処理がうまくいかなかったのか、人を信頼できず、人を自分以外のなにか、という感じで見るようになってしまっている。その結果、彼女にとって傍の女はトロフィーか装飾品のように扱うようになっている。カティアに色々とお説教する割には彼女自身も人間関係の構築に問題を抱えているように見える。ローゼンフェルト伯爵令嬢曰く「ペトラは女を躾けるのが上手いからな(109:偏執)」とのこと。
ただ、カティアとの生活が続いていくうちに彼女も少しずつ変わる。エルフの森での定住を始めたあと、カティアは魔術の修行に励んでいた。その時の魔力の収斂を極めて山を穿くというカティアの目標を聞いてバカはあの世で腕立て伏せでもやってろではなく「何も知らぬ少年が抱く志のように純真で、愚かで、傲岸で、尊大で……。それでも私にはそれが眩しくて、その爛漫さに私は憧憬を抱く(83:穿山)」と、対等な相手ができる可能性を感じ始める、母親への恋心の処理がうまくいかないまま両親を喪い人格にロックを掛けたペトラの心が動き始める……。
父母の仇敵であるトルラント侯爵を討ったあとは彼女はどこかピリピリしてる感じがとれてすごく丸くなる、ローゼンフェルト伯爵令嬢の墓前で「私の性は辜人のそれなの、だから私の父母は家を追われ、そして殺され、私は帝国での居場所を失い、仇を討てば私を慕ってくれた女たちをも失うことになる。私は……どこへ流れて行くのでしょうね、帰るべき処の無い私は……(122:天涯)」と初めて弱音を漏らしたペトラだが、カティアに「もう何処へも行く必要などない」と言ってもらったときはどんな顔をしたのだろうか。
イルマを喪い"不完全なまま世界に置き去り"にされてから流浪の旅を経て事を為すカティアの話なのだが、ペトラも対になっている、ただこれは書いているときは特に意識していなかった。
◇
それにしても自分で物語を作り、自分でそれについてのコメントをする、その壁打ちはとても楽しいのでみんなも私を真似してやると良いと思う、電子の海に排泄物を撒き散らそう。あと、姫百合しふぉん作品のヒロイン像全部似てないとか言ってはならない、"血が好き"の水月桜子先輩、"翼鬼公朱麗月"の荀瓏華姉貴、みんなどこか似てる?ハハァ……
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