作品の芯(ログライン)を掴む能力

ではまず、作品の芯(ログライン)を掴む能力の解説からしていきたいと思います。

創作に携わる人ならば、ログラインという名称を一度は耳にしたことがあるかもしれません

いわゆる作品の面白さを一行にまとめたもの、の事を言います。

これを的確に抜き出しまとめられること。

これが出来るかできないか、が割と作品の質を左右します。


というのも、これ、

『物事の優先順位をしっかり定められるかどうか』

ということなんです。


例をあげればなろう系なら、「主人公つええええ」が最優先事項なのは、多くの方がご存じのとおりかと思います。

なので従来の物語ですと、主人公をsageることで物語の起伏を作る、というのは、割とよくある王道展開なのですが

なろう系の物語においては、俺つええええええ>>>物語起伏

なので、物語の起伏がより強くなるとしても、俺つえええええを阻害するならば、それはやるべきではない、という判断ができます。

逆に、実はラブコメだと主人公をsageるのはけっこうありだったりします。

ラブコメは俺つええええが「一番大事=ログライン」ではなく、「ヒロイン萌え~」が一番大事(ログライン)になりやすいからです。

sageた主人公をお手軽編で語った「ホールド」をすれば、ヒロインの魅力がぎゅぎゅーんと上がったりするわけですから、sageるのもありなわけです。

そういうsageてるシーンが読者の共感を呼んでいい! ってケースもラブコメだと多いですからね。


これまた逆に、ラブコメ作品で、主人公が敵とのバトルばっかりやってたりしても、それはそれで読者の求めてるものから乖離しやすいです。

だってラブコメを見に来た読者は、そんな熱いバトルなんかよりも、かわいいヒロインとのイチャイチャを見たいんですから。

なろう系物語なら、バトル喜ばれますけどね。

かように、作品ごとに何を最優先に持ってくるかは変わりますし、それによってやっていいことだめなことも変わっていきます。

両立できるならばすればいいんですが、得てしてそれぞれが競合し、お互いが並び立たず、どっちかを取らなくちゃならないというのが現実です。

そういう時、何を一番に「優先」するのか

それを前もって決めておくのが、ログラインを定めるということです。

そして|一度、定めた最優先順位を徹底して守ることが重要・・・・・・・・・・・・・・・・・・です。



さらに言えば、その作品において、何が一番大事なのか、面白い部分なのかを、「見抜ける」能力そのものがなにより大事です。

意外とこの「見抜く」のが上手くない人が、アマチュア作家さんだと大半だったりしますね。

自分の作品なのに、何が一番大事なのかがわからない。抜き出せない。


では、なぜ見抜けないかというと、

理由は『作者本人の情報整理能力の不足』or「決断力の不足」です。

まあ当然、両方のケースもあるでしょうね。


まず情報整理能力

小説と言うのは、日本語を書ければなんとかなるものではなく、「情報を整理する能力」が実は極めて重要になってきます。

整理ができないと、何が一番大事なのかも認識ができない。

自分の作品でも、何を優先すればいいのか、と言う部分がふわ~っとぼんやり抽象的になってしまいがちになります。

無意識に作品にとって大事なものではなく、「自分の感性が無意識に求めるもの」に引っ張られ、それを書き、物語を迷走させてしまうのです。



なので物語に一本筋を通すために、この情報を整理する能力を上げ、ログラインを掴む能力を身に付けねばなりません。

さらに言えば、この情報を整理する能力を鍛えないと、実は前述したPREPも上手く使えないんですね。

自分の言いたいことが整理できていないので、適切なPを抜き出す、と言う事が出来ない。

つまり、読みやすい文章が書けない。

さらに言うと、説明の読ませ方で述べた「急緩」もできない。

どういう風に組めば、並べれば、より面白くなるのか、という優先順位がわからないと、「演出」もうまくできない。つまり面白さの上限も下がる。

のっぺりした作品になりやすい。

もっと言えば、情報整理能力が低いと、そもそも教えたことの吸収効率が著しく悪くなる。

なので、鷹山としては、いの一番にここを確認し、不足している人は鍛えるようにしております。


これの鍛え方を鷹山は確立こそしていますが、いくつかの理由から一人の自主練で鍛える、というのはけっこう難しい事だなぁ、と感じております。

別にお金儲け目的ではなく、ね(笑)

単純に、一人だと答え合わせができないことが多いんですよね。

その辺のトレーニング方法に関しては長くなるので、また別の項目で語ることにします。


次に決断力不足。

これは日本人あるあるかもですねー。

まあ、人間、失敗や責任って怖いですからね。

空気読んで、色んなことをあいまいにするってのも処世術の一つと言えば一つなのでしょう。

鷹山の中で印象的だったのは、コロナでの特別給付金10万円です。

ある政治家は、あれは景気対策だ、低所得者向けの支援ではない、と言い。

ある政治家は、あれは低所得者向けの支援だ、景気対策ではない、と言ってました。

同じ自民党なのに、そこをあいまいにして詰めずに10万円を配ったわけです。

厳密にどういう理由かを定めるために議論するよりも、

どっちも10万円配りたいんだから理由はあいまいにしておけ。

とにかく10万円配るほうが先だ。

ということだったんでしょう。

まあ、そうやって物事をあいまいにしておいたほうが、組織だと空中分解せずに物事を進められることが往々にしてあります。

友達関係だってそうですね。

あんまり意見の一致にこだわりすぎると、友情が崩壊する。

作家もまあそうです。

コミカライズとか、アニメ化とか(遠い目)

厳密に詰めるほど、チームがまとまらず物事を動かせないというのは確かにあるんです。

(まあ、長期で見ると、チームでもあいまいにするとろくなことにならねえよなぁとも鷹山はめちゃくちゃ思いますが)


ただ、その何事もあいまいにばかりしていると、創作ではけっこう厳しいかもしれません。

実生活だと色々バランスを取ったほうが生きやすいかもしれませんが、小説や物語だとバランスを取り過ぎた作品はつまらないんですね。

ここ! って思う部分をちゃんと「選び」、そこに紙面を割き「偏らせる」必要があります。

バランスを取って生きてきたひとは、アンバランスなことをするのを怖いと感じやすいんですよね。

で、つい腰が引けて中途半端になってしまっている、というのを指導していていっぱい見てきました。

リアルではアンバランスは群れの和を壊したり、あるいは群れから弾かれますが

小説・物語ではアンバランスこそ面白さです。

俺はここをとがらせるんだ!

という強い気持ちと勇気。

書いてるとついついバランスを取りたくなる弱い気持ちを抑え、ログラインに作品をおもくそ傾かせてバランスをあえて崩す覚悟。

ちょっと精神論になりますが、そういうのが必要なのです。


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