パクられた!

私はとある人物の犯罪を報道したネット記事のarchiveをツイッターに貼ってパクられたことがある。せっかくなんで、パクられるとどうなるのかを時系列で記述していこう。私に対する令状を出した裁判官に対して思うことがあるがまぁ……。


早朝にガチムチ兄貴が複数人で家の前でピンポン鳴らしてくる。一時間くらいして、私は内鍵をかけて扉をあけた、Y県警です、とのこと。手帳を見せて、と言ったら手帳を出す、どういうことですか、と聞いたら捜査令状が出ていますとのこと。捜査令状を確かめたら、姫百合しふぉん伯爵のツイッターアカウントが、犯罪についての報道記事のインターネットアーカイブのリンクを貼ったことが名誉棄損に当たるということ。

令状を見ると、姫百合しふぉん@ChiffonHimeyuriがとある人物の犯罪についてのネット記事のarchiveのリンクをポストしたことが名誉棄損にあたるということらしい。どのように居所をつきとめたのか聞いたところ、ツイッターのログイン履歴を見るとノーログVPN塗れだったが一つだけ自宅に繋がるところがあったらしい。直接書き込んだログを持っていないが、Xに照会して生のログインIP、しかも書き込み時間と離れているもを持ってきて私の家に乗り込んできたらしい。私の思想としては直接の書き込みの証拠もってないのに令状を出した地裁判事は己を恥じて辞職をしてほしいと思っている。世の中の物質は帰納法でその物性を予測できないことが多い、それなのに、私が直接そのarchiveのリンクを貼ったIPではなくて辛うじて残っていた家のIPに令状を出すのははっきりいって不当だと思う。とある弁護士が言うには、直接のIPではないがアカウント所持者だと認めておきながら自分は知らないというのは不誠実だとみなされるとのこと。私はそれを聞いて、法曹は非常に不誠実な業界だなと思った。


家宅捜索を受けるとどうなるのか、を自身が覚えている限りで綴っていこう。まず、ツイッターアカウントを表示できる端末、自身のPCであったりスマホであったりを表示させられる。それに対して自身の顔と、それを指さしているところを写真に撮られる。まずは、多くの事に対して、家中隅々に対してこれをして回る。この作業は数時間かかる。それが終わると署に連行される、私は「今日は火曜だから午後から授業があるんだが」とその刑事に言った。とはいっても相手方から刑事告訴されているので、とのことなので、私は「宜しい」と言って任意同行された。安心してほしいのが、任意同行されるまでに、職場に「警察に名誉棄損罪の疑いを掛けられてパクられた」ということと、学生に「名誉棄損罪の疑いを掛けられてパクられたので、今週は課題をだして、質問があれば次の週に私にまとめてしてください」と掲示する暇は出してくれる、そのへんは有情である。


任意同行されると、二重鍵のついた取調室につれていかれる。

まずは姫百合しふぉん@ChiffonHimeyuriが君のアカウントですね、それは間違いないですか、と聞かれるので私は認めた。次は、アカウント名の由来を聞かれた。百合とついてるけどこう、レズものとか好きなんですかと聞かれた。正直なところ某先輩のインタビューを思い出して笑ってしまった。次に告訴人の事を知っているか、と聞かれた。まぁミームになっているので知っている、と答えた。なんで知っているのかと尋ねられたので某弁護士コンテンツの歴史を解説した。

そして書いたのか、書いていないのか、という自白を求められる。私は、数年前のツイートについては良く分らないが、Archiveのリンクに書かれた人物については名前は知ってる、という感じの供述はしている。嘘をつくつもりはないし、そもそも、過去の犯罪歴を公開することが名誉棄損にあたると言っているのならば、懲役刑で罪を償っていないことになる。私は法治国家の対応として悪手だと感じた。あと、一部の刑事は異常なまでに自白を求める、それも高圧的な態度で。私は軽犯罪に於いても取り調べは全て録音するべきだなと思った。それに自白主義はやめるべきだろう、記憶は取り出すたびに改変されるので、裁判で使える証拠に成り得るとは思えない。

私は風体は良く学歴も立場もある。だから刑事から、先生と呼ばれながら取調を受けた。これに対して私の気持ちとして批判がある。まぁ雑に言うと三國志魏書二十六を見ると、満寵字伯寧は学者であっても正しく取り調べを行っていたらしく裴松之から貶されている。私は裴松之の批判を見て面白がっているが(嫌いな人物とクソみたいな史料への批判、そしてお気に入りの荀彧や審配ageに註釈で勤しんでいる)、ちょっと情治的すぎる意見には賛同しない。私のように所謂ステータスがあるひとは刑事から悪く扱われないが、そうでない人は刑事から脅されて自白して無実の有罪となるだろう。死刑廃止論者の中に裁判官と警察そして検事が人を殺すかどうか決めてよいのか、という人がいるが、今となってはその気持ちが良く解る。


取り調べが二日目になると、身上調書を刑事と作っていくことになる(正確な名前があったが忘れた)。自分の母は城崎の生まれで山陰の国立大学を出て働きました、父親は祖母が空爆を受けて天王寺から名古屋に逃げたあとにできた子で工業高校を出て働いていました、という話をした。自分は大学はどこそこでて、博士課程からは学振DCもらっていて、博士号取得後にいくつかの大学に務めたり、学振PDをしたあとに、現職という話をした。学歴や職歴を正確に書くと非常に長く、刑事さんがこんな調書を書いたのは初めてだと言っていた。ちなみに調書自体はメモを基にその場でラップトップパソコンを用いて作成している、手書きの時代は大変だっただろうな……。


二日間の取り調べの後、次はY県に呼び出しされて押収されたスマホの解析の結果を踏まえて調書の完成させる、これも二日かかる。自腹を切らなければいけない、ホテル代とか移動代、そして夜の暇つぶしの酒代……。

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