物語の構成について(後編)
前回の続きです。
冒起承爆転結の構成説明
〇起章
概ね作品の25%前後を構成する部分です。
±5%ぐらいの増減はあっていいかと思います。
この章の役目は、
『読者に全体(小説一巻分)の縮図(ミニチュア)を示す事』
です。
この起章の中で、小さな起承転結が発生し、上手くまとまっているのが望ましいですね。
実際、今のなろうでは短編(起)で人気が出たものだけ長期連載する、みたいなスタイルですが、これはそういうことですね。
ニュアンスがちょっと難しいのですが、
冒では、この作品はこういう作品ですよ、と言う「方向性」を示せ、と言いましたが、
起では、この作品はこういう作品ですよ、こういう面白さですよ、というものを小説1巻の25%前後の分量を使って「具体的」に示せ、と言えます。
・○○な主人公が、××な敵に酷い目に遭わされたので、ざまぁしてすかっとする。
・○○な主人公が異世界に転移して、現代知識を使って、その土地を発展させる
・○○な主人公が、××なヒロインと出会い、ラブコメをする
みたいなものを25%=二五〇〇〇文字前後で、まとまった形で提示するわけですね。
〇承章
分量としては25%から50%。
承は冒と起によって読者に伝えた「こういう物語ですよ」というものに対し、肉付けする、世界観を膨らませるのが役割です。
承編の作り方は大きく二パターンあります。
①起編の焼き直し
起と構造骨子は同じ話(ザマァならザマァ。ラブコメならラブコメ。俺つえええなら俺つええええ)を展開し、こういう話ですよ、こういう面白さですよ、こういうのを繰り返すんですよ、と教えます。
その起章の焼き直しの中に、新しい設定情報などをひそかに潜り込ませたりして、世界観を膨らませます。
②日常回・説明回
説明の読ませ方において、説明は急緩で読ませろ、と書きました。
大きな流れとしては、冒+起が急にあたり、承は緩にあたります。
なので、起では一気に物語を進めた分、色々説明が必要になっているわけですね。
なのでストーリーの進行速度を緩め、世界観なり二人の関係なり、周りの人間関係なり、いろいろ必要な情報を説明してあげるのが役割です。
とは言え、説明ばかりはだるい!
ちゃんとその辺は「小さな」急緩を繰り返す。
面白味・テイクを合間合間に挟み、読者を飽きさせない
といった工夫が必要になります。
〇爆
分量自体は冒頭と一緒で極めて少ないです。1000~3000文字程度?
三幕構成におけるミッドポイントになります。
後半戦の「冒」と言い換えることもできます。
ストーリーと言うのは、基本、課題と達成(未達成)で構成されますが、
前半戦(冒起承)はいわゆる仕込みみたいなもので、後半戦(爆転結)がその作品の「本当の課題(問題)」である、と言えます。
そして、その後半戦の
三幕構成においてはちょうど尺の真ん中。
二時間映画なら一時間あたりに発生するので
知り合いの作家がハリウッドの映画をけっこうな数調べて、実際に一分のズレもなく、そのあたりにミッドポイントが発生していた、と言っていたのを覚えています。
それぐらいあちらでは厳密に話の真ん中で問題を発生させているようですね。
ただまあ、鷹山はこれにはちょっと異論がありまして。
いわゆるバトル系ならばそれで問題はないのですが、
割とラブコメ系はこの尺の使い方をそのまま持ち込むと、ちょっと話が重くなりがちなので注意が必要です。
ラノベのラブコメではけっこう前半戦が75%前後、後半戦が25%前後という配分の作品が多いです(50:50の作品ももちろんあります)。
なのでミッドポイントも75%が経過したあたり、7万~8万字あたりで発生している、なんてケースもしばしば見られます。
ラブコメを書きたい! という方の中には構成の本を読んで、ミッドポイントを真ん中に! と固定観念を持ってそれに縛られている方も少なくはない気がするので、ここは気を付けたほうがいいかな、って思います。
ミッドポイントを書く上でコツが一つあって、
『上げて落とせ』
です。
基本的にミッドポイントは後半問題の始まり、試練の始まり、不幸の始まりです。
なので物語的には「落とす展開」に当たります。
で、落とした時の衝撃が大きいほうが、物語は基本盛り上がります。
でも、実際に落としすぎると、鬱展開、なんて言われかねません。
でもやっぱり衝撃展開! にはしたい。
そこで、お薦めなのが、ミッドポイント前に「上げる」です。
ミッドポイント前は、すべてが上手くいく、幸せ展開が待っている、順風満帆!
そういったことをあえて匂わせます。
そうやって上げてから落とすことで、落差を作り、急展開っぽく見せるわけですね
〇転結
分量としては25%(ラブコメ)~50%(バトル)
実はあんまり、「役割」と言うものはない感じがするんですよね。
あえて言えば、大いに盛り上げて読者を興奮させる感動させる楽しませるのが役割でしょうか。
いわゆるクライマックス。物語の華ともいうべき場所ですね。
鷹山の持論として
『クライマックスシーンの面白さは、クライマックスシーンに入る前に決まっている』
というのがあります。
この後半戦(爆転結)を面白くするための
なお、バトル物のクライマックスで技術「やったか」を使うと、物語を盛り上げやすいのでお薦めです。
ラブコメのクライマックスでは、理由カウンターor内面の吐露→ヒロイン(ヒーロー)のホールド→克己カウンター(一歩進んだ答えに至る)というテーマ性コンボを使うと盛り上げやすいです。
なんか転結編が雑だなぁ、と自分でも思いますが(笑)
構成編は以上になります。
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