第6話 さらなる犠牲
朝の光が鬼ヶ島荘の窓から差し込む中、招待客たちは再び調査を続けるために集まった。西園寺 裁司の指示のもと、彼らは新たな手がかりを探すべく、それぞれの役割を再確認した。
田中 一郎と高橋 美咲は豪邸の二階を調べることになった。階段を上ると、長い廊下が続いており、その先にはいくつかの部屋があった。廊下の窓からは、激しい風に揺れる木々と荒れ狂う海が見えた。
「ここにも何か手がかりがあるかもしれない。」高橋 美咲が言った。
「一つ一つの部屋を丁寧に調べよう。」田中 一郎が応じた。
二人は一部屋ずつ慎重にドアを開けていった。最初の部屋には古びた家具が無造作に置かれており、埃が積もっていた。窓から差し込む光が、部屋の中をかすかに照らしていた。
「ここには何もないみたいだ。」田中が言った。
「次の部屋を調べましょう。」高橋が答えた。
その頃、西園寺 裁司と佐藤 春子は、一階のリビングルームに隣接する小さな書斎を調べていた。書斎には古い机と椅子があり、壁には無数の書類や地図が貼られていた。西園寺は机の引き出しを開け、内部を丹念に調べた。
「ここに何か重要な情報があるかもしれない。」西園寺が言った。
「見て、この書類。」佐藤が一つの書類を手に取って見せた。そこには、招待客全員の名前と、各人が過去に犯した罪の詳細が書かれていた。
「これが犯人のリストかもしれない。」西園寺は冷静に分析した。「これを基にして、次の手を考えよう。」
一方、山田 良太と中村 正道は、豪邸の地下室を再度調査していた。暗い地下室の中で、二人は何か手がかりを探していた。
「この島には必ず何かが隠されている。」中村が低い声で言った。
「それを見つけるのが私たちの使命だ。」山田が答えた。
二人は壁に掛けられた古い地図を見ながら、地下室の隅々まで調べた。しかし、特に目立った手がかりは見つからなかった。疲労と不安が募る中、二人は地下室を後にした。
昼過ぎになると、一同は再びリビングルームに集まった。全員が疲労の色を隠せず、不安と恐怖に苛まれていた。
「新たな手がかりは見つかったか?」西園寺が皆に尋ねた。
「書斎で、私たちの名前と過去の罪が書かれたリストを見つけました。」佐藤が答えた。
「それが何を意味するのか、まだ分かりませんが、重要な手がかりになるはずです。」西園寺が言った。
全員が頷き、リビングルームで互いの情報を共有した後、見張りの交代を行った。今度は田中 一郎と高橋 美咲が見張りを引き受けることになった。
リビングルームの大きな窓からは、外の嵐が見えた。風が激しく吹き、雨が窓を叩きつける音が響いていた。高橋 美咲は窓の外を見つめながら、心の中で不安と戦っていた。
「本当にここから出られるのかしら……」高橋が呟いた。
「俺たちが力を合わせれば、きっと脱出できる。」田中が力強く言った。
その言葉に少しだけ安心した高橋は、田中の顔を見て微笑んだ。しかし、心の奥底には依然として恐怖が残っていた。
その時、突然の悲鳴が屋敷内に響き渡った。全員が驚き、音のする方へ駆けつけた。悲鳴は、地下室から聞こえた。
山田 良太と中村 正道が地下室に入ると、そこで鈴木 太郎が倒れているのを見つけた。彼の体は硬直し、顔には苦痛の表情が浮かんでいた。
「また毒だ……」山田が声を震わせながら言った。
「犯人は一体誰なんだ……」中村が怒りに満ちた声で叫んだ。
全員がリビングルームに戻り、再び疑心暗鬼に陥った。誰もが互いを疑い、次に何が起こるのかを恐れていた。
「これ以上犠牲を出すわけにはいかない。」西園寺が冷静に言った。「今こそ一致団結しなければ。」
その言葉に全員が頷き、改めて力を合わせる決意を固めた。しかし、犯人の正体は依然として不明のまま。全員が不安と恐怖の中で夜を迎えることになった。
夜が更けると、再び見張りの者たちはリビングルームに残り、他の者たちはそれぞれの部屋で休息を取った。しかし、誰もが心の中で次の犠牲者が自分ではないかと恐れながら、眠りにつくことができなかった。
高橋 美咲はリビングルームで見張りをしながら、心の中で祈るように呟いた。「どうか、これ以上犠牲が出ませんように……」
その祈りが通じるかどうかは、まだ分からない。風の音が窓を叩きつけ、夜の静寂が恐怖を一層引き立てる中、彼らは次の一手を考え続けていた。
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