第9話 疑念の高まりと衝突

朝の光が鬼ヶ島荘の窓から差し込み、リビングルームを明るく照らしていた。招待客たちは、夜通しの見張りの後、再び集まっていた。彼らの顔には疲労の色が濃く、全員が互いを警戒する目をしていた。


「手紙の内容を確認したけど、これで本当に犯人がわかるのか?」中村 正道が疑念の声を上げた。


「宇野 英夫が実在しないとなると、私たちの中に犯人がいることは確実です。」田中 一郎が冷静に答えた。「問題は、それが誰なのかだ。」


「でも、これ以上どうやって調べるの?」高橋 美咲が不安げに尋ねた。「もう全ての部屋を調べ尽くしたわ。」


「誰かが何かを隠しているに違いない。」中村 正道が声を荒げた。「私たちの中の誰かがこの惨劇を引き起こしている。」


「そんなに疑心暗鬼になっても仕方がない。」山田 良太医師が冷静に反論した。「まずは冷静に話し合おう。」


「冷静に?もう何人も死んでいるんだぞ!」中村が激しく言った。「次に誰が犠牲になるか分からないのに、冷静でいられるわけがない!」


田中 一郎は中村に一歩近づき、険しい表情で言った。「俺たちはここで協力し合わなければならないんだ。お前の疑心暗鬼が状況を悪化させている。」


「お前も怪しいんだよ!」中村が田中を指さして叫んだ。「誰が信用できるか分からない。お前だって犯人かもしれない!」


「落ち着いて!」西園寺 裁司が間に入り、二人を引き離した。「ここで争っても何の解決にもならない。全員が冷静になるべきだ。」


西園寺は深呼吸をし、落ち着いた声で言った。「私たちは今、最大の危機に直面している。だからこそ、一致団結して行動する必要がある。まずは、全員で一緒に行動し、誰も単独で動かないことを徹底しよう。」


「食べ物や飲み物は全員で一度に摂りましょう。」山田 良太医師が続けた。「これで誰かが毒を盛る機会を与えないようにする。」


全員が頷き、再び緊張感の中で協力し合うことを決意した。


「今日も引き続き調査を続けます。」西園寺が指示を出した。「高橋 美咲さんと田中 一郎さんは書斎を、山田 良太医師と中村 正道さんは地下室を再度調べてください。私は他の部屋を確認します。」


各チームは再び調査を開始し、鬼ヶ島荘の各部屋を詳細に調べ始めた。全員が互いを警戒しながらも、手がかりを見逃さないよう慎重に行動していた。


高橋 美咲と田中 一郎は再び書斎に戻り、古い書類や手紙を丹念に調べた。高橋は一枚の古い地図に目を留めた。


「これ、見て。」高橋が地図を広げて田中に見せた。「この豪邸の構造が描かれているわ。」


「この部屋の裏に隠し部屋があるみたいだ。」田中が指差して言った。「それを調べてみよう。」


二人は地図を頼りに、書斎の壁を調べ始めた。やがて、古い壁紙の裏に隠された扉を見つけた。


「ここだ。」田中が扉を開けると、狭い隠し部屋が現れた。部屋の中には古い家具や書類が無造作に積まれていた。


「これが犯人の隠れ家かもしれない。」高橋が慎重に言った。


一方、山田 良太と中村 正道は地下室で古い箱を開けていた。その中には過去の住人が残したと思われる日記や手紙が詰まっていた。


「ここに何か重要な情報があるかもしれない。」山田が言った。


「でも、これを全部調べるのには時間がかかる。」中村が焦りを見せながら言った。「早くしないと、次の犠牲者が出る。」


午後になると、一同は再びリビングルームに集まり、調査の成果を共有した。高橋と田中が発見した隠し部屋の存在と、山田と中村が見つけた日記の内容が議論の中心となった。


「隠し部屋には重要な手がかりがあるかもしれない。」西園寺が言った。「それを詳しく調べる必要がある。」


「日記にも何か手がかりがあるかもしれない。」山田が続けた。「これを読んで、犯人の動機や計画を探りましょう。」


全員が改めて一致団結し、手がかりを探る決意を固めた。緊張感が漂う中、彼らは新たな調査に取り組むことになった。


「犯人を見つけ出し、この惨劇を終わらせましょう。」西園寺が強く言った。


その言葉に全員が頷き、再び調査を開始するために動き出した。風の音が窓を叩きつけ、屋敷の中には不安と緊張が漂っていた。

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